其の2 探し物
シーンB
「とまあ、こんな感じです」
「フム」
 2階に戻ったヨシュアは、既に起きていた同部屋の師・マホメトに今朝の次第を話した。
「珍しく、早起きじゃから何事かと思ったわい」
「茶化さないで下さい」
「さてさて…」
 馴染みの樫の杖に乗った小柄の老人は、ふわふわとヨシュアの前を宙に浮きながら細い目をさらに細めた。嬉しいのだろう。
「他人の心配をするようになったか、随分と成長したのう?」
「師匠にお話すべきではなかった」
 ヨシュアは呆れて、肩をすくめた。その様子に、冗談も程々にとマホメトは声を落とす。
「石がなくともわしは『レイン』と呼ばれた。それは何故か?」
 マホメト…彼は1000年の時間をかけて生まれた『インディゴストーン』のレイン。その石はレインボーストーンではない。
「貴方が作り変えた『伝承』でしょう?」
「そうじゃ、人はわしを『レイン』と呼ぶ。しかしその『レイン』もわしを同志としたのは何故か?」
 ヨシュアを除いて、その真実を知らない。タケル、グリン、オーフェ、ミッフィー、ガルシアン。彼らがマホメトをレインとして認めたその理由は?
「…!」

 
導き出された答え…それは星。

 ヨシュアは自分の過ちに気づいた。

バタン!

 大きな音がして扉が開き、そこにはベッドから半身を起こしたオーフェが居た。
「あれ…ヨシュアさん…どうしたんですか?」
 寝ぼけ眼をゴシゴシと擦っている。だが、求めた彼の姿はそこにはなかった。そして、彼の荷物…人込みの中目印にもなる位に目立つハルバードを始め、一切が無い。

「『レインは死ねばまた生まれる』…石もまたそうか…?」

 あの言葉がヨシュアの脳裏を掠めた。
(まさか!)
 胸騒ぎがする。これまでに無い焦り様で、ヨシュアは宿を飛び出した。