第7話 贖罪
シーンA
○テーベの街・墓地
グリークの火葬。
埋葬に立ち会うのは、
シーザー、サンドラ、ティキ、イーグルチーム3人、リップとダイス。
泣いているリップとダイス。
ジュウジュとペンソは、静かに炎を見つめる。
その2人の様子を察するシルクレスト。
ジュウジュ 「このままじゃ、乗っ取られるぞ…ペンソ…」
ペンソ 「何訳分からない事、言ってるんだよ」
ジュウジュ 「結局、グリークに理由を聞けず仕舞いだった…あの野郎が…船長だと…?」
シルクレスト 「マジかよ…あのエロ親父が?」
ジュウジュ 「グリンが…許すわけねえ」
ペンソ 「だって、グリーク本人が言ったっていうじゃないか…『シーザーを船長に』って…」
ジュウジュ 「グリーンウッドを…レオハルトをあいつのいい様にされてたまるか。
約束したんだ、俺は!」

フラッシュバック
幼いジュウジュの頭を撫でるダイ。

ジュウジュ(M) 「ダイに…。グリークとグリンと…そしてグリーンウッドを護るッて!」

一方。
シーザーは右手の中にあるマスターキーを握り締める。
シーザー 「……」
サンドラ 「……」
ティキ 「……」
サンドラとティキはシーザーの手にあるマスターキーに気付く。
シーザーの傍らへと歩み寄るサンドラ。
サンドラ 「それが、グリークの遺志よ」
シーザー 「……」
サンドラ 「グリークはレインと面識があった、そして海賊を統べていたというそれだけの理由で貴方を船長に命じたわけじゃないわ。
多分ね、貴方にフォレスタを重ねていたのよ」
シーザー 「フォレスタ?」
サンドラ 「亡くなってしまったグリークの夫。それは貴方に似た色男だったようだけど…」
シーザー 「……」
サンドラ 「フォレスタはレインだった。彼の統治者としての資質をも貴方に見ていたのかもしれない」
シーザー 「買いかぶりすぎだ、俺は…ただ…」
天に昇る煙を見上げるシーザー。
シーザー(M) 「グリークに母を見ていた」
その2人の会話を聞くティキとジュウジュ。
2人、それぞれの表情。

○【サブタイトル】




○テーベの街・GW旧本拠
本拠となっていた店にはペンソとリップのみ。
閑散としている。
リップはカウンターにある台帳を何やらチェックしている。
リップ 「わたし、しばらくこっちに残ろうと思うの」
ペンソ 「何で?
リップが居ないとクルエも…フレディンも困るだろ。オペレータチーフじゃんか」
リップ 「グリークが居なくなってしまったから、グリーンウッドの表向きの仕事をある程度片付けとかなきゃね。
引継ぎもまだだし…」
ペンソ 「でもこんな状態で…一人にしておけないよ」
リップ 「ありがと、ペンソ。でもね大丈夫。ダイスも一緒に残ってくれるし…」
リップは店を一通り見回す。
リップ 「落ち着きたいの、色々と今まで大変だったじゃない。片付けたらすぐ、レオハルトに戻るから。
だから…あ、そうだ」
リップはカウンターにあった包みをペンソに渡す。
ペンソ 「これ…」
リップ 「約束のショコラクッキー、あげるわ。本当はグリークの分なの。お酒を少しだけ入れてね…でも…」
耐え切れずに、涙を浮かべる。
リップ 「味見しようとしたんだけど…で、でも…なみ…だ…止まらなくて…しょっぱくて分かんない…」
ペンソ 「……」
ペンソは涙を拭うように、キスを落とす。
リップ 「ペンソ?」
ペンソは指を沿え、未だ零れるリップの涙を拭う。
ペンソ 「安心して、俺がリップの傍に居るから…リップが1人にならないようにずっと、傍に居るから」
リップ 「ペンソ…」
顔を赤らめるリップ。
リップ 「本当はレオハルトに戻りたくない。グリークが居なくなって、バラバラになっちゃうのが…怖い」
ペンソ 「それって、ジュウジュの事?」
リップ 「うん。最近のお兄ちゃん…なに考えてるか分からないの。わたしは平気。ペンソに元気をもらったし」
一瞬。
今度はリップからペンソの唇へキス。
リップ 「だから、ペンソ。お兄ちゃんをお願い」
ペンソ 「……」
ペンソは一瞬の事で、呆然とするが。
すぐににこやかに頷く。
ペンソ 「わかったよ、リップ」
?(ダイス) 「まあ、リップ姉ちゃんは俺に任せておけって!」
ペンソ&リップ 「!」
突如、入り口から聞こえてくるダイスの声。
入ってくるのはダイス。
ペンソ 「お、お前…ッ。いつからそこに!」
ダイス 「ん〜、たった今。ど〜したの、2人とも顔…真っ赤だよ」
ペンソ&リップ 「〜〜〜〜」
さらに真っ赤になる2人。
リップ 「とにかく、し…仕事始めるわよ、ダイス!」

○グリーンウッド(以下GW)・本拠地(グリークの部屋)
ティキ(M) 「グリークを亡くして、もう1週間が経とうとしていた」
主を亡くしたグリークの部屋。
ティキとシーザー、ジェナード。
ティキは静かに佇む。
ジェナードの持つ報告書を受け取り、シーザーは目を通す。
シーザー 「あの時のテストでは、間違いなく目標値を越えた。しかし、あれきりか。
リップとダイスがクルーを外れてるとはいえ、今じゃあ2000そこそこ。なんてザマだ。
それと、フレディンはオペレーターに向かないようだな。当分はクルエに任せるか…」
ジェナード 「明日14時。再テストの予定を組んでいる」
シーザー 「とにかく、あの時と現状との違い。何かがあるはずだ。そこさえ突き止めれば…」
ジェナード 「後は報告書にはないが、クルーの一部に反発が起きている」
シーザー 「粗方想像がつくがな、それも明日までの話さ。俺が頭だと納得させる」
ジェナード 「するとテスト前に一悶着起こすか?」
シーザー 「フ…」
シーザーは顔を上げ、ジェナードへニヤリと笑う。
その直後、物思いに沈むティキに気付く。
シーザー 「…おい、ティキ」
ティキ 「…あ…」
シーザー 「聞いてるのか?」
ティキ 「すまん。すまんな、シーザー」
シーザー 「落ち込むのは若い奴だけで十分だろう。お前までそんな顔をするな」
ティキ 「お主とて十分若いじゃろうに…」
シーザー 「お前はレオハルトを飛ばす事だけ考えていればいいんだ。テスト成功時のデータを、全て洗い直してくれ」
ティキ 「おぬし等は強いな…」
シーザー 「何か言ったか?」
ティキ 「いや…」
何かを言いかけて止めるティキ。
再び報告書へと目を移すシーザー。
ティキ(M) 「この状況で、まともに動けるのはシーザーとジェナードぐらいなもんじゃろう。
レインがルラを亡くした時と同様に、クルーもまた拠所を失った。
シーザー、お主はグリークになれるか?」
そこへ響くノック(SE)。
サンドラの声 「船長、入るわよ」
シーザー 「……」
入ってくるのはサンドラと彼女に付き添われた猿の獣人・サルサである。
シーザー 「まだ俺を『船長』と呼ぶなよ。他の奴等に認められたわけじゃない」
ジェナード 「そうだな、元々つるんでた俺達以外はな」
サンドラ 「ならば、あたしが最初にそう呼ぶわ。それがグリークの遺志だから」
シーザー 「…勝手にしろ」
サンドラ 「…今までと随分態度が違うのね」
シーザー 「そいつはどうかな。只の男としての相手なら歓迎するが?」
サンドラ 「まったく…」
ティキ 「…サンドラ。そこの娘は?」
サンドラ 「ティキ。あなたの古い友人ダヴァンに縁がある子よ」
サンドラに紹介されたサルサは、ティキに向け軽くお辞儀をする。
その表情は暗い。
ティキ 「ダヴァンの?」
サルサ 「はい、私はサルサと申します。ダヴァン様に仕えていた者です。ティキ様…いえドギ様の御噂は伺っております。
ダヴァン様が…」
言葉がつかえるサルサ。
涙ぐむ。
サルサ お亡くなりになりました
ティキ 「!」
シーザー 「三博士の1人、ダヴァン…」
サルサ 「はい…ミッフィー様をオウルの下へと導いた後に、魔王に…」
ティキ 「魔王…デデムか…?」
サルサ 「…うううう…」
ティキ 「しかし、不老不死であるダヴァンが何ゆえ…!」
サルサ 「…うううう…」
その場に座り込んで泣き出すサルサ。
サンドラは優しくサルサの肩を抱く。
ダヴァンの最期に察しがついたティキは押し黙る。
サンドラ 「少し休みなさい。ファンジームからの長旅で疲れてるでしょう?」
サルサ 「…ひっく…」
言葉にならないサルサ。
サンドラはサルサと共に部屋を出て行く。
シーザー 「これで…レオハルトのシステムを知る者はお前しかいない。
お前がやるしかないんだ、ティキ」
ティキは呆然とサンドラとサルサを見送る。
ティキ 「そうじゃな…ただ一人、わしだけが残った」
フラッシュバック
フォレスタとベナレス。
ダヴァンとティキ。
そしてグリークの肖像。

○【アイキャッチ】