「で、何が言いたいのです。フィーナ?」
ヨシュアは眉を顰めた。シュスフィーナのこれから提案しようとする『作戦』とやらに、一抹の不安を覚えたからである。夕食の席で、よく焼けた新鮮な海魚を頬張りながらシュスフィーナは事情の一切を一行に話した。話はこうだ。
結婚を決めたその日に、村に嵐が吹き荒れた。漁船は転覆し、その日海に出たものは帰らず、甚大な被害を被った。後に『海の魔女』と名乗る魔将から、明日村で最も幸せな女を生贄として差し出せと、近くの岩礁を指定してきたのである。さもなくば、魔将は仲間を率いて村を滅ぼすと言うのだ。
そして、明日結婚式を迎えるレオナが生贄と決められた。
「これが、許せるの、みんな!」
一瞬静まる、夕食の席。マルスは静かにコクリと頷いた。そして、ミッフィーは荒々しくテーブルを叩き立ち上がる。
「同じ女として、そりゃ〜許せんわな。それこそ醜い嫉妬やんか。そないな魔将、ウチ等が懲らしめなあかん!」
「でしょ、でしょ。マルスさんとミッフィーさんは話が分かるわ!」
何やら盛り上がる2人にやや引けをとる、他一行。
「それでね、わたしに『作戦』があるの!…入って、ディアスさん、レオナさん」
その声に呼ばれ、ディアスとレオナがその部屋に入ってきた。その容貌、ディアスは青髪の背が高く体格の良い男で、レオナは赤毛の揺れる髪の女だった。
ヨシュアの予感は的中した。それも最悪の形で。
「で、何が言いたいのです。フィーナ?」
ヨシュアは眉を顰めた。
「フフフ〜、とか何とか言っちゃって。分かってるんじゃないの〜ヨシュアさん?」
なんとなく状況の読めた、グリン、オーフェ、ミッフィーはクスクスと笑い出す。マルスも分かっているのだろうが、相変わらず無表情でその場を静観していた。対して、タケルとガルシアンは皆目予想もつかないらしい。
「冗談じゃありません!」
ヨシュアは普段にない強い口調で椅子から立ち上がった。
「何を怒っているんだ、ヨシュア?」
「ガルシアン…あなたは気付かないのですか?」
「何をだ?」
「……」
「プハハハハッッッッ〜〜〜〜」
たまらずグリンは高らかに笑い出した。
「フィーナの言いたい事はこうだろ?『花嫁と花婿に化けて、魔将を返り討ちにする』!」
「そう言う事」
「でも、誰が…」
と言ったところで、レオナの赤毛にようやく気付いたタケルが拳を叩いた。
「ああ、なるほど。ヨシュアか…」
「タケルも何を納得しているのですか!」
「しかし、花婿はどうする?」
その方向違いのガルシアンの言葉に、一行は静止した。ワンテンポ遅れているガルシアンだけが、まだ把握しきれていない。
「ガルシアン〜〜〜〜」
ヨシュアは頭を抱えてテーブルに伏せる。他一行は、ガルシアンの顔を呆れた様に見ていた。
「皆どうしたんだ?」
シュスフィーナはビッとガルシアンを指差した。
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