第6話 月の髪の乙女
シーンC
○アルカード城地下
目を覚ますオーフェ。
すぐ傍にはマーハも倒れている。
オーフェ 「マーハさん!しっかりしてください!!」
マーハ 「う、う…」
マーハ、目を覚まし。
マーハ 「ここは?」
オーフェは辺りを見まわす。
正面に鉄格子。
マーハ 「地下牢か…。参ったな」
地下牢奥に人の気配、オーフェは気付く。
オーフェ 「だ、誰か居ます!」
マーハ 「!!(驚)」
2人は奥に居るその気配に近付く。



札と鎖に繋がれた幼い獣人の女の子。
その瞳が弱々しげにマーハを見つめる。
「フニャン…」
マーハ 「…ミッフィーだ…」
オーフェ 「え?」
マーハ 「助けなくちゃ!!」
マーハが鎖に触れた瞬間、電気の様に衝撃が走る。
傷つくマーハの手。
マーハ 「ッつ…」
オーフェ 「マ、マーハさん?!」
マーハ 「待ってね、今助けてあげる」
ミッフィー 「フニャ…ァ」
マーハは手から流れる血を一向に気にしない。
ロッドを使い鎖を断ち切る。
そのまま、マーハの腕の中に倒れこむミッフィー。
オーフェ 「だ、大丈夫ですか!?」
マーハ 「見て」
ミッフィーの首輪にはオレンジストーン。
マーハ 「良かった、無事で…」
心底ホッとしたような表情のマーハ。
ミッフィー 「フニ〜…」
安心したように気を失うミッフィー。
それを見るオーフェの表情。
オーフェ 「でも…一刻も早くここから出なくては…」
ちょうどその時、牢屋の外に数匹のスケルトン。
牢獄の扉を開け中に入ってくる。
気付くマーハとオーフェ。
マーハ 「オーフェ、これを!」
マーハはドレスのスカートを捲り、隠してあったガラスのビンを渡す。
マーハ 「割れてなくて良かった。『聖水』だ。目暗まし程度に役に立つと思う」
オーフェ 「……」
そして腕の中のミッフィーをオーフェに託す。
マーハ 「オーフェ、貴方は自分が非力だと言ったけれど、貴方にはあって私には無い物もあるんだよ」
オーフェ 「……」
マーハ 「…オーフェ、その子をお願い!」
スケルトンに向かい走り出すマーハ!
オーフェ 「マーハさん!!」

○同 地下
柱の影に隠れるタケルとグリン。
共に普段の動き易い服装。
廊下にはレイン達を探す多くの魔将ゾンビ。
グリン 「くっそ〜。キリねえぜ!」
タケル 「…あのバカ」
タケルはいつに無い焦りの表情。
オーフェ 「タケルさん!グリンさん〜!!」
声をした方を振り向くとミッフィーを背負ったオーフェがこちらに走って来る。
もちろん、魔将もそれに気付く。
一斉にオーフェに襲いかかる魔将!
オーフェ 「う、うわっ!」
タケル 「オーフェ!」
タケルとグリンの2人は魔将を切り払う。
倒れる魔将。
グリン 「おい、なんだこのガキ?」
オーフェ 「ハアハア…『ミッフィー』です。オ、オレンジストーンのレインです!」
グリン 「ぬわにィ〜、このガキが〜!!」
その声にミッフィーが目を覚ます。
ミッフィー 「フニュ?」
グリン 「冗談じゃねえぜ!いくら女の子でもこんなガキじゃ…」
ミッフィー 「フニィィィ!!(怒)」
グリンはミッフィーに引掻かれる。
グリン 「やりやがったな!このガキィ!!」
タケル 「おい、オーフェ!マーハは!?」
オーフェ 「……」
問い詰めるようなタケル。
タケル 「一緒じゃないのか!」
オーフェ 「マーハさんは…僕達を逃す為に…」
タケル 「…クソッ!!」
冷静ではいられないタケル。
グリン 「落ちつけよ、タケル。ヴァイアはマーハをルラとは知らねえ。ましてや『月の髪のお・と・め』じゃねえんだ。まだ殺されると決まった訳じゃ…」
タケル 「あいつは間違いなく『月の髪の乙女』だ。」
グリン 「は?」
タケル 「マーハは…自分の為に死んだ多くの人間に出来る事をするまで、自分に甘えを許さない。おそらく女である事にも」
オーフェ 「…月もまた星の1つです。もしかしたらヴァイアは『月の髪の乙女』がルラである事を知っているのかもしれません」
ミッフィー 「!」
ミッフィー、決意の表情。
グリン 「…だったら、ぼっとしてる時間はねえ!急ぐぞ!!」

○アルカード城最上階
ベッドに眠るマーハ。
マーハ 「ううん…。!!」
目を覚ますマーハ。
箱型ベッド。
カーテンの隙間からヴァイアともう一人の人影。
ルシファーである。
マーハ(M) 「あれは!!」

フラッシュバック
第1話
ルシファー 「我らが魔王・四天王の1人『ルシファー』!」
同時に持っていた剣の切っ先をマーハの首元へ。

マーハ(M) 「ルシファー!!」
ヴァイアとルシファーはマーハに気付かない。
ルシファー 「ウィザーズが部下『シャドウ』。ダルシアンの『ファントム』、ガルシアンの『キラーフィッシュ』。…全てレインの前に倒れた。私とて、あの村の二の舞を演ずる気は無い」
ヴァイア 「仰せの通りです」
ルシファー 「『月の髪の乙女』とやらに現を抜かす暇があるのなら、オレンジストーンのレインをエサにルラを仕留める事だな」
ヴァイア 「お任せ下さい。必ずや、ルラの亡骸をこの手に」
マーハ 「!!」
ルシファーがベッドに近付いてくる。
カーテンを開くルシファー。
眠るマーハ。
ルシファー 「『月の髪の乙女』か…」
ルシファーはマーハの髪に触れる。
ルシファー(M) 「気のせいか…、この娘?」
訝しげな表情を見せた後カーテンを閉じる。
ルシファー 「まさかな…まあいい。手並みを見せてもらおうか、ヴァイア」
ルシファーは第1話と同じ様に姿を消す。
ヴァイア 「愚かな事だな。『月の髪の乙女』の生き血を手に入れし者は、その奇跡を手にする事ができるのですよ!」
マーハ 「!!」
同時、ベッドのカーテンを開くヴァイア。
眠るふりをしていたマーハは起きている。
その表情。
ヴァイア 「またの名を『導きの星』ルラ!!」
マーハ 「くッ!」
ロッドを構えるマーハ。
同時。
タケル 「マーハ!!」
タケル、グリン、オーフェ、ミッフィーの4人が最上階に入ってくる。
ヴァイア 「おやおや、邪魔が入ったようですね」
オーフェ 「大丈夫ですか!!」
ヴァイア 「皆さんおそろいですね。では始めましょう!」
マーハ 「なッ!!」
マーハの手首を強引に掴むヴァイア。
その首筋に牙を剥く。
同時服は千切れ、変化を始めるヴァイア。
魔将・ヴァンパイア。
マーハ 「あ…」
グリン&オーフェ 「マーハ(さん)!!」
2人が叫ぶと同時タケルは既に剣を持ち走り出している。
ヴァンパイアはその大きな獣の手で軽く振り払う。
しかし、壁まで吹き飛ばされるタケル。
タケル 「ぐッ!!」
オーフェ 「タケルさん!!」
しかし同時にその手からマーハが落ちる。
走ったミッフィーはマーハを抱えようとするがクッションのような形。
マーハは気を失っている。
ヴァンパイア 「グアアアアアア!!!」
動けない2人を掴もうとするヴァンパイア。
ミッフィー 「フニャゥ!!(悲鳴)」
素早くマーハを抱えるグリン。
その後に続き避けるミッフィー。
ヴァンパイア 「グルルルル…」
ヴァンパイアは理性を失っている様。
ゆっくり5人の方に近付いてくる。
オーフェはタケルを起こしている。
グリン 「もうすぐ朝だ」
タケル 「それが何だって言うんだ!!」
グリン 「『アンデット』は日に弱い。奴に朝日を浴びせる!」
タケル 「でも、どうやる!」
グリン 「コイツがある」
グリンはブーツの踵部分のキャップを外す。
火薬の小袋。
グリン 「時間を稼げるか?」
頷くタケルとミッフィー。
タケル 「(オーフェに)お前は、マーハを頼む!」
タケル&ミッフィーはヴァンパイアへ、グリンは離れた壁へ走り出す。
気を失ったマーハを抱えたオーフェ。
マーハの首筋には鮮血が流れる。

フラッシュバック
マーハ 「ねえ、オーフェ。確かに今回の事は危険な事だったし、タケルにも反対された。でもね、私は自分に出来る事をしているだけだよ」

オーフェ(M) 「ごめんなさい、ごめんなさい、マーハさん!僕は非力です!!」

フラッシュバック
マーハ 「オーフェ、貴方は自分が非力だと言ったけれど、貴方にはあって私には無い物もあるんだよ」

オーフェ(M) 「皆さんに無くて僕にある物…魔法」

フラッシュバック
マーハ 「本当は使い方、知っているんでしょう?」

オーフェ(M) 「はい、使い方は知っています。でも…」
同時、吹き飛ばされるミッフィー。
体ごと掴まれるタケル。
苦しげなその表情と共に鈍い音。
焦るグリン。
しかし、一向に爆発する気配は無くグリンは近付いてくるヴァンパイアに備える。
劣勢。
オーフェ 「僕が、僕がやらなくては…」
マーハを床に横たえ起ちあがるオーフェ。
左手で結ぶ印

フラッシュバック
マーハ 「神様を信じるのと同じ様に自分を信じてごらん。そうすれば、魔法は使える」

オーフェ 「主ラシューヌ神。その御力をもって悪を塵に還せ…」
オーフェの周りに渦巻く聖なる光。
その光景にヴァンパイアは一瞬躊躇する。
同様、目を見張るタケル&グリン。
タケル&グリン(M) 「まさか!」
オーフェ 「『ライトニング』!!」
光は稲光となってヴァンパイアを貫く。
ヴァンパイア 「グアアアアアア!!!(悲鳴)」
ヴァンパイアはタケルを放す。
同時爆発。
大きく開いた壁から朝日が降り注ぐ。
ヴァンパイア 「アアアアアア……」
そのまま灰と化すヴァンパイア。
一時の沈黙。
オーフェ 「……(驚)」
タケル 「やった…」
グリン 「やりやがった!やりやがったぜコイツ!!」
ミッフィー 「フニャン」
ミッフィーは一目散にマーハの元へ駆け寄る。
マーハを揺するが目覚めない。
それを認めオーフェは再び印を切る。
オーフェ 「主ラシューヌ神。正しき者に命の恵みを…」
オーフェの手に翳されたマーハの首筋の噛傷はみるみる内に塞がる。
タケル 「凄いな…」
グリン 「ったく、出来るんなら始めから言えよな」
オーフェ 「実は一度も成功した事が無かったんです。僕はマーハさんのおかげで…」
マーハ 「んん…」
目を覚ますマーハ。
ミッフィー 「ニャア(喜)」
マーハに抱き付くミッフィー。
マーハ 「ミッフィー…。(微笑んで)あなたをレイン・ミッフィーとする」
ミッフィーの頭を撫でるマーハ。
するとロッドは紅く光り、さらに東を示す。
タケル 「大丈夫なのか?」
マーハ 「うん、(オーフェに)魔法、出来たんだね? 良かったね」
オーフェ 「はい、マーハさん。僕は…」
グリン 「やいやいやい!『良かったね』じゃないぜ。何で女って隠してやがった!?」
マーハ 「別に隠しているつもりじゃなかった。第一、最初に間違えたのはグリンじゃない?」
グリン 「う、いや、まあ」
なぜか遠い目をしマーハを見るミッフィー。

To be continued…
LEGEND