第18話 遺志継ぐ子
シーンA
○ 【テロップ】
(テロップ) 「ライムランド暦1445年」

○ ラーの森・高台





前方に巨大なアマルナの都が見える。
開戦中。
都に響く混乱の叫び。
高台からどっかりと座って眺める、長い緑髪のエルフの美青年(フォレスタ)。
フォレスタ 「っちゃ〜、派手な事しちゃって〜」
彼の後ろから静かに近付いてくる、ベナレス。
ベナレス 「ふざけとる場合やない。随分、どえらいモン作りおったな」
その声に振り返るフォレスタ。
フォレスタ 「わぉ、ベナちゃんじゃないの?」
ベナレス 「その呼名はやめんかい。フォレスタ。おんしらのおかげで、ワイの民がなんぼも死んだぞ」
フォレスタ 「へいへい、監督不行き届きでした」
ベナレス 「三博士とかいうたな?」
フォレスタ 「そのサンハクシとか何とやらもドギ、ダヴァンは行方不明。残ってるのはデデムだけだって言うぜ」
ベナレス 「そのデデムがキチガイらしい…」
フォレスタは立ち上がり、服の土を払う。
フォレスタ 「こりゃ大仕事だなぁ〜」
ベナレス 「一人でどないするつもりや?」
フォレスタ 「ええ〜、ベナちゃんも一緒じゃないの?」
ベナレス 「だから、その呼名はやめんかというとるやろ?」
フォレスタはニヤリと笑う。
フォレスタ 「ありがとよ、ベナレス」
ベナレス 「……」
ベナレス、同様に微笑。

○ 【サブタイトル】





○ミッフィーの夢
第15話。
海岸
倒れるミッフィー。
その対岸に映るのは、崩れ落ちる城。
夕闇。
ミッフィー 「ううっ」
ミッフィーは目を覚ます。
ミッフィー 「ここは、いったいドコや…」
起き上がるミッフィー、対岸の崩れ落ちる城に気付く。
ミッフィー 「そんな…せや、みんなは?」
?(グノーシス) 「ミッフィー…様…」
その声に背後へ振り返る。
苦しそうなグノーシス、その姿は消えかけている。
グノーシス 「ご無事で何よりじゃ、面目ない…ワシはこれまでじゃゾイ…」
ミッフィー 「グノーシス!」
グノーシスの姿へ消える。
ミッフィーは呆然。
ミッフィー 「タケル、あほエルフ、オーフェ…、色男、ガルシアン、ジッちゃん…」
ミッフィーははらはらと涙を流す。
ミッフィー 「マーハァ…フニャァァァ…マーハァァァッッッ〜〜〜!!」
涙でグチョグチョの顔。
ミッフィー 「ウチを一人にしないで…一人は嫌や〜〜〜!」

○ グリーン・ウッド(以下GW)アジト
ベッドから飛び起きるミッフィー。
ミッフィー 「!」
グリン 「よう」
すぐ横のベッドに体を起こしたグリン。
ミッフィー 「なな、なんやの〜!」
グリン 「知らねえよ、オレも気付いたらここで寝てたんだからよ」
ミッフィー 「ウ…ウチ何か変なこと言わんかった?」
気まずそうに、顔を赤くして尋ねるミッフィー。
とぼけるグリン。
グリン 「…だから、オレも今気付いたばっかなんだよ。でも、ここは…」
どこか見覚えのある風景。
リップ 「グリン!」
扉を開けて、満面の笑みの少女。
グリン 「まさかリップ、…リップか!」
2人のベッドの近くへと駆け寄るリップ。
リップ 「夢みたい。でも、ギルドのメンバーの話は本当だったのね。レインが復活したって!」
グリン 「おうよ、ところで…ジュウジュやペンソはどうしたんだ?」
リップはやや表情を暗くする。
リップ 「兄さんもペンソも世界を走り廻ってるわ。戦う力を持たない人々のために、各地のギルドの指揮を執ってる」
グリン 「なんだぁ、あんのクソババアは何してるんだ?」
リップさらに表情を暗く。
リップ 「亡くなったの」
グリン 「!」
その言葉に、驚き言葉をなくすグリン。
リップ 「1ヶ月前のことよ。ずっとサイソルクレブット病を患っていたみたい。ずっと風邪だって、嘘ついてて…最期は眠るように…」
ミッフィー 「……」
ミッフィーは同情しグリンを見る。
グリン 「そっか、大往生だったか」
グリン、その表情。
?(ダイス) 「リップ姉ちゃん」
部屋の外から恥ずかしそうに様子を伺う、エルフの男の子。
リップ 「入っておいで、ダイス」
グリン 「ダイス?」
ダイスはチョコチョコと入ってきて、リップの足元に立つ。
リップはその頭を優しく撫でる。
リップ 「メンバーの1人、コナンって覚えてる?彼の忘れ形見なのよ。あのダイの…ダイスの事を忘れないようにって…」
ダイス 「グリン兄ちゃん、コレ…」
ダイスは一通の手紙をグリンへ手渡す。
ミッフィー 「『バカ息子へ』っておまんのかあちゃんか?」
グリン 「……」
グリンは静かに封を開ける。

○GWアジト・グリークの部屋
暗い部屋、ランタンの光の中、手紙をしたためるグリーク。
その顔色は悪い。
グリーク(M) 「バカ息子、グリンへ。
お前がこの手紙を読んでるって事は、もうあたしゃ死んでるって事だろう。そりゃあ、本望だね。ヴァティスに敗れた負けっ面の、レインの顔を見なくてすむんだから…」
グリーク 「ゴホッ!」
苦しそうに咳をする。
その手に赤黒い血。
グリーク 「フッ…」
掌の血を見て、グリークは苦笑いをする。
再び羽ペンを執る。
グリーク(M) 「昔話をしよう。あたしたち『グリーン・ウッド』の、もう一つの宝。『グリーンストーンのオウル』にも関わる話だ」

○ GWアジト・寝室
その言葉に、反応するミッフィー。
ミッフィー 「『オウル』やて!」
グリンの側へ、体を乗り出す。
グリン 「星のロッドの他に、レジェンドの宝がココにあったのか…」
遺書に戻る。
グリーク(M) 「あれは今から20年前になる…」

○ラーの
走る3人の影。
若きグリーク、そしてダイ、コナン(エルフ)。
3人を追う3頭の魔将・ヘルハウンド。
コナン 「ひょえ〜、しつこい〜!」
グリーク 「そろそろ、やるよ!」
ダイ 「よし!」
3人は振り返り、3頭それぞれ魔将に向かう。
素早い動きで確実に魔晶に、小剣を刺す。
崩れるヘルハウンド。
コナン 「もう、そろそろ帰ろぉ〜。やっぱ、あの光は見間違いだったんだって!」
ダイ 「でも、万が一『導きの星』ルラだったら?」
コナン 「でもさぁ、ダイ。俺達が魔将にやられたら元も子もないじゃんかぁ〜」
ダイ 「グリーク、どうする?」
グリーク 「ダイとコナンは先に帰ってな。あたしはもう少し探す…」
同時、カサカサと茂みが揺れる。
3人 「!」
瞬時身構える3人。
茂みからは、傷だらけのフォレスタ。
グリーク 「あんた、何者だ?」
フォレスタ 「ははは、人だ…」
衰弱しきったフォレスタはよろよろと、グリークに近付く。
グリーク 「!」
やや、後ずさりする。
フォレスタ 「お嬢さん、俺が元気になったらお茶でも…」
グリーク 「はあ??」
そのままグリークの胸で気を失うフォレスタ。
グリークは呆れ顔。
グリーク(M) 「こいつが、お前のバカ親父『フォレスタ』だった」

○ GWアジト・寝室
ベッドで横になるフォレスタ。
フォレスタ 「ん…」
目を覚ますフォレスタ、体を起こす。
フォレスタ(M) 「ここは、ドコだ…俺は助かったのか?」
隣の部屋で響く声。
?(ダイ) 「魔王が動き出した。本格的に、ロッドを奪いに来る」
?(グリーク) 「表立った活動は控えなきゃね」
?(ダイ) 「だからいつまでも、余所者を置いてく訳に行かないだろ?」
グリーク 「…わかってるよ」
グリークとダイの2人がフォレスタの居る部屋に入ってくる。
フォレスタ 「やあ、お嬢さん」
その、相変わらずのフォレスタの様子に呆れ顔のグリーク。
グリーク 「からかうんじゃないよ、あたしゃ、この通りの見てくれだからね。そんな風に呼ばれるのが大嫌いなんだ!」
グリークは素早く懐からナイフを出し、フォレスタの頬に当てる。
フォレスタ 「ありゃりゃ、過激だね。こおいうの、嫌いじゃないけど…」
グリーク 「あんた、何モンだい?」
フォレスタ 「エルフで名前はフォレスタ。でも、俺的にはお嬢さんの名前が聞きたいな?」
グリーク 「黙りな、その綺麗な顔に傷をつけたくなけりゃあ、ココでの事も、あたしに会った事も忘れて出て行くんだ!すぐにね!!」
?(コナン) 「グリーク〜〜〜!!」
血相を変えて部屋へ走りこんでくる、コナン。
コナン 「大変だ、グリーク。このアジトも奴等にばれちゃったよぉ!」
フォレスタ 「ふ〜ん、グリークちゃんっていうんだ…」
一瞬顔を紅くするグリーク。(照れの為か怒りの為か?)
グリーク 「いいかげんに…」
言いかけた時、天井から落ちてくる人面を持つ樹木の魔将『モルボル』。
グリーク 「チッ!」
モルボル 「『ホシノロッド…』ワタセ…」
フォレスタ 「『星のロッド』?」
人面の顔からガスのようなものを吐く。
コナン 「うわっあ!」
ダイ 「何だ!」
2人力が抜けるように膝を着く。
グリーク 「(フォレスタに)あんたは関係ない。とっととココから出て行きな!」
グリークもまた、力が抜け膝を着く。
フォレスタ、その表情。

フォレスタ 「…オレの事よか、もっとさ自分をかわいがってやれよ」

グリーク 「!」
ハッとなるグリーク。
フォレスタ 「sigokito imi rito niraka yu sotzne Green Forest」
緑葉の嵐と共に、大地より枝が伸びモルボルの体を貫く。
モルボル 「グアアアアァァァァ〜〜〜〜!!!!」
崩れ去るモルボル。
フォレスタ 「さてと、真面目な話に戻ってだな…」
モルボルの事は無かったかのように、とぼけた顔。
一方GWの3人は何が起こったのか今一掴めず、何とか体を起こす。
フォレスタ 「大丈夫か?グリーク…」
フォレスタはグリークの肩を抱き起たせる。
グリーク 「!」
フォレスタ 「俺は大至急レインに連絡が取りたい。どうにかならねえか?」
グリーク 「何言ってんだ、レインの居場所がわかりゃあ、ルラだって苦労しない」
フォレスタ 「シュンジュウ、オウシェン、ネハベントは?コンピニアに向かったのか??」
ダイ 「どこだ、それは?」
コナン 「昔のシャヌーンの事だよ。コンピニアなんてとっくに滅びてる。それにシュンジュウは第18代レッドストーンのレイン、ネハベントは第20代パープルストーンのレインで、もう亡くなってるよ」
フォレスタ 「!」
驚くフォレスタ。
グリーク 「もう一度聞く。あんた、何モンだい?」
フォレスタ 「……」
考え込むフォレスタ。
ふと、いつものひょうきんな表情に戻って。
フォレスタ 「とにかく、ココは移動したほうがいいんじゃない?俺もグチャグチャにしちまったし…ハハハ」
グリーク(M) 「それから、あいつはグリーン・ウッドの仲間になった」




グリークの回想。
GWでのグリークとフォレスタの場景。
2人仲睦まじく、仕事をする風景。
2人息を交えて、戦う風景。

○GWアジト
グリークとコナン。
コナン 「相手がエルフだと、不幸になるよ」
グリーク 「……」
コナン 「エルフは人間の2倍は生きるから、余計な事言うようだけど…」
グリーク 「もう、遅いよ…」
グリークは手を腹に当てる。
コナン 「!」
その仕草に、気付くコナン。

一方フォレスタとダイ。
ダイ 「なんで、グリークなんだ?」
フォレスタ 「グリークは強い…けど、ホントはとっても弱い。そこに気付いてた?」
ダイ 「……」
ダイ、その表情。
フォレスタ 「ん〜、惚れちゃったモンは仕方ないだろ?」
?(グリーク) 「うわあっ!」
グリークの悲鳴と爆発音。
フォレスタとダイは驚き。
フォレスタ&ダイ 「グリーク!」

駆け付ける2人。
倒れているコナン。
蜘蛛の様な巨大なロボット。
バグズ・蜘蛛型。
コードの様なもので、グリークを縛り上げている。
グリーク 「ううッ…」
フォレスタ 「グリーク!」
?(デデム) 「ようやく見つけたぞ、フォレスタ…」
後ろに控えるデデム(老人)
フォレスタ 「デデム、てっめえ〜!」
デデム 「システムの暴走で、時を越えるとは思わんかったんのう。540年の歳月をかけ、こんな所でよもや出会うとは…」
フォレスタ 「ハッ、てめえもしぶとく生きやがって、まるで干物だな。ゴタクはいい、グリークを返しやがれ!」
グリークをさらに強く縛り上げる。
グリーク 「うああっ!」
ダイ 「グリーク!!」
フォレスタの怒りに満ちた表情。
小声で。
フォレスタ 「緑よ…」
舞う緑葉がコードを断ち切り、グリークの体が大地に落ちる。
大地より枝が伸びバグズの体を貫く。
ダイ 「!」
ダイがグリークの体を受け止める。
ダイ 「大丈夫か、グリーク!」
グリーク 「ダイ…」
デデム 「なるほど、真なるレインはその身に『オウル』を宿すというが。少々甘く見ていたようじゃ…」
グリーク 「『真なるレイン』!?」
フォレスタ 「コレ以上勝手な真似はさせねえ!
『sigokito imi rito niraka yu sotzne Green Forest』!!」
?(ベナレス) 「聖獣ベナレスの名に於いて命ずる。出でよ『ベヒモス』!」
第3の瞳より放たれるベヒモス。
巨大な猛獣が魔法をかき消す。
フォレスタ 「何!」
デデムの背後より現れるベナレス。
その瞳は虚ろである。
フォレスタ 「ベ、ベナレス!生きてたのか!!」
ベナレス 「……」
デデム 「もはや、『星のロッド』などどうでもよい。フォレスタ、実に興味深いサンプルじゃ。ラーの森・アマルナへ来い…そこで貴様の友も待っておるぞ…」
フォレスタ 「待てッ、デデム!」
デデムとベナレスは姿を消す。
呆然と立つフォレスタ。
ダイに支えられ立ち上がる、グリーク。
グリーク 「フォレスタ、あんた、レインだったんだね…」
フォレスタ、決意の表情。
フォレスタ 「わりい、グリーク。俺は行く。あいつを助けなきゃならねえ…」
グリーク 「あたしじゃ、足手まといなんだね…」
フォレスタ 「……」
グリーク、その表情。
フォレスタはポリポリと頬を掻く。
フォレスタ 「ん〜、困るよな、ベナちゃんは…」
グリーク 「……」
フォレスタ 「待ってろよ、グリーク。必ず戻ってくるから!」
フォレスタ満面の笑み。
グリーク(M) 「それから、あたしはあいつを待った。10ヶ月(とつき)過ぎた頃…」

○テーベの街
屋外で待つダイ。
テーベに舞う砂嵐。
地の砂を拾うダイ。
掌の砂は風に流れる。
屋外に走り出たコナン。
コナン 「産まれたよ、男の子だって!」
ダイ 「!」
ダイもまた、屋内へ、グリークの元へ向かう。
グリーク 「……」
寝台で体を起こすグリークは産婆から預かり、我が子を抱く。
グリーク 「!」
赤子の手にグリーンストーン。
グリーク 「ウウウッ…」
赤子を抱きながら泣くグリーク。
その様子を静かに見守る、ダイ&コナン。
グリーク(M) 「そうして、あいつの死を知った…」

○ 【アイキャッチ】