| 第5話 空翔る少年 | |
| シーンA | |
| ○デストニア・ヤスリブ | |
| 雪の残るデストニア大陸の町・ヤスリブ。 早朝。 毛皮のコートに身を包み、家の前に立つイヴン。 ノブを握ろうとして、その手を止める。 |
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| イヴンの回想・魔界城 ルシファーと対峙するイヴン。 |
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| ルシファー | 「しくじったな、イヴン?」 |
| イヴン | 「邪魔が入った、あいつさえ居なければ…」 |
| ルシファー | 「もしや、お前の父親ではなかろうな?」 |
| イヴン | 「ち、違う! 父は関係ない!!…あの墓守とかいう獣人が…」 |
| ルシファー | 「まあ、いい。最近、『義勇軍』やらと旗を掲げ、我等に楯突こうとする愚かな輩が動いているようだが…お前の父は確か昔『レジスタンス』に所属していたな?」 |
| 不敵に微笑むルシファー。 ばつが悪そうに、顔を背けるイヴン。 |
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| イヴン | 「昔の事だよ。あんな老いぼれに、今更何が出来る…」 |
| 回想終了 | |
| イヴン | 「ガルス達が殺されるまで、続くのか…」 |
| 溜息をつくイヴン、凍える大気にそれは白く染まる。 ゆっくりと、ドアを開ける。 |
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| イヴン | 「ただいま、父さん」 |
| 小さな部屋、机のランプと暖炉に明かりが燈るのみで人影はない。 | |
| イヴン | 「父さん? …出かけてるのかな」 |
| 部屋を見回すイヴン。 | |
| イヴン | 「危ないわね、火つけっぱなしじゃん」 |
| 机のランプへと近づき、一枚の手紙に気付く。 | |
| イヴン | 「これは…」 |
| 目を見開く彼女は、その手紙を手に取る。 | |
| イヴン | 「父さん!」 |
| クシャリと手に握り締められる、手紙。 | |
| ○【サブタイトル】 | |
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| ○グリーンウッド(以下GW)・本拠地(グリークの部屋) | |
| 司令室のような机、椅子にかけるグリーク。 彼女が手に持ち読む手紙は、イヴンの見つけた物と文面が似る。 |
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| グリーク | 「ベドゥインが動いたか…、ゴホッゴホッ…」 |
| 咳き込むグリークは、すぐ傍らにある白い布で口を押さえる。 離して、布に染みる血を見据える。 |
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| グリーク(M) | 「時間はあまり残されていない…か…」 |
| ノックの音(SE)。 | |
| ?(シーザー) | 「マダム、入るぞ…いいか?」 |
| グリーク | 「ああ」 |
| グリークは席から立とうとすると、眩暈で足元がよろける。 | |
| グリーク | 「ッ!」 |
| 部屋に入ってくるのは、シーザーとティキ、サンドラ、ジュウジュ。 | |
| ジュウジュ | 「グリーク?」 |
| グリーク | 「ああ、なんでもない」 |
| 何事もなかったかのように、再び席に着くグリーク。 | |
| グリーク | 「暫くぶりだね、ジュウジュ。アレには慣れたかい?」 |
| ジュウジュは顔色が悪く、痩せ衰えたグリークに驚く。 | |
| ジュウジュ | 「一体…どうしたんだ、そんなにやつれて…」 |
| グリーク | 「ただの風邪だ」 |
| シーザー | 「話があるんだろう、マダム?」 |
| グリーク | 「そうだね、あんた達を呼んだのはその為だ」 |
| ジュウジュ | 「待てよ、グリーク! オレの話は終わっちゃいねぇ…」 |
| シーザー | 「マダムに口答えすんなら、出て行け」 |
| ジュウジュ | 「!」 |
| サンドラ | 「……」 |
| ジュウジュは怒りに震えてシーザーを睨む。 一方サンドラはただ静かに、シーザーを見つめる。 |
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| ティキ | 「まあまあ、出て行かれては困るじゃろう。今回は、ジュウジュ…お主が一役買わねばならんからなぁ?」 |
| ジュウジュ | 「オレが?」 |
| グリークは机にある手紙を、4人に向けて差し出す。 | |
| グリーク | 「この男を迎えに行ってきな、デストニアにだ」 |
| シーザー | 「デストニアだと?」 |
| サンドラ | 「魔王城があった大陸よ、魔界軍の本拠といっても過言じゃない…無茶よ!」 |
| グリーク | 「アレがある」 |
| ジュウジュ | 「イーグルか!」 |
| シーザーとサンドラの視線はジュウジュに向けられる。 | |
| シーザー | 「しかしまだ、テストフライトの段階だ。武器も載せていない。実戦は無理だぞ」 |
| サンドラ | 「それに目立つでしょう」 |
| 反論するシーザーとサンドラ。 | |
| ティキ | 「だが空路以外ではデストニアへ上陸できん。あの大陸には海岸に結界が敷かれておる」 |
| グリーク | 「後ね、イーグル程度の代物はデデムも…魔王も用意している」 |
| シーザー | 「何だと?」 |
| グリーク | 「小型のマシン兵器だ。だからイーグルを見られた所で焦る必要もないだろう。『レオハルト』の存在さえ気付かれなければね」 |
| ティキ | 「それは初耳じゃぞ、グリーク。システムIか…見たのか、アレを?」 |
| グリーク | 「名前は知らんが、フォレスタが居た頃にね。一度だけ相手にした事がある」 |
| ティキ | 「そうか…」 |
| グリーク | 「流石にシャヌーンからデストニアまでの空路は、ジュウジュの精神が持たない。船で出来る限り陸に寄せてから、イーグルで目的地まで向かう事になる」 |
| シーザー | 「海路も安全とは言えんぞ?」 |
| ティキ | 「そのための御主等じゃろうが?」 |
| シーザー | 「また、都合よく『海賊』か」 |
| ジュウジュ | 「誰がこいつ等なんかと!」 |
| グリーク | 「そういう訳だ。今回の任務は、ジュウジュとシーザーが付きな」 |
| サンドラ | 「じゃあ、あたし達は留守番ね」 |
| グリーク | 「ジェナードをお前達2人のサポートへ回す」 |
| ティキ | 「ほほう、するとイーグルに二人が乗るのか?」 |
| ニヤリと笑うティキ。 | |
| シーザー | 「俺は一向に構わんが」 |
| ジュウジュ | 「冗談じゃねぇ、誰がこんなエロ親父と!」 |
| シーザー | 「ハッハッハ…俺にそんな趣味は無いさ」 |
| 真っ赤になるジュウジュ。 | |
| ジュウジュ | 「気味悪い事言うな!」 |
| シーザー | 「俺と一緒に乗るのが、そんなに嫌か?」 |
| ジュウジュ | 「絶対に、イ・ヤ・だ!」 |
| ズカズカと大股で部屋を後にするジュウジュ。 その後ろ姿に、シーザーは笑いながら言う。 |
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| シーザー | 「まぁ、お前も組織の人間なら、上の命令に従うんだな」 |
| ジュウジュ | 「!」 |
| 勢いよく扉を閉める。 残された他4名。 真顔になるシーザーは、グリークへと振り返る。 |
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| シーザー | 「イーグルを借りる。本当に、これでいいんだな?」 |
| グリーク | 「同じ事を何度も言わすんじゃないよ。とっとと準備しな。向こうも…ベドゥインもそう、長くは待てないんだ」 |
| シーザー | 「…後悔するぞ?」 |
| グリーク | 「するのはあたしだ。お前さんには関係ないだろう」 |
| シーザー | 「……」 |
| シーザーもまた何かイラついた様に、その部屋を出て行く。 | |
| サンドラ | 「ちょっと…!」 |
| シーザーを追いかけるサンドラ。 | |
| ○GW本拠地・廊下 | |
| 廊下を歩くのは、リップとクルエの2人。 クルエは手にある書類の束を捲りながら、文句を言う。 |
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| クルエ | 「絶対無理よ、こんなの。訳の分からない『システム』やらの専門用語、覚えられっこないじゃない!」 |
| リップ | 「そうね。わたし達の仕事『オペレーター』って言うのも、結構大変よね」 |
| クルエ | 「せめて、もう1人。『案内係』が居ればいいのにな〜」 |
| リップ | 「それを言うなら『ナビゲーター』」 |
| クルエ | 「んもう、さっぱり分かんないわよ…大体…」 |
| リップ | 「ちょっと、クルエ…」 |
| リップは前方から、言い争いをしながら、こちらに向かってくるシーザーとサンドラに気付く。 | |
| クルエ | 「サンドラ?」 |
| リップとクルエの2人は立ち止まり、壁陰に隠れる。 | |
| サンドラ | 「待ちなさい!」 |
| シーザー | 「……」 |
| 廊下を無言で歩くシーザーの後にサンドラが続く。 | |
| サンドラ | 「さっき、話をはぐらかしたでしょう!」 |
| シーザー | 「……」 |
| サンドラ | 「グリークの体について、何か知ってるのね。どういうつもり…あなたとティキは何を考えて…!」 |
| 突如振り返るシーザーは、強引にサンドラに唇を重ねる。 | |
| サンドラ | 「ん…」 |
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| リップ&クルエ | 「!」 |
| 真っ赤になって顔を見合わせるリップとクルエ。 | |
| サンドラから離れるシーザー。 | |
| シーザー | 「今の俺に近づくと、何をするか分からんぞ」 |
| サンドラ | 「!」 |
| バチンとサンドラはシーザーの頬を打つ。 | |
| サンドラ | 「見損なったわ、シーザー!」 |
| シーザー | 「……」 |
| シーザーはサンドラに背を向け、呟く。 その表情は見えない。 |
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| シーザー | 「グリークが『ただの風邪』だと言った。それ以上、俺の口からは何も言えん」 |
| サンドラ | 「……」 |
| 去り行くシーザー。 考え込むようにしながら唇に指を添えるサンドラは、シーザーの意図に思い当たる。 瞳が僅かに潤み、閉じる。 |
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| クルエ | 「あの2人、やっぱりできてたんだ…」 |
| 複雑な表情のクルエ。 一方、リップは放心状態で、空を見る。 |
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| リップ(M) | 「グリークが…」 |
| ○グリーンウッド(以下GW)・本拠地(グリークの部屋) | |
| 部屋にはグリークとティキが残る。 | |
| グリーク | 「あんたが中心になって『レオハルト』の仕上げをするんだ。それからはあの2人に、全てを委ねる」 |
| ティキ | 「弱気じゃな、グリーク?」 |
| グリーク | 「カン違いしないでおくれ、『レオハルト』が飛ぶまでは、死にはしないさ」 |
| ティキ | 「肩を貸そう、グリーク。立てるか?」 |
| グリーク | 「すまないね」 |
| ティキ | 「ワシの背は低いから、少々難儀だが」 |
| 小さく笑うティキに、顔面蒼白のグリークは微笑み返す。 | |
| ○GW本拠地・研究室 | |
| 前回のポッドから、イーグルのコクピットを模したシュミレーターになっている。 シュミレーターに腰掛けるのは、シルクレストとペンソ。 その近くで、コンピュータを操作する、セイクレッドと偽レイン。 やや離れた実験室のコントロールルームに居るのは、ダイスとフォウリー。 |
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| フォウリー | 「『レオハルト』って、いい名前だよね〜」 |
| ダイス | 「そうだなぁ、『レオハルト』かぁ…。早く完成しないかなぁ〜」 |
| フォウリー | 「ところでジェナードは?」 |
| ダイス | 「ジェナードのあんちゃんは今度の任務でデストニアに行くから、準備してるよ」 |
| フォウリー | 「ふうん」 |
| ダイス | 「ところで、あいつら。本当に大丈夫かな?」 |
| ダイスが冷ややかに送る視線の先には、セイクレッドの指示を受けて忙しく動く、偽レインの3人。 | |
| セイクレッド | 「そこ、赤いレバー引く」 |
| ダジリン | 「お…おう!」 |
| セイクレッド | 「ポイントが上がったらデータ取る」 |
| セイロン | 「あ…あん!」 |
| セイクレッド | 「ホープ2の気圧下げる」 |
| アッサム | 「は…はいな!」 |
| フォウリー | 「あんなに早口なセイ…初めて見た…」 |
| 呆れるフォウリーとダイス。 | |
| ダイス | 「あいつ等が、『レオハルト』のクルーだって事が不思議なんだよな」 |
| フォウリー | 「それだけ望みが一途なんだよ、きっと」 |
| ダイス | 「たまにフォウリーってドキッとする事言うよね」 |
| フォウリー | 「そう?」 |
| ダイスは手元のメモ用紙を見てから、コンピューターのマイクスイッチを入れて伝える。 | |
| ダイス | 「えっと、そこから高度を100上げて進路を10時にとって!」 |
| シュミレーターの中。 ダイスの伝令に、ペンソは顔を青くする。 |
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| ペンソ | 「まだ高度上げるのか〜!」 |
| モニタには現実のような空。 シルクレストの通信回線が開く。 |
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| シルクレスト(声) | 「おいおい、もう降参かよ」 |
| ペンソ | 「降参じゃなくて限界…気持ち悪い」 |
| シルクレスト(声) | 「は?」 |
| 研究室中に響くペンソの悲鳴。 | |
| ペンソ | 「俺、高い所は苦手なんだよ!」 |
| シルクレスト(声) | 「はあ!」 |
| ペンソ | 「う…ぇ」 |
| シルクレスト(声) | 「うわあああぁぁぁぁ、んなとこで吐くなぁぁぁぁ!」 |
| ダイス | 「大変だ! ねえ(偽レインに)、今すぐペンソ兄ちゃんを出して!」 |
| その伝令に、お前が行け、お前が行けと嫌々な様子を見せる偽レイン達。 | |
| ダイス | 「高所恐怖症って言うのかなぁ…先が思いやられるよ〜」 |
| フォウリー | 「でも、高い所が苦手な盗賊っておかしいね」 |
| ダイス | 「ほんと、リップ姉ちゃんがここに居なくてよかったよ…」 |
| 思わず呟くダイスに、フォウリーは振り返る。 | |
| フォウリー | 「なんで?」 |
| ダイス | 「ん〜、こっちの話」 |
| ○GW本拠地・港 | |
| 港で見送るクルー達。 手を振る、シーザー、ジュウジュとジェナード。 |
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| ジュウジュ | 「言っておくけどな、グリークが言うから仕方なく乗せてやるんだ。へんな真似しやがったら、速攻空に放り出す!」 |
| シーザー | 「ハッハッハ、それは不味いな。間違いなく死ぬぞ」 |
| 余裕に笑う、シーザーの様子に面白くないジュウジュ。 | |
| ○GW本拠地・寝室 | |
| ベッドから上体を起こすグリーク。 すぐ傍に居るのは、ティキとフレディン。 |
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| フレディン | 「主ラシューヌ神。正しき者に命の恵みを…『キュアライト』」 |
| フレディンはグリークの胸に手をかざす。 その手が黄色い輝きを帯びる。 |
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| グリーク | 「すまないね、フレディン。幾分楽になった」 |
| フレディン | 「一時的なものです。病は…神が与えた天命といいます。魔法ではどうする事も出来ません」 |
| ティキ | 「それでも、フレディンが居てくれたおかげで助かっとるよ」 |
| グリーク | 「そうだね、もって三月と言われたが。まだくたばりそうにないねぇ〜」 |
| ニヤリと笑うグリーク。 そんな彼女の様子を見て、ティキは呟く。 |
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| ティキ | 「お主の息子…グリンには逢いたくないか?」 |
| グリーク | 「……」 |
| グリークが窓から見るのは、港。 出港する、シーザー達の船。 |
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| ティキ | 「レインはデストニアを出て、ファンジームに向かっているという。恐らく、ダヴァンに逢うつもりだろう。彼は、魔王デデムに監視されている。オレンジとグリーンのオウルは、デデムの元にあるからな。レインはデデムと一戦交える事になる」 |
| グリーク | 「すると、ここに来る必要はなくなるね」 |
| ティキ | 「至急、残るイーグル2機を完成させよう。お主はそれに乗って…」 |
| グリーク | 「バカ息子の顔を見る必要がなくなって、清々してるんだ。勘弁しておくれ」 |
| ティキ | 「素直になれ、グリーク。フレディンのお陰で、今でこそ具合はいいが。明日何があるか分からんのじゃぞ!」 |
| フレディン | 「そうです、愛しい人に逢う事が可能ならば…それは逢いに行くべきです」 |
| グリーク | 「ティキ…それにフレディン。つい昨日…シーザーがね、同じ事を言ったんだ。」 |
| インサート・船上。 出港する船から、グリークの居る本拠の方向を見つめるシーザー、その表情。 |
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| グリーク | 「逢いたくないわけじゃない、あたしが育てた実の息子だから。でもね、それよりも…今のあたしの姿を見たら…グリンは…そしてレインはどう思う?」 |
| ティキ&フレディン | 「……」 |
| グリーク | 「逢いたい以上に、グリンを困らせたくはないんだよ。子はいずれ親の元を離れていく。なのに親が子にしがみついてどうする? …彼等にはまっすぐ前を向いて旅をして欲しいんだ」 |
| ○デストニア・ヤスリブ | |
| 蝙蝠の翼を持つ大きな黒い犬が、ベドゥインの家の前に降り立つ。 背から降りるのは、自分の体よりも大きい荷物を背負ったヘパイストス。 ヘパイストスは犬の鼻面を撫でる。 |
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| ヘパイストス | 「ご苦労さん、スティック」 |
| 大きな黒い犬の姿が歪み、魔族の少年の姿となる。 腰布1枚。 背に蝙蝠の羽。 |
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| スティック | 「リブ肉、2本な」 |
| ヘパイストス | 「なぬ、いつもの倍だぞ!」 |
| スティック | 「けどよ、今日は寒かったぜ〜。うめぇ肉が食てえぇ〜、肉肉〜!」 |
| ヘパイストス | 「あ〜あ〜、分かった分かった…」 |
| と言いかけたところで響いてくる、高い女性の声。 | |
| ?(イヴン) | 「父さんの身勝手で、町の魔族が死ぬ事になるのよ!」 |
| ビクリとして、ヘパイストスとスティックは家へと振り返る。 | |
| ヘパイストス | 「なんじゃあ、親子喧嘩か?」 |
| スティック | 「……」 |
| 一方、ベドゥインの家の中。 父・ベドゥインと娘のイヴンが口論をしている。 イヴンの手には、机に置いてあったベドゥインの手紙。 |
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| ベドゥイン | 「ガルスはパープルストーンのレインとして戦っている。自分だけがここで、ヴァティスに怯えている訳にいかんだろう」 |
| イヴン | 「あたし達、一介の魔族が太刀打ちできるわけないじゃない!」 |
| ベドゥイン | 「ガルスがこの街を訪れた際に、一度魔将の強襲を受けている。もうこの地にレインは居ない。 ほとぼりも冷めた事だ、めったな事でヴァティスも魔王も動かんだろう」 |
| イヴン | 「魔王ね…」 |
| イヴンは自嘲する。 | |
| イヴン | 「繰り返すようだけど、元『レジスタンス』だった父さんが、このグリークとかいう人間が率いる『義勇軍』と関係を持ったと知れば…魔王だって黙ってるわけがない」 |
| 扉が開く。 家に入って来るのは、スティックとヘパイストス。 |
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| スティック | 「よおぉ〜」 |
| イヴン | 「!」 |
| やる気がなさそうに挨拶するスティックにイヴンはギクリとする。 | |
| イヴン | 「あんた…何でここに…まさか…こいつらが義勇軍?」 |
| ベドウィン | 「違う、彼等はわしの友人だ」 |
| ヘパイストスはイヴンに向けペコりとお辞儀をする。 そして、背にある大きな荷物を下ろす。 ガチャンと言う金属音。 |
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| イヴン | 「それって…もしかして?」 |
| ヘパイストス | 「神具とまではいかんがな、ミスリル仕立ての自慢の獲物じゃ。『紫風』と名づけた」 |
| 荷物からヘパイストスは一振りの大剣をベドゥインに差し出す。 | |
| イヴン | 「なんで武器なんか!」 |
| ベドゥイン | 「素晴らしいな…いい仕事だ」 |
| イヴン | 「……」 |
| そんなベドゥインとヘパイストスを尻目に、イヴンはスティックを睨み。 | |
| イヴン | 「話がある。言いたい事は分かってるでしょ?」 |
| スティック | 「……」 |
| 家の外に出る、スティックとイヴン。 | |
| イヴン | 「あんた墓守はどうしたのよ?」 |
| スティック | 「ガルスがパープルストーンのオウルを持って行っちまったからな。俺様は用なし」 |
| イヴン | 「父さんには…」 |
| スティック | 「言ってねえよ。テメエが魔王だって事」 |
| イヴン | 「そう…」 |
| スティック | 「ガルスが頼んでったから、そうしてるだけさ」 |
| イヴン | 「これ以上、動かれると困るのよ。あんたも命が惜しければ、大人しくしてる事ね」 |
| スティック | 「なあ、親子ってそんなに分かり合えないもんなのか?」 |
| イヴン | 「!」 |
| スティックの言葉に、イヴンは強い剣幕で返す。 | |
| イヴン | 「親と子は所詮は別人なの。そして人と人の間には壁がある。越えようのない壁が…」 |
| スティックの前を立ち去るイヴン。 暫く、取り残されたスティックは呆然と佇む。 |
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| スティック | 「壁か…」 |
| スティックは溜息をつき、空を見上げる。 | |
| スティック | 「俺は父ちゃんと母ちゃんに逢う事すら出来ねえのに…贅沢言いやがって…」 |
| と、見上げる空に横切る大きな鳥のような影。 | |
| スティック | 「ん、…でかい鳥か?」 |
| スティックはその影の飛ぶ方向へと走る。 | |
| ○ヤスリブ郊外の森 | |
| 森の中走るスティック。 | |
| スティック | 「ハアハアハア…」 |
| やや開けた場所に出る。 | |
| スティック | 「こりゃあ…一体何なんだ…?」 |
| 眼前には無人のイーグル1。 | |
| ○【アイキャッチ】 | |
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