案内された一室で、タケルはようやくマーハの手を離した。そして堰を切ったかのように、怒鳴りつけた。
「お前何やってるのかわかってるのか!待ってろって言っただろ、金は俺達が稼いでくるって!!もうすぐでお前…」
そこまで言いかけたところで、言葉に詰まった。この状況に、気づいてしまった。危ういデザインのドレス。マーハの白い肌が桜色に染まっていて、潤んだ瞳でこちらを見つめてくる。
(よく考えたら、2人きりでどうしてこんな部屋にいるんだ)
タケルは有らぬ事を想像して、真っ赤になってしまった。自分のすぐ傍にある一人で寝るには大きめのベッドがその妄想を助長させる。
「…と…とにかくだな…ここを出て…」
「タケル…」
「!」
世界が回転した。マーハの体重が一気にタケルの上に覆いかぶさって、普段の彼ならばこんな重さなど耐えられるだろうに不意打ちだ。気が付くと柔らかなベッドの上で押し倒されており、信じられない事に目の前にはマーハの顔があった。酒臭い。
「お、お前…酒!」
「タケル、だ〜い好き!」
「!」
そのままギュッと抱きしめられる。
「ば、馬鹿!よ…よせって!!」
好きという言葉にも、抱きしめられている体温にも、耳元を掠る吐息にも全身の力が抜けてしまい、彼女を引き剥がすことが出来ない。その時、ガチャっと部屋の扉が鳴った。
「マーハ…」
「マーハ…さん…」
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