第7話 古の獣
シーンA
○ミッフィーの夢
母の腕に抱かれる赤ん坊のミッフィー。
母の顔はよく分からない。
村は焼かれ多くの悲鳴が聞こえる中、必死に逃げる母親。
しかし銃声がしたと同時、一息声を漏らしそのままミッフィーを庇うように倒れる。
背中から流れ落ちる血。
ミッフィー 「エエッ、ック…フエッ…(泣)」
苦しそうに息を喘ぎながら、ミッフィーの顔を撫でようとする母親。

○ キャンプ
夜。
母親の手はマーハの手と重なる。
夢に魘され、涙ぐみながら目覚めるミッフィー。
マーハのその手に気付く。
ミッフィー 「!!(驚)」
マーハ 「ご、ごめん。泣いていたから…。怖い夢でも見たの?」
ミッフィー 「フニュッ〜〜〜!!」
顔を紅くして激しく首を横に振るミッフィー。
恥ずかしそうに布団に顔を半分埋めるが、やがて、マーハの手に安心した様に瞳を閉じる。
ミッフィー(M) 「ちゃう。ウチはいつも一人なん…」
○【サブタイトル】



○ パータリプトラの村
大雨。

○同村 宿のカウンター
主人とレイン達。
レイン達、口を揃えて。
一行 「ええっ、船が出ない!?」
主人 「ああ。ここん所ずっとこんな天気だ。ましてや、難所と言われるラマッカ海峡だ。誰も船なんぞ出しゃせんさ。波に呑まれるのは目に見えてる」
マーハ 「そんな…」
タケル 「別のルートで東に行けないのか?」
グリン 「あ〜、別の海域を渡るか…にしたってこのパータリプトラからは対岸のブリストル行きの船しかねえし…。おてんとさんの回復を待つか?…どっちにしろ時間はかかんなぁ」
オーフェ 「あの…そんな悠長なことも言っていられないんです…」
他の4人、オーフェの顔を見る。
オーフェ 「ここに1晩する分の銀貨…150枚しかありません」
一行、宿の主人を含め絶句。

○同村 宿屋の納屋
天気は一向に変わる気配は無い。
夕食を取りながら相談を始める一行。
ミッフィーはマイペースで食べている。
グリン 「確かにな。魔将の倒し方が悪かったのもあるんだよなぁ」
オーフェ 「魔晶石ですね?」
マーハ 「何それ?」
タケル 「魔晶と呼ばれる宝石から生み出されたモンスターが魔将なんだ。魔将を倒せば魔晶は宝石に戻る。それを『魔晶石』って言うんだ」
グリン 「ただしそりゃ…弱点の魔晶を叩かずに倒した場合の話なんだけどな」
マーハ 「ええ!?じゃあ、今まで…」
げんなりした表情のグリン。
グリン 「そおいう事…」
オーフェ 「『魔晶石』となれば只の宝石ですからね。もっともこの時勢ですからレートは低いのですが。」
タケル 「人数が増えてきたんだ。仕方ない、考えた戦い方をするべきなんだ」
グリン 「くっそ〜ぉ。世界を救うレインともあろうモンが、金銭難に陥るとはよぉ〜。まあ、仕方ねえ…」
グリンはポンッとタケルの肩をたたく。
タケル 「な、なんだよ」
グリン 「力仕事はテメエの仕事だな」
タケル 「な゛!?」
オーフェをビシッと指差すグリン。
グリン 「テメエは接客業」
オーフェ 「ええっ?」
グリン 「仕事を探すんだ。こうなったらナリフリ構ってられねえ!」
オーフェ 「それは、その通りですが…」
タケル 「お前はどうするんだよ」
グリン 「オレ様はなぁ、…シーフな訳だし…」
タケル 「物騒な事考えてるんじゃないだろうな?」
グリン 「そりゃ偏見だぜ、チビ!」
タケル 「盗賊なんだろ、三白眼!」
口論を始めるタケルとグリン。
やれやれといった感じのオーフェ。
オーフェ 「もう、2人共いい加減にして下さい!」
2人の口論は止む事は無いが、既に見慣れた光景である。
一向にマイペースなミッフィー。
空を見上げてマーハ、呟く。
マーハ 「この天気がどうにかならない限り、ここから動けないか…」
マーハにつられ同じように空を見るミッフィー。
その表情。
そのミッフィーを見つめるマーハ。

○ 同村
夜。
納屋で眠る一行。
ゆっくりと目を覚ますミッフィー。
皆が寝ている事を確認した後、静かに納屋を出る。
マーハ 「……」
同じ様に起き上がるマーハ。
ミッフィーの去る方を心配そうに見つめる。
リン 「何なんだ、アイツ…」
マーハ 「!(驚)…起きてたの、グリン?」
グリン 「あ〜気配で目が覚めちまった」
マーハ 「ミッフィーの様子がおかしいんだ。毎晩夢に魘されてるし。それに、この村に来て何か感じているみたい」
グリン 「ああ、この海峡の嵐。どうも只事じゃねえ」
マーハ 「魔将の仕業?」
グリン 「断言は出来ねえが、普通のモンじゃねえな…。オレ様もエルフだから、ちったあ魔力はある。勘みたいな程度だけどよ」
マーハ 「まさか1人で調べに行ったんじゃ…」
やおら立ち上がるグリン。
グリン 「まあ、オレ様に任せておけって!こっからはシーフの仕事だぜ!!」
そのまま、納屋を出てミッフィーを追いかける。

マーハ 「…私も同じね。悪夢に魘されているのは…」

○ 岸壁
夜。
強風に煽られながら、立つミッフィー。
眼下を見下ろす。
ミッフィー 「フニュ…」
グリン 「一体何考えてんだ?」
ミッフィー 「!!」
グリンにつけられていた事に驚くミッフィー。
明らかに不快な顔をする。
グリン 「テメエは獣人だからな。エルフのオレ様を良く思わねえか?」
ミッフィー 「フー…」
グリンを一瞥し、岸壁を降り始めるミッフィー。
グリン 「この崖を降りる気かぁ!?マジかよ…」
そんなグリンを無視し慎重に降りるミッフィー。
仕方なくグリンはついて行く。
グリン 「今時、コンピニア大戦の確執がどうこう言うんじゃねえだろな?今から500年以上も昔の話じゃねえか」
ミッフィー 「…」
グリン 「それはそうと、マーハが心配してたぜ」
ミッフィー 「…」
グリン 「テメエ、悪い夢を見んだってな?」
ミッフィー 「…」
グリン 「それで夜中目を覚ます訳だ?」
ミッフィー 「…」
決して後ろは振り返らないが、段々ミッフィーの表情が険しくなってくる。
グリン 「テメエが悩んでる事をマーハは知ってた。何でか分かるか?」
ミッフィー 「…」
グリン 「アイツも夜、魘されてる。恐らくタケルの事か…」
ミッフィー 「!」
ミッフィーは少し動揺したようで、グリンの方を振り返る。
グリン 「あの城の時みたいに、1人で暴走して魔将に捕まるつもりか?」
ミッフィー 「フギャッ!!」
今までに無い怒りの表情でグリンを睨み付けるミッフィー。
その時2人の足場が崩れる。
グリン 「どわッ!!」
ミッフィー 「!!」
岸壁の下、海へ落ちる2人。

○【アイキャッチ】