第8話 紅き魔術師
シーンA
○ ブリストルの街
深夜。
必死の形相でロッドの素振りを続けるマーハ。

インサート
暗闇の中を逃げるように走るマーハ。
第1話のセーラー服。
暗闇にブラインドのような隙間から光が無数に差している。
その隙間から、聞こえる囁き声。
(ガヤ) 「銀色の髪…変なの」
(ガヤ) 「気持ち悪い…」
(ガヤ) 「気味が悪い…」
(ガヤ) 「人間ではないんじゃない?」
(ガヤ) 「あの子とご両親、血が繋がってないんだって」
(ガヤ) 「弟さんが生まれたんですってね」
(ガヤ) 「黒い髪の、普通の弟さんだって…」
(ガヤ) 「じゃあ、もう要らないじゃない?あの子」
近付いてくる光の扉。
扉を開け、飛び込むマーハ。
そこには、マーハの両親と幼い弟がいる。
息を切らしているマーハ。
マーハ 「ハアハア…ご、ごめんなさい。お父さん、お母さん…。2人がくれた、白い石のペンダント…無くしてしまった…」
つまらなそうに振り返る両親。
「なんだ、帰っていたのか」
「ああ、いいのよあれは。あなたと一緒に在った物だから」
顔を戻す両親。
無邪気に両親に甘えている、弟。

ロッドを激しく木の幹に打ち付ける。
跳ね返され、空を飛ぶロッド。
大地に突き刺さる、と同時。

フラッシュバック
ビル屋上のマーハ。

マーハは膝を落とす。
マーハ(M) 「最近、よく見る夢…」
顔を上げ大地に刺さるロッドを見る。
その柄にあるホワイトストーン。
マーハ 「わたしの…記憶か…」
宿の窓からその様子を見るミッフィー。
その表情。

○【サブタイトル】



○同街・表通り
人通りは多く、両側に出された市場。
活気に満ちている
道の脇にタケル、マーハ、ミッフィーの3人。
険しい表情。
オーフェ 「皆さ〜ん!!」
その声に振り返る3人。
グリンとオーフェの2人が来る。
タケル 「どうだった?」
オーフェ 「手がかり無しです」
グリン 「もう1週間だぜ。こんだけ探してんのに、全くそれらしい情報もねえし…なあ、マーハ本当にここに…?」
ぼんやりしているマーハ。
グリン 「おいっ、マーハ?」
マーハ 「え、ああ。ごめん、聞いてなかった」
グリン 「おいおい…」
タケル 「とにかく、人が多い事も有るし、もう少し粘ってみよう」
なにやら騒がしくなる、人込。
通りを開けるように人込が移動する。
聞こえてくる賑やかな音楽。
タケル 「何だか騒がしいな」
オーフェ 「な、なんなのでしょうか?」
道の脇による人込。
その1番手前で、様子を覗う一行。
空中に舞う無数の紙ふぶき。
原色の衣装に身を包んだ団員、動物達。
ユーリカ 「初めまして〜、皆さ〜ん。サーカス『ドラゴン・フレイム』の団長『ユーリカ』です!ヨロシクお願いしま〜す!!」
その声に応える群集。
グリン 「おっ、カワイイ子じゃん!」
タケル 「お前はそれしかないのかよ…」
オーフェ 「賑やかですね〜」
ユーリカ 「ここブリストルでは今晩が初公演になります〜!皆さん是非、観に来て下さいね〜!!」
チラシを配る団員達。
ふと、仮面を被ったピエロがマーハの前で立ち止まる。
ピエロ(ヨシュア) 「……」
マーハ 「?」
ヨシュアの手袋を填めた手にあるチラシと共にチケットをマーハの手に握らせる。
その表情は仮面により読み取る事は出来ない。
その仮面はどこと無く不気味で、マーハはやや脅えた様。
マーハ 「これ…チケット?」
マーハは顔を上げるが、既にピエロの姿は無い。
サーカスの行列に戻った様。
ミッフィー 「フニャン?」
マーハの手にあるチラシとチケットを見る。
好奇心に満ちたその表情。
マーハ 「何だったんだ…今の人」
行列は通過し終え、また普段の表通りに。
オーフェ 「どうしたのですか、マーハさん?」
オーフェ、チケットを見て。
オーフェ 「あ、それ、公演チケットじゃないですか!」
グリン 「あんだって!」
グリンもチケットを覗きこみ手に取るグリン。
グリン 「マジだぜ。(マーハに)どうしたんだ?」
マーハ 「ちょっと怖い…ピエロが来て、くれたんだよ」
グリン 「おっ、2枚ある。気が効いてんじゃねえか!」
グリン、マーハの肩を抱き。
グリン 「ちょっくら2人っきりで、出掛けようぜ!」
マーハ 「はぁ…?」
オーフェ 「あ、グリンさん!ずるいです!!」
ミッフィー 「フナオゥ!」
すると、ミッフィーが目にも止まらぬ早業で2枚のチケットを奪う。
ミッフィーはニッコリと微笑み、チケットの片方をマーハに渡す。
グリン 「んな、このガキャ…」
タケル 「(怒)いい加減にしろ!」
その怒声で、動きが止まる4人。
タケルは呆れ顔。
タケル 「全く…」
タケルはマーハとミッフィーの手にあるチケットを見て。
タケル 「2人で行ってくればいい」
グリン 「お、おい?」
オーフェ 「え、ええ?」
不満のグリン&オーフェを見るタケル。
タケル 「大人気無いんじゃないか?」
グリン&オーフェ 「う…」
図星の表情。
マーハ 「あ、だったら、わたしがやめるから…グリンかオーフェが行けば…?」
グリン 「コイツと行くぐらいなら…別に…(苦笑)」
オーフェ 「僕達は構いませんから…息抜きしてきてくださいよ(苦笑)」
マーハを見上げるミッフィー。
ミッフィー 「フニャオ?」
マーハ 「う…ん…」
タケル 「じゃあ、俺達は続けてレインを探すぞ」
グリン&オーフェ 「イッ!?」
2人げんなりした表情でタケルを見る。

○ 同街・表通り
夕暮れ。
ある出店の前で品定めをしながらも考えに耽るグリン。
すぐ近くに、やはり物思いに沈むオーフェ。
互いに気付いていない。
グリン(M) 「あ〜、もうちょっとだったんだけどな〜」
オーフェ(M) 「最近、マーハさん…元気ありませんし。僕が勇気付ける良い機会だったんですが…」
グリン(M) 「タケルぐらいじゃねえのか。そこんトコに気が使えねえのは!」
オーフェ(M) 「…そうですよ。タケルさんももうちょっと、マーハさんを労わるべきです!」

店主 「この、絹のスカーフ…彼女にプレゼントなんてのはどうだい?」
白い絹のスカーフを2人に勧める店主。
グリン 「それくれ!」
オーフェ 「それ下さい!」
お互いの声に気付く2人。
グリン&オーフェ 「うわぁ!!
グリン 「いつからこんなトコに居やがる?」
オーフェ 「グ、グリンさんこそ。あなたは東の方を探しているんじゃないですか?」
店主 「んで、どうすんだい2人共?」
スカーフと互いの顔を見合わせる2人。
ジト目のグリン。
グリン 「マーハか…?」
慌てるオーフェ。
オーフェ 「グ、グリンさんこそ!」
するとその時、二人の首の間からタケルが顔を出す。
タケル 「な〜にしてんだ2人共?」
グリン&オーフェ 「うわぁ!!」
突然現れたタケルに驚き慌てるグリン&オーフェ。
タケル 「油売ってんじゃないぞ。何か分かったか?」
店主 「おっ、坊主も彼女にどうだい?」
スカーフをタケルに勧める店主。
タケル 「……」
グリン&オーフェ 「……」
タケル無言でグリン&オーフェを見る。
タケル 「あいつには要らない…」
無愛想に店を去る、タケル。
グリン 「おいっ!」
オーフェ 「待ってください!」
険悪になり、互いに苛立つタケル&グリン。
早歩きに進む。
その後をやや遅れてオーフェ。
グリン 「マーハの事なら何でも知っている…って言う訳だな?」
オーフェ 「2人共待って下さいってば〜!」
その声に足を止めるタケル。
オーフェは追い着き、グリンも立ち止まる。

タケル、小声で自虐的に。
タケル 「俺だって…何も知らないさ…」

○【アイキャッチ】