第1話 誓約
シーンA
○暗転
ティキ
(ナレーション・
以下N)
「『星降る刻虹は起つ。虹悪夢を絶ち 全界に夢を齎さん』。
導きの星ルラの元、7人のレインが起った。
伝承に従い、彼らは魔王デビルダスに戦いを挑んだ」
第15話・決戦

○【スタッフロール】
ティキ(N) 「ライムランドの民は、誰もが勝利を信じて疑わなかった。
しかし…結末はそれに異するものだった…」
第15話・氷結

○【メインタイトル】




○テーベの街
シンシンと降る雪。
テロップ(以下T) 「ライム暦2000年、シャヌーン大陸・テーベの街」
グリークはその光景を窓から見上げる。
その表情。
横に並ぶリップ。
T 「グリーンウッド(以下GW)総長・グリーク」
グリーク 「……」
リップ 「この時期に雪が降るなんて…」
ティキ(N) 「始まりは春。季節外れの雪が降る朝だったという。先日、北東のデストニア大陸に青い光が立った。
胸騒ぎを覚えたグリークは息子でありレインでもあるグリンの身を案じながら、ギルドのメンバー・ジュウジュの報告を待っていた」
静かな部屋に響く、勢いよく扉を開ける音。
ジュウジュ 「グリーク!」
息を切らしたジュウジュ。その背後には今にも泣きそうに青い顔をしたペンソも居る。
グリーク 「ジュウジュ…」
ペンソ 「グリンが…」
グリーク 「!」
その言葉に、険しい表情に変わるグリーク。

ジュウジュ 「レインが負けた」

○【テロップ・サブタイトル】




○プルシャプラの街・ダヴァンの館
響く雷鳴。
ティキ(N) 「それより1週間前。我が旧友、ダヴァンの元へ1人の男が訪れた」
近くで響く雷鳴。
サルサ 「きゃッ!」
広間。
メイド姿のサルサは、ティーセットを持ったまま怯えて肩をすくめる。
サルサ 「どうしてこう、悪天候ばかり続くんでしょ…」
2階への階段を登ろうとした時。
ドンドンッ、と乱暴に扉を叩く音が聞こえる。
サルサ 「お客様?」
サルサはティーセットを踊り場のテーブルに一時置いて、扉へと向かう。
開く扉。
響く雷鳴。
サルサ 「!」
そこには赤ん坊を背負ったエルフの男。
エルフの男
(コナン)
「ダヴァンに逢わせてくれ」
サルサ 「あの…あなた様は?」
その時、背後より階段から降りてくる人の気配。
ダヴァン 「……」
ダヴァンとコナンの目が合う。
その2人の表情。
コナン 「あんたが、コンピニア三博士(ハクシ)の一人…ダヴァンか?」
サルサ 「!」
サルサはびくりと震えて、階上のダヴァンを見上げる。
ダヴァン 「魔王の手の者ではないな?」
コナン 「オレはコナン。グリーンストーンのレインとは旧知の仲だ…」
それまでの真剣な表情が一変して朗らかになり、背負った赤ん坊を親指でさす。
コナン 「グリンがこん位の時からね」
コナンはニヤリと笑う。
コナン 「レインが危ない。もうすぐ、復活するんだ…伝説の化け物が!」
ダヴァン 「それ以上は語らない方がいい…」
コナン 「!」
ダヴァンは天窓を見上げると、そこには一匹の蝙蝠が赤い目を光らせて止まっており、嵐の夜空へ飛び立つ。
ダヴァン 「こういう事だ。私は常に、監視されている。同じ三博士の1人である…魔王・デデムに」
サルサ 「でも、ダヴァン様!ミッフィー様が!!」
ダヴァン 「私はここを離れる事は出来ない」
サルサ 「そんな…」
コナン 「見損なったな!」
赤ん坊(ダイス) 「おんぎゃぁぁぁぁ〜〜〜〜」
コナンの怒声に、赤ん坊が泣き出す。
コナン 「悪い悪い、ダイス…びっくりしたか〜?」
ダイスをあやすコナンの様子に、ダヴァンは呟く。
ダヴァン 「あなたの子供か?」
コナン 「まあね…母親ははやり病で死んじゃったんで、1人には出来ないからさ。…俺が育ててる」
ダヴァン 「あなたはその子供に、命をかける事が出来るか?」
コナン 「当たり前だろ」
ダヴァン 「その子供を守り通す事が出来るか?」
コナン 「親より先に子供を死なす訳には行かないさ」
ダヴァン 「……。もっともだ。」

フラッシュバック
赤ん坊のミッフィーをあやす、昔のダヴァン。

ダヴァン
(モノローグ・
以下M)
「『永遠の生命』を手にした己が、願望は…我が子の生命…」
ダヴァン 「私もあなたにかけてみるとしよう」
ダヴァンは眼鏡のチェーンを千切り、先に付いていた三角錐の飾りをコナンに投げる。
コナン 「!」
それをキャッチするコナン。
響く雷鳴。
コナン 「……」
コナンは手の中の飾りを確認した後に、ダヴァンを見据える。
サルサ 「ダヴァン様…」
ダヴァン 「無事を祈っている」
コナン 「……」
静かに頷くコナン。
響く雷鳴。

○GWのアジト・夜
1階のグリークの部屋。
窓際にて、ジョッキを片手に建つ女性。
窓の外には人の気配がある。
グリーク 「そう、サンタマリアの結界は相変わらず張られてんだね。…分かった。そのまま監視は続けな!」
人の気配は去る。
ジョッキの酒を豪快に呷る女性。
振り返るその姿は、若き頃のグリーク。
グリーク 「レッドストーンは代々王家で継承されてた…。手がかりなしか…」
グリークは大きく溜め息をついた直後、その背後から近付く人影に、グリークは振り返る。
フォレスタ 「よ、グリークちゃん!」
気配もなく部屋に入ってきたのは、エルフの美青年・フォレスタである。
グリーク 「な、あんたまだ居たのかい!!」
フォレスタ 「もしかしてオレのために、レインを探してくれちゃってる?」
グリーク 「バカ…、あんたの為なんかじゃない」
フォレスタ 「ブルーストーンもライム王家で継承されてるはずだよな。昔と変わってなければ…」
グリーク 「!」
睨むグリークに飄々と笑うフォレスタ。
グリーク 「やけに詳しいね。いい加減に自分の正体ばらしたらどうだい?」
フォレスタ 「俺は『フォレスタ』だって。
そうだな〜。グリークちゃんが俺の事名前で呼んでくれたら、俺のスリーサイズから教えてあ・げ・る」
グリークの顔は途端に真っ赤になる。
グリーク 初対面からずっとそうだけど、あんた…相当のバカだね!」
踵を返したグリークは椅子に座り、空になったジョッキにウォッカを注ぐ。
グリーク 「アクアリジア国王陛下はライアスを離れる事は出来ない。他のレインはどこに居るのか見当もつかないし、そのレインを探し出せる『導きの星・ルラ』は未だに現れない。あたしらにはどうする事も出来ないさ。
ただ、ルラが必要とする『星のロッド』を護るだけ」
グリークはジョッキを一気に呷り、空になったジョッキを机に叩きつける様に置く。
グリーク 「そう…いつか…ルラが現れるまで…『いつか』っていつの事だ!」
フォレスタ 「グリーク…」
グリーク 「ロッドを狙う魔将は後を絶たない。親も物心ついた頃には、居なかった。親代わりだった人間も…次々に何人も死んだ。ダイもコナンも…あたしに寄せるのは羨望。
あたしは…もう疲れた…」
グリークは再び空になったジョッキにウォッカを注ごうとすると。
その手首をフォレスタが握り止める。
フォレスタ 「酒の呑みすぎはよくない」
グリーク 「あんたに何が分かる!」
フォレスタ 「レインだってただの人間だ。期待しない方がいい。君もここの頭だからって特別なわけじゃないだろ?」
グリーク 「あんたに何が分かるってんだい!」
グリークはフォレスタの手を振り払うと、反対の手でウォッカの瓶を握り立ち上がる。
瓶ごと一気に呷り、空になったその瓶を床に叩きつける。
ガシャーン…と夜更けに響く派手な音。

バタバタと部屋に近づく足音。
そして扉をノックする音。
ダイ 「どうした、グリーク!」
グリーク 「ダイかい…何でもない!手を滑らせただけだ!!」
グリークは吐き捨てるように叫ぶ。
部屋の外からダイの声。
ダイ 「…そうか。ならいいが…今は余所者が居るからな…気をつけてくれ…」
立ち去るダイの気配。
しばらく、グリークとフォレスタの間に沈黙。
グリーク 「こうやって…いつまでも怯えて過ごさなきゃならない…。なのに、あんたにはどうして…」
言いかけたところで、足元がふらつくグリーク。
よろける彼女の体をフォレスタは支える。
フォレスタ 「だから言っただろ。酒の呑みすぎは体に良くないって。まして女なんだからな…もっと自分を可愛がってやれって…」
グリーク 「離せッ…、もう…部屋から出て行…け…」
フォレスタ 「こんな状態で一人に出切る訳ないだろ〜が」
優しく微笑むフォレスタ。
一息置いた後に、寂しげな顔。
フォレスタ 「俺を一人にしないでくれ、グリーク…」
グリーク 「……」
静かに寝息を立て始めるグリーク。
フォレスタ 「レインは…本当にお前の期待しているようなやつじゃない…」
フォレスタは上着の上から胸の辺りを握り締める。

フラッシュバック(第18話よりベナレスの回想)
デデムのバグズ達を前に傷つき倒れる、ベナレスとフォレスタ。
フォレスタを庇うベナレス。
ベナレス 「さいなら、フォレスタ!はよ逃げ、そして長生きせい」
フォレスタ 「ベナレス!」
ベナレス 「たとえワイが不老不死やろうとも、これでお終いや!出でよ『エント』!!」
影絵、エントの枝がベナレスを貫く。
フォレスタ 「ベナレ〜〜〜〜〜〜スッッッ!!」
フォレスタは立ち上がる。
上着の内からこぼれたペンダントのグリーンストーンが光る。
フラッシュ。

フォレスタ 「ベナレス…」
フォレスタはグリークを抱きかかえる。
フォレスタ 「あの悪夢は…夢なのだと思いてえ…でも、これが現実なんだ」
彼は彼女を静かにベッドに横たえる。
フォレスタ 「これが現実なら…俺は今生きてる証が欲しい…」
フォレスタはグリークに布団をかける。
暗転。

○同・朝
うっすらと目を覚ますグリーク。
グリーク 「!」
我に返り…自分を確認する。
昨日のままの格好。
周囲を確認すると…床に散らばったグラスに。
ソファーで横になっている、フォレスタ。
フォレスタ 「んが…」
鼾をかいて寝返りを打つ。
その様子に眉をひそめるグリーク。
グリーク 「バカ…」
と、その時。
バタバタと部屋に近づく足音。
そして慌しく扉をノックする音。
ダイ 「グリーク、入るぞ!」
グリーク 「!」
部屋に入ってきたのはダイとコナン。
ダイ 「あの余所者が消えた…あいつやはり…」
コナン 「なぁ、ダイ…」
ダイ 「何だ、コナン!」
コナンは、ソファーで気持ちよさそうに鼾をかいて寝ているフォレスタを指差す。
ダイ 「お、お前…グリークにまさか!」
グリーク 「何言ってるんだ、ダイ!…ご、誤解だ!!」
フォレスタ 「ふんが、何だ…?」
寝ぼけ眼のフォレスタは、目を擦って体を起こす。
ダイ 「お前…いい加減にここから出て行け!」
ダイはフォレスタの胸倉をつかむ。
コナン 「お、落ち着けって、ダイ!
グリークだって誤解だって言ってるんだし…」
フォレスタ 「そおそお、朝っぱらから騒々しいぜ〜!」
ダイ 「貴様…!五体満足で出て行けると思うな…!!」
グリーク 「よしな!」
他3人 「!」
ダイ 「……」
グリークの喝に、ダイはフォレスタに掴み掛かっていた手を離す。
グリーク 「いいんだ、フォレスタ…。ここに居て構わない」
コナン 「グリーク…」
ダイ 「グリーク…何を言って…」
グリークはフォレスタを見つめる。
僅かな笑顔。
グリーク 「生きている証が欲しいんだろ?
あたしが証人になってやるよ」
一瞬驚くフォレスタ。
そして、にっぱりと満面の笑みを浮かべる。
フォレスタ 「ありがとな、グリーク」
グリークとフォレスタ、その表情。

フラッシュバック
赤子を抱くグリーク。
グリーク 「!」
赤子のその手には、グリーンストーン。

○GWアジト・深夜
グリーク 「!」
夢から覚める現在のグリーク。
グリーク(M) 「それからしばらくして、グリーンストーンのレインだったあいつは、オレンジストーンのレインであるベナレスを救うために旅立った…」
グリークはベッドから起きる。
グリーク(M) 「レインは死によって継承される。グリーンストーンを手にしていたグリンが生まれた事で、全てを悟った。
あいつは死んだんだ…」
グリークは窓際に立ち、空を見上げる。
いまだに降り続ける雪のせいか、外はぼんやりと明るい。
グリーク、その表情。

インサート
壁に掛けられた小さな絵。
GW(グリーク、グリン、ジュウジュ、ペンソ、リップ、ダイスそしてダイスの父親・ダイ)

グリーク 「マーハが…ルラが死んだと聞いた時に嫌な予感がしたんだ。
レインじゃなくてよかった…普通の子供でいてくれればよかった。
どうして、二度も…!!」
そこから先は言葉にならない。
グリークは静かに泣く。