第3話 蜃気楼
シーンB
○ 同街 テラス



夜。
グリンは1人佇み、星空を見上げる。
マーハに打たれた頬はまだ赤い。
グリン 「レインに生まれて得した事は一度もねえ…」

インサート・グリンの回想
幼いグリンと母グリーク。
グリンは小さくなって震え、怯えている。
グリン(幼) 「オレ、もうヤダよぉ。いつ殺されるかわかんない…こんなのもうたくさんだ。いっそ死んだほうが楽じゃないか…」
グリークはグリンに平手打ち。
グリン(幼) 「……」
涙目でグリークを見上げるグリン。
グリーク 「馬鹿言うんじゃないよ!奴等の為なんかに死んでやるのかい!?」
グリン(幼) 「……」
グリーク 「自分の運命にいい様に持て遊ばれたいのかい?使命なんてどうでもいい、何なら戦わずとも逃げてりゃいい!生きて、生きて見せるんだよ!!」
回想終了

マーハに打たれた頬を摩りながら。
グリン 「あいつ、お袋と同じ事言いたかったのか…」
星のロッドの刃先部分が現れる音。
グリンはその音に気付きテラスの下、中庭を見る。
(グリンの視線から)素振りを始めるマーハ。
マーハの姿の俯瞰
マーハのその表情。

マーハは近付いてくるグリンに気付き、素振りをやめる。
マーハ 「グリン…」
頬をポリポリと掻くグリン。
グリン 「…って〜だろ…」
マーハ 「さっきはゴメン」
マーハは再び素振りを始める。
グリン 「なんて構えしてやがる。大剣は好きじゃねえが、オレ様だってもっとまともに振れるぜ!テメエ、どん位剣使ってるんだ?」
マーハ 「2週間前から」
グリン 「(驚)なッ!?2週間!!??…」
マーハ 「だからタケルに毎晩稽古をつけてもらってる」
再び、振り続けるマーハ。
グリン 「…それ以前は?」
マーハ 「ないよ。(苦笑)…タケルの幼馴染はナギっていった。…あなたによく似ていた」
グリン 「ああ、間違えたって言ってた?」
マーハ 「彼はおそらく生きていない。わたしのせいで…」
マーハはロッドを振るのをやめる。
視線は1点を見つめたまま。
マーハ 「だから、タケルは死なせたくない。もう誰も死なせやしない」
決心のこもったその表情。
グリンもそれにつられ、初めて真剣な表情を見せる。
しかし、一間置きふざけたように。
グリン 「だぁ〜、貸してみろ!」
しかしグリンがロッドに触れると感電したように弾かれる。
グリン 「って〜。まあ、いい。見てろよ」
小さく横に斬りつけ、後大きく斬り返す一連の動作。
グリン 「『グリーン・ウッド流』フェイントからの斬り返し。テメエに合った戦い方をするんだ。星のロッドは、タケルの扱うような大剣より軽い。だから、奴のような一撃必殺ッつ〜様な斬り付けは威力が半減する。ちった〜頭使え!」
マーハ 「なるほど…」
マーハはクスッと微笑む。
グリン 「なっ、あんだよ」
グリン、少し照れた様。
マーハ 「なんだか意外。初めてナギとかぶった」
グリン 「あんまりいい気はしねえな…」
マーハ 「タケルと本当に仲良かったんだ。森のあの泉で良く稽古をしていたって…」
グリン 「泉ねえ…」

フラッシュバック
ファントム襲撃時、池に落ちたマーハとタケルに近付かなかったファントム

インサート
レイス 「幸い、このギゼの中にさえ居れば消滅は免れるのですが…」
ギゼのあちこちで見られる池と水場。

ニヤリと笑うグリン。
グリン 「かっかっか(笑)…そういう事か…」
マーハ 「グリン?」
グリン 「シーフの戦法、『弱点をつく』」
マーハ 「?」
グリン 「やってみるか…」