第1話 誓約
シーンB
○GWアジト・早朝
朝食の支度をしているリップ。
食卓についているのはリップの兄・ジュウジュとその友・ペンソ。
リップは目玉焼きの乗った皿を机に並べる。
リップ 「起きてこないわね…グリーク…」
リップは顔を伏せる。
リップ 「グリンは一番強かったわ。いつだったか、お兄ちゃんと腕相撲した事あったじゃない…」
ジュウジュ 「ああ、…あれは」
リップ 「お兄ちゃんったら、わたしのデート権とか勝手に懸けちゃって…あの後大変だったんだから…」
ジュウジュ 「あ、…あれはグリンのヤツが…」
ペンソ 「グリンは余裕だったよね。ジュウジュが青筋立ててるのに、笑いながら秒殺だもんな」
ジュウジュ 「ペンソ〜、テメエも余計な事を〜〜〜〜!」
リップ 「グリンは強かったわ。グリーンウッドの中で一番強かったわ!
信じられる訳ないじゃない、グリークもわたしも…!!
ジュウジュ 「……」
ジュウジュ、ペンソ、そしてリップ。
それぞれの表情。
朝食が虚しく暖かな湯気を立てている。
ペンソ 「魔王・デビルダスはレインによって倒された。でもその直後…デストニアに大穴が開いた。
そして、魔界のゲートが開いた」
ジュウジュ 「魔界神・ヴァティスの再臨だ」
リップ 「ヴァティス?」
ジュウジュ 「1000年前…『レジェンド』の時代に封印されていた伝説の化け物だ」
リップ 「!」
ペンソ 「デストニアにいるレジスタンスの報告によれば、再臨と同時に大陸に青い光が走り、再びヴァティスは封印されたらしい」
リップ 「え…じゃあ・・・」
リップの顔が一瞬明るくなるが。
ペンソ 「命を懸けてヴァティスを封印したか、あるいはヴァティスの元に集った新たな八魔王によって倒されたか…」
リップ 「嘘!」
ジュウジュ 「どっちにしろグリン達は行方不明。八魔王は生存してる。これから…ライムランドは荒れるぞ…」
ペンソ 「どうするの…わたし達…『グリーンウッド』は…?グリークは…??」
ペンソ 「しばらくグリークは放っておいた方がいいよ・・・」
リップ 「じゃあ、ペンソはグリークが心配じゃないの!」
ペンソ 「心配に決まってる!!」
いつにない大きな声のペンソに、リップはビクりと肩を震わす。
ペンソ 「ご、ごめん」
リップ 「……」
ペンソ 「でも、俺達じゃどうしようもないじゃんか…俺達じゃ…」
ジュウジュは顔を上げる。
そこにあるのは、若きグリークとフォレスタ、ダイとコナンの絵。
ジュウジュ 「……」

インサート。
ジュウジュの回想。
ダイに小剣の扱いを教わる子供のジュウジュ。
まだ上手く扱えず、根を上げる。
ジュウジュ 「あ〜あ。オレも早く、グリークやダイみたいに強くなりてえな〜」
ダイ 「そうか、ジュウジュ…」
ダイはジュウジュの頭を撫でる。
ダイ 「グリークはな、とても弱い」
ジュウジュ 「何言ってるんだよ、ダイ」
ダイ 「そうだな。俺も気づかなかったんだが、あのバカが最後に教えてくれたんだ」
ジュウジュ 「誰なんだ、バカって?」
ダイ 「なあ、ジュウジュ」
ダイはジュウジュに目線をあわせ腰を屈める。
ダイ 「グリークと、そして彼女の息子グリンの身に何かあった時。俺とコナンは地の果てからでもここに駆けつける。
その時に…この誓いを、彼女に伝えてくれ」
ジュウジュ 「……」
ジュウジュは神妙な面持ちでコクリと頷く。

ジュウジュ 「コナンが来る…」
ペンソ 「ジュウジュ?」
ジュウジュ 「グリークに…知らせねえと!」
ジュウジュはおもむろに席を立つ。
そして、グリークの部屋へと走り出す。
リップ 「お兄ちゃん!」
ペンソ 「ジュウジュ!」
ジュウジュはグリークの部屋の扉を叩く。
ジュウジュ 「グリーク!」
ジュウジュがその扉を開けると。
そこには、グリークは居ない。
窓が開いており、雪と冷気が部屋に流れてくる。
ジュウジュ 「グリーク…」