第17話 永遠の命
シーンA
○ 【テロップ】
(テロップ) 「ライムランド暦1444年」

○ アマルナの最深部
燭台の炎が揺らぐ、暗い地下室。
中央には円卓があり、上にグラスに注がれた3種のワイン?がある。
それぞれに、赤ワイン、ロゼ、白ワイン。
円卓を囲む3人のエルフ。
蝋燭の光がうち1人(成人デデム)の顔に照らされる。
デデム(成人) 「ついに我等の夢は叶った。ここにあるそれぞれに配合を変えた3種の液体。…うち1種は間違いなく『不老不死の秘薬』!」
蝋燭の光がうち1人(ドギ)の顔に照らされる。
ドギ 「これに最後のサンプルが使われた。事実上、聖獣は全滅した訳だ…」
デデム(成人) 「我等の偉大なる文明の、ただの踏み台に過ぎんッ!!」
デデムは我先にと1種のワインを手に取る。
赤い血のような色。
ドギ 「……」
ドギは思いつめたような表情。
やや間を置いて、ロゼワインを手に取る。
最後の1人の手、白ワインのグラスに伸びる。
ダヴァンである。
しかしその顔は現在と変わりがない。
ダヴァン 「……」
ダヴァン、その表情。
眼前にグラス。
ワインの中には目玉が沈んでいる。
一斉に飲み干す3人。

○ 【サブタイトル】





ダヴァンの回想。
コンピニア帝国。
ダヴァン(M) 「今から600年ほど昔に、シャヌーンのエルフ達は一大文明を築き上げた。魔法と機械の融合を実現した、コンピニア。その栄華はシャヌーン全土に繁栄をもたらし、その名をコンピニア帝国とまで変えた」
コンピニア帝国、首都アマルナ。
エルフ(ガヤ) 「ワァァァァ〜〜〜〜!!」
エルフ(ガヤ) 「コンピニア、万歳〜〜〜〜!!」
エルフ(ガヤ) 「三博士、万歳〜〜〜〜!!」
コンピニア国民エルフ達の前、バルコニーに立つ三博士。
デデム、ドギ、ダヴァンである。
皆30代前後の外見、しかしダヴァンは現在と変わらない。
ダヴァン(M) 「その文明を確立した3人のエルフ…デデム、ドギ、そして私はいつしか三博士(さんはくし)と呼ばれ、コンピニアの全てを支配した」
エルフ(ガヤ) 「ワァァァァ〜〜〜〜!!」
エルフ(ガヤ) 「コンピニア、万歳〜〜〜〜!!」
エルフ(ガヤ) 「三博士、万歳〜〜〜〜!!」
国民の歓声に応える、3人。
3人のその満足気な表情。
ダヴァン(M) 「そう、私達は奢り高ぶっていたのだ。所詮私達は、只人。なのに…」
アマルナの最深部。
円卓を囲む三博士。
分厚い計画書を閉じるドギ。
ドギ 「よしッ!…これで、植物に対するシステムD計画も終わったなぁ。人々が貧困で苦しむこともなくなる…」
ダヴァン 「システムD『Dead』有機体の再生か…。もう、コンピニアも終着点にたどり着いたのではないか?」
デデム(成人) 「だが、生前の記憶再生はできん」
ドギ&ダヴァン 「!!(驚)」
その言葉に、デデムへ振り返る他の2人。
ドギ 「何を考えてるんだ、デデム」
デデム(成人) 「ここに最終案システムC『Continuation』を発案する!」
ドギ 「システムCだと?」
デデム(成人) 「そう。これこそ、コンピニアの最高峰…『永遠(とわ)の命』だよ」
ドギ 「バカな、そんなこと無理に決まっている!!」
ダヴァン 「生命など、各種族に定められたものだ。それでも、私達エルフは100年以上…人間の倍は生きる」
デデム(成人) 「ダヴァン、その100年の間に己が願望を達成できるのか?」
ダヴァン 「!」
デデム(成人) 「ドギ、お前は死を恐れないのか?」
ドギ 「!」
デデム(成人) 「永遠の命を与えられた種族がいるではないか?」
ドギ 「確かにその種族を研究すれば…何か答えがつかめるかもしれないな…」
3人それぞれの表情。
デデム、野心に満ちた表情。
ドギ、研究への意欲を見せ始める。
ダヴァン、迷い。
ダヴァン 「永遠の生命…聖獣か…」
回想終了。

○ダヴァンの館
以前に比べみすぼらしく、調度品の一切がなく、館の所々が崩れている。
ダヴァンとタケル、シュスフィーナ、オーフェ、ヨシュア、ガルシアン机に座っている。
グリン、ミッフィー、サルサの姿はない。
ダヴァン 「聖獣は自ら命を絶つか、あるいは首を切られるなどという事がない限り、死ぬ事はないと言われています。そして、『聖獣狩り』をきっかけにエルフと獣人、つまりシャヌーンとファンジーム間に『コンピニア大戦』が起こりました。結果は歴然としていました。コンピニア帝国の力は強大で、その力の前に数えるほどしか居ない聖獣。その聖獣の全てが召喚魔法を使えるわけではない」
ヨシュア 「精霊を召喚するには『契約』が必要ですからね。その精霊も見付ける事に難儀する」
シュスフィーナ 「そっか、だからミッフィーさんはエルフの事が嫌いなんだ!」
オーフェ 「グリンさんと仲が悪いのもそのせいなんですね!」
タケル 「2人とも、今はそんな話をしてるんじゃないだろ…」
呆れ顔のタケル。
その言葉にシュスフィーナとオーフェはシュンとなる。
ガルシアン 「ところで、肝心のオウルはどこにあるのだ?」
ダヴァン 「当時、この大戦でファンジームからオレンジストーンのオウルを入手しました。グリーンストーンのオウルと共に、ファンジームの研究所『ラボラトリィ』にあります」

○ ダヴァンの館・バルコニー
ミッフィーの回想。
ダヴァンの館に到着したレイン一行。
出迎えるダヴァンとサルサ。
ダヴァンの外見は変わらないが、サルサは少し大人びている。
ダヴァン 「大きくなったな…、ミッフィー…」
ダヴァンは父親のような優しい笑みをミッフィーに向ける。
ミッフィー 「……」
顔を背けるミッフィー。
回想終了。

ミッフィー 「…何をいまさら」
バルコニーに寄りかかる。
何やら思いつめた表情。
そこへ、サルサが現れる。
サルサ 「ミッフィー様…」
ミッフィー 「なんや、サルサか。どないしたん?」
サルサ 「あの…」
ミッフィー 「何度言われても、ウチは許さへんで。あの男はウチの母ちゃんを殺したんや、大体サルサは獣人やろ?なのに何であの男の肩を持つん?」
バルコニーに飛び越しかける。
サルサ 「そこの塀は壊れていて…」
ミッフィー 「へ、わぁぁぁぁっ!」
バルコニーが崩れ落ちそうになるミッフィー。
ミッフィー 「!」
グリン 「よっと!」
ミッフィーを支えるグリン。
ミッフィー 「!」
ミッフィーはグリンに平手打ち!
ミッフィー 「どこ触ッとるん!」
グリン 「いってぇ〜〜〜!!」
ミッフィー 「エルフなんか、ダイッ嫌いや!!」
グリン 「オレがナニをした…」
トホホと言う様に、紅葉のついた頬を押さえる。
そして真剣な顔でミッフィーを見る、グリン。
グリン 「そうだぞ、オレ様が何をした?あの大戦の時にゃ、生まれてもいねえ。ましてや、エルフの全部が全部、大戦に加わったわけじゃねえだろ!」
ミッフィー 「ウチは聖獣や。アンさんよりず〜っとなごう生きとるんや。大戦の時からな。でも、あの男も生きておる。それがどういう意味か分かるん?」
グリン 「……」
ミッフィー 「あいつは手に入れおったんや。『永遠の命』をな!」
ミッフィーは怒ってズカズカとバルコニーを後にする。
取り残されたグリンとサルサ。
サルサ 「グリン様はダヴァン様のお話をお聞きにならないのですか?」
グリン 「耳が痛い話だからな…そういや、ダヴァンがエルフだって気づかなかったぜ」
サルサ 「ダヴァン様は…悔いています。あの耳が何よりの証拠」

○ ダヴァンの館・ダヴァンの部屋
鏡の前で髪をかき上げるダヴァン。
エルフの特徴である長い耳は両側切られた傷痕。
ダヴァン 「!」
ダヴァンは後ろを振り拳銃を構える。
窓にいた蝙蝠は逃げるように飛び立つ。
こうもりの目は怪しげに光る。
撃ち逃がし、構えを解くダヴァン。
ダヴァン(M) 「全てを清算しなければなるまい…」

○アルカード城
廃墟となったアルカード城。
昔の豪華な面影は影形もない。
レイン一行とダヴァン。
タケル 「ここはアルカード城じゃないか?」
ダヴァン 「ここの地下の抜け道からラボラトリィに通じているのです」
ミッフィー 「ウチが前ココに捕まった時、そないなモンあらへんようだったけどな」
ダヴァン 「……」
グリン 「何か居やがるぜ!」
奥から、スケルトン、ゾンビやらのアンデッド兵が出てくる。
一行 「!」
シュスフィーナ 「きゃあああっ!」
一斉にシュスフィーナ、ダヴァンを守るように陣を敷く。
それぞれに戦う一行。
オーフェ 「まだ、あの時の敵がこんなに残っていたなんて!」
ヨシュア 「おそらくは、これを指揮するものがいるのでしょう」
ガルシアン 「ヴァイアはルシファーの部下であったが…」
ルシファーという言葉に敏感に反応し我を忘れるタケル。
タケル 「ルシファーかッ!!」
シュスフィーナ 「タケル!」
タケルはアンデッド軍団を突っ切って奥へと走る。
グリン 「待て、タケル!」
慌てて追いかける他一行。
走りながら。
シュスフィーナ 「ねえ、ヨシュアさん。ルシファーって誰なの?」
ヨシュア 「八魔王の一人。…マーハを殺した男です」
シュスフィーナ 「!」
ガルシアン 「だが当時も、ルシファーがアンデッドを作り出したわけではない。此処で動いているとは思えないが」
一行、大広間に辿り着く。
粗方のアンデッドを掃討したタケル。
タケル 「どこにいる、ルシファァァァッッ〜〜〜〜!!」
興奮したタケルの肩を揺らすグリン。
グリン 「落ち着けって、タケル。まだルシファーと決まったわけじゃねえ!」
ダヴァン 「アンデッドはシステムDを人や動物に応用した、忌むべき存在。こんな方法を取るのは…」
ミッフィー 「?」
?(デデム) 「そうじゃ、ワシだよ」
城に響き渡る声。
ミッフィー 「誰や!」
ダヴァン 「デデムか!!」
デデム 「久しぶりじゃのう、ダヴァン。実に560年ぶりになるな。貴様たちがコンピニアを離反して以来じゃ。そしてレイン殿。御主達の求めるオウルは2つわが手中にある。参られるがいい、ワシの研究所へ!ワシもそこで待っておる!!」
声は静かになる。
タケル 「デデムだって…、ダヴァンの話に出ていた三博士の一人じゃないか?」
ミッフィー 「アイツも『永遠の命』をもっとんのか!」
怒りを露わにし、ダヴァンを見据えるミッフィー。
ダヴァン 「いや、『不老不死の秘薬』は他の2種は不完全だったはずだ。もしくは本当に最後の1人である、あの方を手に懸けたか?」
グリン 「聖獣は全滅したんじゃねえのか?」
ミッフィー 「あの方って誰や!!」

ダヴァンの回想。
オープニングの続き。
三博士は3種のワインを飲み干す。
暫く間。
デデム(成人) 「何も、何も起こらないではないか!!何故だ〜〜〜!!」
グラスを床に叩き付けるデデム。
グラスは音を立てて粉々になる。
ドギ 「失敗だった、ってことだろう?」
ダヴァン 「……」
ダヴァンはしばし呆然としている。
ドギ 「『永遠の命』などと。神の領域に踏み込もうとしたことがそもそも愚かだったんじゃないのかな?」
諦めの表情のドギはグラスを静かに円卓に置く。
エルフ研究員 「三博士様〜〜〜!」
円卓の間に駆け込んできたエルフの研究員。
エルフ研究員 「システムDを遺体に応用した者が。次々に日の光に崩壊していきます!」
ドギ 「デデム、お前はなんて事を!」
気を改め、顔を上げるダヴァン。
ダヴァン 「人の命に用いたか…」
デデム(成人) 「ムムウウ、仕方あるまい。神聖魔法にて対処せよ!」
エルフ研究員 「しかしそれでは、日の光と同様に肉体が消滅…」
デデム(成人) 「かまわん、早く行け!」
エルフ研究員は円卓の間を後にする。
遠くで響く混乱の声。
デデム(成人) 「こんなはずではなかったのに何故だ!」
ドギ 「アンデッド。まさに、『神罰』だな。神聖魔法に滅びるとは…」
ダヴァン 「『永遠の生命』を究めようとし『生命』を殺める。その矛盾だよ…。システムD、システムCは凍結だ」
ダヴァンもまたグラスを静かに円卓に置く。
ダヴァン 「私は三博士を降りる」
デデム&ドギ 「!!(驚)」
残る2人に背を向け円卓の間を去ろうとするダヴァン。
デデム(成人) 「いやまだだ。まだ最後の聖獣が居るではないか!」
デデム、その狂喜の表情。
ドギ 「まさか、お前!相手をどなただと思っている!!」
デデム(成人) 「まだだ。まだだ〜〜〜、フハハハハッッッッ!」
ドギ 「冗談じゃない、もう止めろぉ〜〜〜!」
回想終了。

○地下の抜け道
ダヴァンを先頭に奥へと進みながら、神妙な顔で話に聞き入る一行。

ダヴァン 「当時のオレンジストーンのレイン『ベナレス』様だ」

○ 【アイキャッチ】