第13話 星墜つ刻
シーンA
○魔王城・ヴァティスの間
跪いている四天王のルシファー。
及びヴァティス神像の足元に、深いフードをかぶった男『魔王』
魔王 「レインは集った…」
ルシファー 「……」
魔王 「ウィザーズが敗れた時、貴様は何をしていたのだ」
ルシファー 「次なる策を実行に移す為…」
魔王 「もう良い…用なしめ…」
その言葉に驚愕のルシファー。
ルシファー 「!」
魔王 「度重なる失敗を赦す程…予は寛容ではない…失せよ」
ルシファー(M) 「仕方あるまい…。何も解しておらんな…魔王は…」
苦虫を噛み潰したような表情のルシファー。
そのまま、無言で広間を後にする。

フラッシュバック・第12話
『核砕陣』を打ち消すマーハ。

ルシファー(M) 「あの娘は…奇跡を起こす」
足音が広間を木霊する。
魔王 「……」
ヴァティス神像に振り返り、見上げる魔王。
魔王 「今暫しの時…血の生贄を捧げよ。されば我等が神は降臨す…」

○【サブタイトル】




○ ヘパイストスの鍛冶場
たくさんの武器防具が並べられた倉庫で色々と試着をしている。
タケル、グリン、オーフェ、ミッフィー。
横でヘパイストスが満足げに見ている。
タケル(M) 「あれから北に進んだ俺達は今、マホメトの知り合い、ドワーフのヘパイストスに世話になっている。決戦に向け、装備を整える為だ」
グリン 「どうだ?」
ミッフィー 「(呟)ほほ〜馬子にも衣装やな…」
グリン 「んだと〜!…ドワッ!」
鎧の重みに耐えられず転ぶグリン。
一方タケルもまた鎧を試着する。
タケル 「思ったより重くないし、動きやすい…」
オーフェ 「御似合いですよ、タケルさん」

○ 同 一室
ベッドの上で依然眠りつづけるマーハ。
その横でヨシュア、マホメト、ガルシアン。
ヨシュア 「魔王…ですか。(ガルシアンに)あなたは何か御存知ないのですか?」
ガルシアン 「魔王…その名は『デビルダス』」
ヨシュア&マホメト 「!」
ヨシュア 「『ドレイク』ではないのですね?」
マホメト 「……」
ガルシアン 「その名を知っているとはな…お前も只者ではあるまい?」
ヨシュア&マホメト 「……」
ガルシアン 「今から丁度20年前、確かに魔王は二人存在した。魔王『デビルダス』そして魔王『ドレイク』。デビルダスは天界パウルを、ドレイクはサンタマリア王国を一昼夜にして滅ぼした」
ヨシュア 「何ですって、天界をも既に!」
マホメト 「パウルとここライムランドに人的交流は無い。言わば異なる世界…わし等が気付かんのも無理は無かろう…」
ヨシュア 「(ガルシアンに)大神とラシューヌ神の動きを封じる為ですか?」
ガルシアン 「ああ。その後何故かドレイクはサンタマリアの王都ヤンシャオに留まり、結界を張った。以来、ヤンシャオは外界からの侵入を許さず。今ではドレイクが生きているのかすら分からん」
ヨシュア 「ドレイク…」
マホメト 「そうして、それから6年ぐらい後になるかのう…デビルダスとやらがライム王国に攻め入ったのは?」
ガルシアン 「ああ。あれ以降表立った侵攻はしていない」
ヨシュア 「主国ライムをも滅亡させるほどの力を持ちながら、何故?」
マホメト 「……」
考え込むマホメト。
ガルシアン 「分からん…あの男が一体何を考えているのか?…だが、奴の力は強大だ。正直この戦力でかなうとは思えん」
ヨシュア 「おやおや、随分悲観的ですね?」
ガルシアン 「確かにレインの結束は固い…だが…」
ガルシアン、眠るマーハの方を見る。
ガルシアン 「勝機はマーハの起こす奇跡にあると思う」
ヨシュア 「……」
ヨシュアもつられてマーハを見る。
ヨシュア 「でも、これから先どうします?頼みのホワイトストーンの力は無い」
ガルシアン 「デビルダスはデストニアの中心に位置する魔王城『デスパレス』にいる」
ガルシアンの方に向きなおすヨシュア。
ヨシュア 「デストニアですって?…陸路も海路も閉ざされているのに、どうやって上陸すれば?」
ガルシアン 「分からん。俺達は騎獣や魔晶石を使っていたが…」
マホメト 「それについては、ワシに心当たりがある」
マーハ 「んん…」
マーハ、目を覚ます。
マホメト 「マーハ!」
マーハ 「……」
無言で体を起こすマーハ。
マーハ 「!(驚)」
呆然とした表情。
やや間。
マホメト 「マーハ?」
その、間に怪訝そうな表情のマホメト。
マーハ 「あ、マホメト?」
マホメト 「ワシの忠告を無視しおって…」
マーハ 「ごめんなさい。…どのくらい寝てた?」
マホメト 「丁度今日で3日目じゃな」
マーハ 「そうか…大分時間をロスしちゃったね…ガルスは無事?」
その場にガルシアンが居る事に気付いていないようなマーハ。
他3人 「!(驚)」
ヨシュア 「ガルシアンは…」
ガルシアン 「!」
無言で近付くガルシアン、ベッドの上で上半身を起こしているマーハの目の前に座る。
それをヨシュアと勘違いしてるマーハ。
マーハ 「(ガルシアンに)ヨ、ヨシュア…?」
ガルシアン 「すまない…俺のせいだ…」
マーハ 「!」
しまったという顔のマーハ。
マホメト 「見えておらんのだな?」
マーハ 「ごめんなさい」
ヨシュア(M) 「ホワイトストーンと彼女の思う力の為か…」
ガルシアン 「すまない…」
マーハ 「違う、ガルスのせいじゃない…。こうなった事は仕方なかったんだ。たいした事無いよ」
ヨシュア 「たいした事無いとは言いますがね…」
マホメト 「ヨシュア!」
マホメトの制止の声にヨシュアは黙る。
マホメト 「それにガルシアン。しばらく席を外してはくれんかの?」
ヨシュア 「…行きましょう、ガルシアン」
ガルシアン 「……」
ガルシアン、ヨシュアの順に部屋を出て行く。
後ろ手に扉を閉めるヨシュア。
ガルシアン 「これで残された勝機も失った…」
ヨシュア 「いえ、心配は要りません。高位神聖魔法『リジェネーション』…」
ガルシアン 「あの老師は神聖魔法をも操るのか?」
ヨシュア 「ええ。私の右目にもあの人が光りを与えてくれた…でも」
ヨシュア、その表情。

ヨシュア(M) 「彼女も…見る事になる…」

○ 同 一室
マーハとマホメト二人きりになった部屋。
マーハ 「いよいよ…だめだね…わたし」
マホメト、今までに無い優しい声。
マホメト 「マーハ、そこに座りなさい」
マーハ 「マホメト?」
マホメト 「心配はいらん…」
マーハ 「……」
ベッドの上で正座するマーハ。
マホメト 「目を閉じなさい…。雑念を振り払い、ワシに心を委ねるのだ」
マーハ 「……」
言われたように素直に目を閉じるマーハ。
マホメト 「…不具になりし瞳に、今再び光を与えん『リジェネーション』…」

インサート
暗い闇の空間に座り目を瞑るマーハ。
ゆっくりと目を開く。
眼前に立つ荘厳な青い鎧を纏った聖騎士の男。
何処か懐かしい温かさ、そして近寄りがたい尊さを感じる。
マーハ 「!(驚)」
アクスタイン 「……」
優しく微笑む男。
フラッシュ。

マーハ 「マホメト?」
もとの場景に戻っている。
マホメト 「どうした?」
マーハ 「今のは…」
目の目に居るのは小さな老人、マホメト。
マホメト 「フォッフォッフォッ。どうじゃ、よう見えるじゃろ?」
マーハ 「あ、うん」
マホメトは何事も無かったかのように笑う。
マーハ、その表情。

○ 同 食卓
夕食。
一行とヘパイストス。
オーフェ 「でも、マーハさんが元気になって良かったです」
ミッフィー 「ホンマ、もう目ぇ覚まさなかったらどないしようって思うたんよ」
マーハ 「ごめん。心配かけたね…」
タケル 「いよいよ魔王…デビルダスとの決戦だな」
マホメト 「うむ、ここから北にある迷いの森に向かおう。その森林の何処に古代よりラシューヌ神を祭る『虹の神殿』があるという。そこへ行けば、デストニアに上陸する手段が見つかるじゃろうて」
ヨシュア 「で、マーハはどうしますか?」
マーハ 「……」
ガルシアン 「何を言っているのだ、ヨシュア」
マーハ 「わたしは…」
マホメト 「ワシもヨシュアの意見に賛成じゃよ…」
マーハ 「!(驚)」
ガルシアン 「老師まで!」
タケル 「おいっ、何の話だよ?」
やや、険悪になるタケル、マーハ、ヨシュア、マホメト、ガルシアン。
と、そこで一行をなだめる様に話題を変えるヘパイストス。
ヘパイストス 「そういやねえ、皆さん。この付近にはあちこちで温泉が、わんさか沸いとるんですわ。御食事の後に、一っぷろ浴びてはいかがです?」
グリン 「なにぃ〜。温泉か〜、いいじゃんか?」
オーフェ 「そ、そうですね〜。身も心も温まりましょうよ?」
ミッフィー 「せやせや、でも。男と女は別々やで」
グリンは険悪な5人に明るく話す。
グリン 「んな、辛気臭い話は後にしてよお。今までのごちゃごちゃをキレイさっぱり洗い流しちまおうぜ!」

○ 山中
グリンの後を付いて行くタケルとオーフェ。
それぞれ入浴の道具やら着がえやらを手にしている。
何やら考え込んでいるようなタケル。
タケル 「……」
オーフェ 「ねえ、グリンさん。一体どこまで行くんです?」
グリン 「しい〜〜〜〜ッ!」
口に指を立て険しい表情でオーフェを睨むグリン。
グリン 「(小声)ついさっき、ミッフィーの後を付けたんだ…。ムフフッ…間違いねえ…マーハも一緒だぜ…」
オーフェ 「(小声)ええっ?」
タケル 「……」
グリン 「(小声)ん何ボサッとしてるんだ、タケル!」
タケル 「ん、ああ悪い」
グリン 「(小声)ったく。せっかくこのオレ様が誘ってやったッつうのに…」
オーフェ 「(小声)ち、ちょっとグリンさん。まさか…」
グリン 「(小声)おうよ。屋外露天風呂と言ったらコレ、の・ぞ・きよ。目の前にある極上の獲物を見過ごすたあ〜ライムランド1のシーフ、グリン様にゃあっちゃあならねえ!」
タケル 「んな…バカか…」
グリン 「んだとお?」
声を荒立てるグリン。
オーフェ 「(小声)ち、ちょっとグリンさん大声出さないで下さい!」
タケル 「勝手にしろ、俺は他へ行く!」
顔を紅くして、怒った様にどこかへズカズカ歩いていくタケル。
グリン 「ったく。乗りの悪い奴だぜ…」
オーフェ 「あの〜、グリンさん。僕もそういうのはちょっと…」
逃げようとするオーフェの奥襟を掴むグリン。
強張る笑みのグリンに怯えるオーフェ。
グリン 「んまあ、付き合えよ。イイモン拝ませてやるぜ…」
オーフェ 「ひぃ」
オーフェ、半泣き…。

○ 同 温泉
肩まで湯につかるタケル。
タケル(M) 「ったく。あのバカ…」

フラッシュバック
ヘパイストスの食卓。
ヨシュア 「で、マーハはどうしますか?」
マーハ 「……」
ガルシアン 「何を言っているのだ、ヨシュア」
マーハ 「わたしは…」
マホメト 「ワシもヨシュアの意見に賛成じゃよ…」
マーハ 「!(驚)」
マーハの表情

タケル、その表情。

インサート
大地に置かれたバンダナ、脱ぎ捨てられる衣服。

タケル(M) 「あいつ、まさか…」
ピチャン…という湯の音。
誰か居る事に気付き音の方を振り返り、起ち上がるタケル。
タケル 「!」