其の15 あした晴れたら
シーンB
 翌朝、昨日の雨は嘘のように晴れ上がった。この時勢で晴天は珍しいとマホメトは言う。
 人に目のつかない所まで、街道から離れた俺達はシャリシャリとブランシェアを見送った。
「じゃあな、軍曹」
 ブランシェアがフランス人形のような容貌からは想像のつかない別れを、俺に告げる。
「誰が軍曹だ」
「じゃあ、大佐殿」
「オッチャンだよ、ブラン」
「……」
 ツッコミを入れる気も更々失せて、俺はまたシャリシャリの耳を一度だけ軽く引っ張った。最後に一つだけこの子供に聞きたい事がある。



「なあ、シャリ」
「ん?」
「なんでお前と一緒に旅をする相手が、天人のブランなんだ?」
「ワガンネ」
 即答したシャリシャリはニッコリと微笑んだ。理屈はなしって事か。
「そろそろ行かないと、人が起きる時間になるし目立つから」
 華が俺を促した。昨日偶然出逢って面倒ごとに巻き込まれて、今朝別れるだけの話だけど。上手く別れの言葉が見つからない。関わった時間は微々たるもんだ。こいつらは俺達とは比べようもない長い時間と距離を旅している。こいつらにしてみれば、俺と華なんてたまたますれ違った通行人程度のもんか。
 理屈に縛られずに、2人きりで旅しているこいつらが少しだけうらやましかったのかもしれない。
「仲良くやれよ」
 それが、俺が2人に送った別れの言葉だった。

To be continued…
LEGEND =Dream=