可笑しな光景だった。ミッフィーは事の次第を終えると、ベヒモスに説教を始めた。
「だから、なしてああも簡単に捕まるんや。ココはファンジームやろ、大地の上位精霊やろ!」
〔昼寝をしていたら、凄い臭いで頭がおかしくなった〕
ベヒモスもまた、恥ずかしそうに頭を抱えていた。
「まあな、その気持ちはなんとなく分かりよるよ。確かに臭かった」
〔鼻がやられて、花にやられた…なんて洒落…〕
「どあほう!」
つかさず、ミッフィーの突込みが入る。
〔そんなに怒らない。怒られると、お〜困っちゃう…なんて洒落…苦しい?〕
「アホや、アホ精霊や!」
〔あ〜ほ、んまに…〕
「……」
声にならない怒りと、髪と耳と尻尾が逆立つのを見たベヒモスは殺気を感じて背を丸めた。
〔はい、面目ない。もう、やめる〕
その1人と1匹のやり取りを、岩に腰掛け面白そうに眺めるマルス。
「今回はたまたま、マルスが通りかかったからええものの…」
<たまたまじゃない>
「へ?」
それにミッフィーはマルスへ振り返った。腰を上げたマルスは、静かにミッフィーに近づく。
<ベヒモスとの契約を済ませ次第、虹の神殿に向かおう。そこにみんなが居る>
最初、彼女はその言葉の意味が理解できなかった。だが、徐々に湧き上がる思い。『みんな』…彼らの肖像にこの5年間どれほど焦がれてきたか。両足がガクガクと振るえ、ミッフィーはその場にへたり込んでしまった。
「ほんま?ほんまに??」
涙声になり、3つの瞳で訴えるようにマルスを見上げた。
<正直、あなたの足取りを求めていた。この山へは、道草のつもりだったのだけれど>
マルスは座り込んでしまったミッフィーへ手を差し伸べる。その手を握り、ミッフィーはどうにか立ち上がった。
「復活の血族『マルス』?」
<ああ、みんなを解放する>
フードの奥のマルスの瞳は、優しげに彼女へ微笑み返した。
そして、これよりちょうど1ヵ月後。レインは復活を果たす。 |