第12話 叛旗翻し戦士
シーンC
○ フランドル荒野
ウィザーズの姿が歪む。
闇に包まれる二人。
二人の姿は癒合して一つとなり、その闇は巨大な魔将を形作っていく。
双頭の魔将ヒュドラが姿を現す。
ミッフィー 「双頭の蛇!?」
ヒュドラ 「散々梃子摺ラセタテクレタ!ココガ貴様等ノ墓場ニナルンダ!」
包囲を狭くする魔将達。
一方レイン達はマーハを守るようにして陣を組む。
ガルシアン 「……」
その傍らでガルシアンは放心状態。
タケル 「オーフェ、マーハを頼む」
オーフェ 「ハイ、分かりました!」
タケルは静かにマーハを横たえる。
ヨシュア 「やれやれ、これはまた一仕事ですね」
マホメト 「雑魚はわし等に任せい!」
グリンとミッフィー同時に飛び出す。
レイン達に襲いかかる魔将の群れ!
タケル 「……」
タケルは無言でマーハのすぐ傍に落ちているパープルストーンを拾う。
ガルシアン 「俺は…魔王にも裏切られたと言うのか…」
ガルシアン、焦点が定まっていない。
タケル 「ガルシアン!」
その言葉に振り返るガルシアン。
タケルはガルシアンにパープルストーンを投げる。
反射的に受け取るガルシアン。
タケル 「それはあんたのだからな。最もそんな石なんて関係ない。レインである事も…そんな事は関係ない」
ガルシアン 「……」
タケル 「俺もここに居るみんなもマーハの元に導かれた事に変わりない。仲間だ…」
自分の剣を抜き魔将へと向き直るタケル。
その表情。
タケル 「あんたも含めてな!」
ガルシアン 「!(驚)」
タケルは魔将の群れへと飛び出して行く。

ヨシュアとマホメトの戦いの場景
二人背中合わせに。
タケル(M) 「娘の様に…」
マホメト 「どうじゃ、ヨシュア。久しぶりにあれをやるか?」
タケル(M) 「妹の様に…」
ヨシュア 「久しぶりって何年前の事です?もう、忘れてしまいましたよ…」
マホメト 「こういうものは体が覚えているもんじゃ」
マホメトは高く杖を掲げ、ヨシュアは両手で印を組む。
ルーンの詠唱。
マホメト 「六元の碧…清らかなる水…」
ヨシュア 「六元の紅…熱く燃ゆる炎…」
マホメト 「その二つの起源を以って…」
ヨシュア 「新たなる意思を生まん!」
ヨシュア&マホメト 「『ツイン・グラン・ドリーム』!」
二人の周りから巻き起こる紅い炎と碧い水の旋光が魔将の群れを巻き込む。

ミッフィーの戦いの場景。
ヒュドラの首の一本を相手にしている。
空中を跳ね回るミッフィー。
唸りくねるヒュドラの首。
タケル(M) 「母の様に…」
ミッフィー 「ウニャ〜、ちょこまかちょこまか忙しいわ!」
と、すぐ後ろからもう片方の首。
ヒュドラ 「『ヴァティ』!」
ミッフィー 「あかん!」
オーフェ 「『プロテクティブ・サークル』!」
ミッフィー 「!」
大地に降り立つミッフィー。
タケル(M) 「姉の様に…」
オーフェ 「大丈夫ですか!ミッフィーさん!!」
後方からマーハのすぐ近くにいるオーフェの声。
ミッフィー 「おおきに、オーフェ!」
ミッフィーは振り返る。
グリン 「ぼやぼやしてんじゃねぞ!」
グリンがミッフィーの前に降り立つ。
ミッフィー 「やかまし!」
タケル(M) 「恋人の様に…」
グリン 「ここはオレ様とタケルに任せな、援護を頼むぜ!」
ニヤリと笑うグリン。
ミッフィー 「エルフのアホに指図されんのは気に食わんけど…」
同じ様に、ニヤリと笑うミッフィー。
ミッフィー 「まあ、その話のったるわ!『グノーシス』!」
第三の瞳から現れるドワーフのような大地の精霊。
グノーシスは伏せ、両手を大地に付ける。
大地から起こる岩塊がヒュドラに襲いかかる。
ヒュドラ 「グワアアアアァァァァッ(絶叫)!」
タケル(M) 「欠けがえのない半身…」
武器を持ちなおすタケル。
その表情。
やや間。
その傍へ、グリン。
タケル 「行くぞ!」
グリン 「おうよ!」
目で合図。
タケル&グリン 「ハアアアァァァァッ!」
掛け声を上げ双方の首へと向かう二人。
タケル&グリン 「!」
ヒュドラ 「グワアアアアァァァァッ(絶叫)!」
両方其々に切り落とす二人。
ヨシュア 「やりましたか?」
マホメト 「いや、まだじゃ!」
ヒュドラ 「ウガガガガァァァァッ(絶叫)!」
ミッフィー 「く、首が…」
斬り落とされた首の切口から再び二つの首が現れる!
オーフェ 「そんな…なんて生命力なんですか!」
その様子を放心状態で見ていたガルシアン。
ガルシアン 「(呟)首の付け根だ…」
タケル 「何だって!」
ガルシアン 「あの双頭はいわばダミーだ。奴の中枢はその双頭の首の付け根にある」
タケル 「ガルシアン…」
ガルシアン 「ルラか…」
ガルシアン、手にあるパープルストーンを握り締める。
横たわって気を失っているマーハを見るガルシアン。
ガルシアン 「俺は全てに裏切られた…しかし、これが最後だ…」
ハルバードを構えるガルシアン。
ガルシアン 「最後にルラを…信じてみるのもいいだろう」
他レイン達 「!」
行に笑顔。
レイン其々の表情。
マホメト 「わし等が周囲の魔将共の動きを封じよう!」
ヨシュア 「その隙に(タケル、グリン、ガルシアンに)あなた方がウィザーズを!」
オーフェ 「守りの援護は任せてください!」
ミッフィー 「ウチがウィザーズの注意を引く!」
タケル、グリン、ガルシアン頷く。
グリン 「右はオレ様」
ガルシアン 「ならば、俺は左だ」
グリン 「頼んだぜ、タケル!」
タケル 「ああ!」
飛び出す3人。
マホメト 「『アイススマッシュ』!」
ヨシュア 「『エクスプロード』!」
二人から繰り広げられる魔法。
周囲の魔将の群れを包み込む!
ミッフィー 「行ッけえ〜『シルフ』『グノーシス』!」
一度に2体召喚される精霊。
魔将を包む炎、氷、岩石の嵐!
その背後から飛ぶタケル、グリン、ガルシアンの3人。
オーフェ 「主ラシューヌ神イリス、正しき者達に神のご加護を…『ゴッド・ブレス』!」
その3人の体が光を帯びる。
ヒュドラ 「『ディヴィザム』!」
黒いカマイタチ!
しかし、その魔法はオーフェの神聖魔法にかき消される。
ヒュドラ 「ナニイイイイィィィィ!」
グリン 「オリャアアアアッ!」
ガルシアン 「ハアアアアッ!」
双方の首に斬りかかる二人。
そして最後にタケル。
タケル 「これで終わりだああああッ!」
首の付け根に剣を立てる。
ヒュドラ 「グ……」
タケルのその切口から起こる閃光。
ヒュドラ 「バカナアアアアァァァァッ(絶叫)!!」
ヒュドラの巨体は黒く光り、ボロボロと崩れて行く。
着地するタケル、グリン、ガルシアン。
一行 「!」
同時に周囲にいた魔将の魔晶石が光り、魔将も灰となってゆく。
やや間。