第9話 不死なる賢者
シーンA



○海上の小舟
賢者の塔がある孤島へと向かう、タケル、グリン、オーフェ、ミッフィー。
舟を漕ぐのはタケルとグリン。
グリン、ミッフィーは明らかに不機嫌。

インサート・第8話
ヨシュア 「師匠の居る『賢者の塔』へはここの港から、北にしばらく行った島にありますよ。せいぜい頑張って来て下さい」
他4人 「はぁ?」
一瞬言葉を無くす他4人。
ミッフィー 「なんや、付いて来てくれるんとちゃうんか?」
ヨシュア 「なぜあなた達と?」
オーフェ 「なぜって同じレインじゃないですか?」
ヨシュア 「どうして私が?」
グリン 「どうしてじゃねえだろ!」
ヨシュア 「私はこの通り1人で十分です。私には群れる必要などありませんよ」
静かにカップに口をつけるヨシュア。
タケル 「……」
呆然とするタケルを始めとする4人。
タケル(M) 「水晶玉に姿を変えられてしまったマーハを、元に戻すことが出来るのはインディゴストーンのレインであり、また自分の師であるマホメトしかいないと、ヨシュアが言った」
グリン 「(独り言)ヨシュアとか言いやがったな…性格悪いぜ〜、あんにゃろぉ〜…」
ミッフィー 「(独り言)アンさんの魔法のせいや責任とれって言うたら、なんて言うたと思う?」
船の縁に立ちヨシュアの物真似をするミッフィー。
ミッフィー 「『これは私ではなく、デスマスクが私を介して、した事でしょう?あなたに命を救われた恩は、既に師匠の情報でお返ししましたよ』」
その二人の様子を見て、オーフェ。
オーフェ 「集団行動が苦手なんでしょうか?」
大きくため息をつく一行。
タケル(M) 「そのヨシュア…当人もレッドストーンのレインなんだが…」
荷物の傍にある大切そうな包みを遠い目で見るタケル。
タケル(M) 「マーハだったらどうするだろう?」
舟前方、霧が晴れ孤島に聳え立つ塔が見えてくる。
雲が低いせいなのか、頂上が見えない程の高い塔。
賢者の塔の場景。
グリン 「まさか、あれじゃねえか!?」

【サブタイトル】



○賢者の塔近辺
生い茂る草木を掻き分け進む一行。
タケル 「本当にこんな所に人が住んでいるのか?」
グリン 「んま〜あ、いかにもあの『不死なる大賢者』が住む所っぽいよな〜」
タケル 「そんなに有名な人間なのか?」
タケルのその言葉に驚く、他3人。
グリン 「オマエ、ほんっと世間に疎いんだな〜!」
タケル 「…俺は、生まれ育った島から出た事が無いから…外の界の事は何も知らないんだ」
グリン 「…は〜ん」
ミッフィー 「ウチも話だけなら聞いたことあるんよ。何でも、伝説(レジェンド)の時代から、生きる大賢者マホメト…」
タケル 「千年も前の話じゃないか!」
グリン 「んまっ、モノの喩えなんだろうけどよ」
オーフェ 「それまで魔法と呼ばれていたものを古代魔法、神聖魔法、暗黒魔法といった体系に確立し、基礎を築き上げたのも彼です。その教えの一部を受け継いだ魔術師は何人も居るそうですが、正確に弟子を取ったと言う記録は残っていませんでした」
タケル 「でも、そんな老人が戦う事なんて出来るのか?」
グリン 「この数十年は世界各地を旅してたらしいぜ」
オーフェ 「(驚)ええっ!それは初耳です!!」
グリン 「んまっ、悪魔で噂だけどよ…にしても、そのジジイもたいしたコトねえぜ?弟子があんなロクデナシじゃ〜…」
言いかけたその時、賢者の塔正面扉前。
ヨシュアが立っている。
ヨシュア 「…そのロクデナシですが…」
グリン 「どわぁぁぁぁ!!」
驚く一行。
無表情のヨシュア。
ヨシュア 「鍵は開けておきました」
ヨシュアが手を翳すと音を立てて、独りでに開く扉。
グリン 「おおっ、気が利くじゃねえか!!」
ヨシュア 「1つ言い忘れていた事がありましたので…」
塔の中の様子を覗う一行。
ヨシュアは微動だにしない。
ヨシュア 「この塔に居るモンスターは物理攻撃のみ有効な物と物理攻撃が全く無効な物が居ますので、頂上目指して頑張ってください」
他4人 「(驚)何〜!?」
一行が振り返るとヨシュアの姿が無い。
モンスター 「グオオオオォォォォ〜!」
塔内部より響くモンスターの雄叫び。
グリン 「あ、あ…のヤロ…」
とその時、奥から光の玉が4個漂うように現れる。
タケル 「何だ、あれは…?」
光の玉は一行が視界に入ったのか、一瞬動きを静止した後、4人それぞれにぶつかってくる。
タケル 「クッ!」
それぞれに避ける一行。
タケル 「ハアアアァァァァ!!」
タケルは素早く剣を抜き、光の玉に切り返す。
すると、分裂し2個になる光の玉。
タケル 「な、何!」
グリン 「イッ、インチキだ!」
ミッフィー 「こ、こいつは『ウィル・オー・ウィスプ』や!」
グリン 「精霊じゃねえか!」
オーフェ 「物理攻撃が無効な敵とはこれの事だったんですね!」
ミッフィー 「まあ、コイツラはウチに任せとき!」
印を切るミッフィー。
ミッフィー 「聖獣『ミッフィー』の名に於いて命ずる…出でよ『シェイド』!」
第三の瞳から放たれる暗黒の球体。
シェイドはウィル・オー・ウィスプに向け一直線に飛んでいく。
同様に、詠唱を始めるオーフェ。
オーフェ 「『ライトニング』!」
オーフェの両手より放たれる稲妻。
感嘆のため息をつくタケルとグリン。
タケル 「俺達の出番は無いな…」
グリン 「たいしたもんダゼ…!!」
タケル 「!!」
と、背後に気配を感じる2人。
双方に避け間合いを置く。
武器を構える2人。
タケル&グリン 「!!」
通路奥から現れる石の巨人『ゴーレム』
タケル 「こいつは俺達の相手のようだな…」
グリン 「んじゃ、一暴れといくか…」
ゴーレムに向かう2人。

○賢者の塔頂上・マホメトの部屋
樫の杖で壁に映し出されているのは、戦う一行の様子である。
それを見つめる小さな老人マホメトのシルエット。
表情は読み取る事が出来ない。
マホメト 「……」
杖を下ろすと壁に映し出されたビジョンは消える。
宙を見つめ一息置くマホメト。

マホメト 「イリス…。時は満ちたようだ…」

呟き…。

○【アイキャッチ】