眼前に広がるのは満天の星空。
(夢…だったんだ)
まだ、夜も更ける闇の砂漠でマーハはゆっくりと身体を起こし、震わす。夜の砂漠は心なしか肌寒い。しかし、その震えは内から来るもので外気によるものではない。
毎夜、見る夢は同じ。暗闇の中、唯走り、最後に絶壁に立ち尽くす自分。あるいは血に染まる桜舞うあの日の惨劇。どちらにしても悪夢である事には間違いなかった。
すぐ隣で、新たに仲間となったグリンがいびきを掻いて気持ちよさそうに寝ている。それを羨ましく思いながら、傍らにある彼の懐中時計を覗き込んだ。
午前3時。
(見張りの交代時間…過ぎてるじゃないか)
周囲を見回すと、もう一人の仲間の姿が無かった。
(タケル?)
マーハは星のロッドを手に取る。
魔将の襲撃であらば、自分達を起こすはず。タケルの身に何かあったのか。ロッドを握り締め、気配を窺うと砂の鳴る音が聞こえた。
ザッ…ザッ…
深遠な闇の砂漠に響く。その音の主を確信し、マーハは静かに立ち上がる。
|