この近辺に精霊が居る。
第三の瞳が疼き、ミッフィーはここファンジーム大陸の小さな村『ロタール』を訪れた。
再臨からもうすぐ5年になろうとしている。その間、世界各地を巡り、封じられたレインの情報を追っていた。その傍ら、上位精霊の契約を交わしている。エフリート、エント、フェンリル、ジン。残るは大地の精霊『ベヒモス』。
ファンジームの主たる民・獣人はその守護石『オレンジストーン』が司る六元の一つ・大地に属する。それゆえ、聖獣であるミッフィーの使役する大地の下位精霊『グノーシス』は、他の精霊に比較し強大な魔力を秘めていた。
ならば、上位精霊は?…期待は高まる。
「あの男は…ベナレスには上位精霊が居った。だから、ウチかて負けられへんのや!」
ロタールは小さな山村で、その長『フレシア』は紅のドレスに、艶やかに彩られた口紅、豪奢な赤毛といった頭の先から爪先まで、赤・赤・赤…といった人間であった。
(派手なおばはん)
それに、なんといっても。
(なんつ〜、臭いや)
臭い。それは、残飯を雑巾に包んで1週間ほど放置したような…何というか表現し難い。
(きも悪い…)
唯でさえ、鼻のよく利く種族の自分なのに。失礼だと思いつつも、鼻を抓んでいる。
「よく、このような片田舎へ御出で下さいましたわ〜、レイン・ミッフィー様」
オホホホ…と高らかに笑いながら、これまた派手な扇を煽いでいた。
「だんでもええから、用件は早べにすばすわ」
鼻から息が漏れないので、変な言葉になっている。
「大地の精霊『ベヒぼス』の…」
言いかけた、その時。小さく大地が揺れた。
「地震?」
「この村はカイバル火山に近く、地震も頻発しておりました。それを、精霊『ベヒモス』が地を平定し、地震も減り、今の暮らしがあるのです。ところが最近、正体不明の旅人が山に入って以来、このように大地は揺れております。何か、『ベヒモス』の身にあったのでは…」
ヨヨヨヨ…とわざとらしく見えるほどに、フレシアは嘆いた。
「正体不べいの旅人?」
「ええ、覆面・マント・フード姿の」
「いかにぼ怪しそうやだ?」
「でしょう?」
(とりあえず、行ってみる価値はありそうや)
こうして、ミッフィーはカイバル火山に足を踏み入れる事となったのだ。
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