「訂正します、今朝の答えを…」
「?」
「レインの証とは『マーハが選んだ』と言う事。マーハが貴方の元に私達を導いたと言う事です」
「!」
ガルシアンの思考は停止した。朝日の中、問いに応じてくれたヨシュアの晴れ晴れとした顔が眩しかった。失ってしまった星以外にも、近しきともし火が自分の心の闇を照らしてくれた。
(有難い)
「戻りましょう。そろそろ、五月蝿い方々が起きて来てしまいますから」
またヨシュアはいつもの調子に戻った。一瞬見せたあの顔は、気のせいだったのだろうか。ガルシアンは、自分を迎えに来てくれたヨシュアを、横目で見た後にどこか照れた気分になり先に宿へ歩き出した。
(おそらくヨシュアも、レインである事に自問自答したのだろう。俺と似ているのかもしれない)
などと考えたときである。
「ガルシアン…」
ヨシュアの上擦った声が背中から聞こえた。
「何だ、ヨシュア?」
ガルシアンのマントを手に余して、ヨシュアはガルシアンの背中を指差した。
「パープルストーン…」
「何!」
パープルストーンを吊るした皮紐が、ガルシアンのタートルネックにくい込んでいる。そして背中に石がぶら下がった、奇妙な格好になっていたのだ。
「!」
それに気づいたガルシアンは、風の如く手に隠した。顔は赤く、冷や汗が滝のように流れている。
「こ、こんな所に…」
消え入りそうな声で彼は呟いた。
「あの、もしかしてガルシアン…あなたは石を失くしたかと思ってあんな事を?」
マントの下にパープルストーンがあって、ガルシアンはそれを落としたと勘違いしていた。必死になって徹夜で探したが、見付からなかったのだ。石を失くした者が、レインで居られるのか…そうして思いつめた挙句…。
ヨシュアには大方の予想が付いてしまった。死ぬまで考えるか…普通。
「この事は…」
大きな体に似合わず、ガルシアンは瀕死の小動物かと思うような声を上げた。
その様子がまた、可笑しくてヨシュアは意地悪に微笑む。
「ええ、2人だけの秘密です」
人の弱みを握ってしまった事に多少なりとも優越感を覚えてしまったのかもしれない。
この一件以来、ヨシュアの傍にガルシアンが居る事が多くなった。
「レインの証とは『マーハが選んだ』と言う事。マーハが貴方の元に私達を導いたと言う事です」
問いに応じてくれたヨシュアの晴れ晴れとした顔。失ってしまった星以外に手にしたともし火が、自分の心の闇を照らしてくれた…きっかけはどうあれ、それはガルシアンにとって近しき者を見出した記念すべき日であった。 |