第5話 船旅
シーンB
○商船帆上
広大な海をバックに帆上のタケルとシーザー。
タケル(M) 「違うのは波の揺れだけだ。その波もかすか…」
微笑むタケル。
シーザー 「何がおかしい?」
その台詞に聞き覚えがあり、少し可笑しいようなタケル。
タケル 「別に…」
甲板の上のマーハを見るシーザー。
シーザー 「銀の髪の女か…。もう少しすればあれはいい女になるな…」
その言葉に反応し、笑うのをやめ真顔になるタケル。
タケル 「村の皆と約束したんだ…。あいつは俺が守る!」
その反応の豹変にいぶかしむシーザー。
シーザー 「まあ、いい。この勝負、このマストから落ちるか…、負けを認めるか…」
剣を構えるタケル。
タケル 「生死は問わない…か?」
シーザー 「分かってるじゃないか…」
同じ様に曲刃を構えるシーザー。
タケル 「後悔するぞ!」
2人勝負!
2人鍔迫り合い。
意外にも機敏な動きを見せ、高さとその狭い足場慣れしたタケルにシーザーは驚きを隠せない。
シーザー(M) 「こいつ!」
シーザー 「お前、ただのガキじゃねえな!」

フラッシュバック
村での武術大会。
シーザーとナギの姿が重なる。

タケル 「今ごろ気付いたか?」
再び鍔迫り合い。
シーザー 「クッ、お前達は何者だ!?」
タケル 「踏み込みが甘いな」

インサート
ナギとの稽古。
傍らで教えるスサノオ。
スサノオ 「ここで斬り返すんだ。相手の攻撃をかわしながら…」

際にシーザーの攻撃をかわすタケル。

インサート
スサノオの教授。
スサノオ 「相手の背後を突く!」

実際にシーザーの横への大きな斬りをジャンプで避けながら背後へと飛び移る。
シーザー 「何!?」
タケル 「遅い!」
慌てて背後に振り返るシーザーはすんでの所でタケルの斬りを受ける。

○同 甲板
マーハ、その表情。
勝利を確信しているかに見える。
一方海賊達は予想外の船長の苦戦に慌てふためいている。
海賊達(ガヤ) 「どういうこった、船長が押されてるぞ!」
グリン 「(マーハに)やるじゃねえか、タケルのヤツ!」
マーハ 「私には登るのが精一杯だったからね」
グリンにはその言葉は聞こえていない様。
その時、船に近寄る気配にマーハは気付き海を見る。
マーハ 「何!!」
グリンとジェナードが声を聞き見せる怪訝な表情。
マーハ 「何か来る!」

○同 帆上
マスト端まで追い詰めたタケル。
剣の切っ先をシーザーに向ける。
タケル 「終わりだな!」
負けを認めたようにシーザー。
シーザー 「たいしたガキだな…。お前は…」
その時、マーハの叫び声。
マーハ 「タケル!!」

○同 帆上
タケル&シーザー 「!」
マーハに振り返る2人。
同時、船に走る衝撃と何かが船にぶつかった大きな音。
船は大きく揺れ、45度近く傾く。
船客、海賊達の悲鳴。
シーザー 「しまった!」
足をすくわれ、海に落ちるシーザー。
タケル 「おいッ、くっそぉ〜!」
自分の剣を放り、シーザーを助けるため海に飛び込むタケル。
一部始終を見ていたマーハ。
マーハ 「タケル!」
ジェナード 「(海賊達に)一体何があった!?」
海賊 「分かりやせん!」
海を覗き込むグリン。
海中に不気味に動く黒い影。
グリン 「魔将か!」
マーハ 「グリン!」
拾って来たのか、タケルの剣を持っているマーハ。
マントを外し。
マーハ 「船からの援護を!オーフェはみんなを海賊船の方に避難させるんだ!!」
オーフェ 「は、はい!」
マーハは海へ飛びこむ。
グリン 「お、おい!」
黒い影は又、猛スピードで船に近付いてくる。
グリン 「やば!又来るぞ!!(大声で皆に)しっかり掴まってろ〜!」
今度は船に体当たりせず、海から船2艘を飛び越す。

スローモーション。
魔将キラー・フィッシュ。
再び海に沈む。

○海
タケルは足から出血をしているシーザーを抱え波間に顔を出す。
マーハも又粉砕しかけた商船の板の切れ端にシーザーが掴まるのを助ける。
タケル 「バカッ!何で来たんだ!!」
マーハ 「ほら」
タケルの剣を見せるマーハ。
マーハ 「剣を持たずにどうする気?」
シーザーは激しく咳き込む。
シーザー 「ゲホッ…、この海域にあんな魔将なんか見かけた事がねえ…」
タケル 「そりゃ、俺達が居るからだろな」
マーハ 「言えてる(苦笑)」
タケル 「(シーザーに)あんたは足手まといだ。マーハと2人でここに居ろ」
シーザー 「何だそりゃ?」
マーハ 「(タケルに)そうだよ、海は2度目なクセに!」
タケル 「お前等なあ…」
シーザー 「来るぞ!」
迫り来るキラー・フィッシュ。
3人は目配せをし、大きく息を吸い海中へ潜る。

○海賊船甲板
人々を誘導するオーフェ。
商船は沈没寸前。
ジェナード 「あっちの船はもうだめだな」
グリン 「(オーフェに)他の人間は?」
オーフェ 「もうすぐで、みんなこちらの船に移ります!」
グリン 「(ジェナードに)やいテメエ!アーバレストかクレン・クインは乗ってねえのか?」
ジェナード 「旧式のクレン・クインクロスボウならある!大砲の方が狙いがつくし威力があるが…」
グリン 「バカ野郎!あいつ等を巻き込みてえのか!!クレン・クインでいい、用意するんだ!」

○海
タケル、マーハとシーザーの3人。
迫り来るキラー・フィッシュを3方向に避ける。
攻撃に転じる隙が無い。
海上に顔を出す3人。
シーザー 「何て速さだ!」
タケル 「3人バラバラに攻撃しても埒があかない。なにかいい方法があれば…」
マーハ 「ロッドの光を使おう…いや駄目か…。水中ではルーンを唱えられないし、唱えて潜ってもほんの僅かな時間しか…」
シーザー 「オレがヤツを誘導する」
タケル 「出来るか?」
シーザー 「海の人間を甘く見るな」
大きく息を吸い海中へ潜るシーザー。
マーハはルーンを唱える為集中する。

○海賊船甲板
3人の様子を見て気付くグリン。
グリン 「あいつ等何かする気だな…」
駆け付けるジェナード。
ジェナード 「用意は出来た。だがあくまで旧式だ!精度は期待できないし俺達も使い慣れていない!!」
グリン 「いい!オレが狙いをつける。お前等は引っ張ってろ!!」
グリン、海上の3人を見て。
グリン 「今度の相手は魔将だ、手加減無しだぜ!(弦を巻き上げる人間に)合図でぶっ放せ!!」

○海
シーザーはキラー・フィッシュを誘き寄せる。
海上に残るタケルとマーハ。
マーハ rasyuhnu marha rula iris…」
マーハはタケルを見る。
2人大きく息を吸い、海中へ。





ロッドがレインを示す白い光。
シーザーは巧みにキラー・フィッシュを引きつける。
突如の光に魔将とシーザーは怯む。
その瞬間、タケルはキラー・フィッシュの瞳に剣を突き刺す!
魔将は痛みに海上へ大きくのたうつ。
懸命に突き刺すタケル。
と同時。
グリン 「今だ!!」
クレン・クインが放たれ、額の魔晶へ!
キラー・フィッシュの体は光り、灰に。
船客&海賊(ガヤ) 「やった〜!!」
上に沸き上がる歓声。
タケル、マーハとシーザーの3人は互いの顔を見微笑む。
3人の元には浮き輪が投げられる。