第8話 心描く少女
シーンC
グロッセートの町・クロラフィル家の館跡
翌朝。
火は完全に消えている。
煙がうっすらと上る、朝靄。
立ち尽くすカタリム。
痛々しく首に布が宛がわれたコナミを支えるソウタ。
コナミ 「リーブズ様はね、あの時カタリムが居なくてよかったって言ってた。
それと…『すまない』って…。絵を破ってしまってすまないって、そう伝えてくれって」
カタリム 「うん…」
俯くカタリム。
カタリム 「パパは…エゼク魔法学校を首席で卒業してて頭がいいはずなのに、不器用ですね」
カタリムはマギウスのペンを取り出す。
無言で空中に絵を描き出す。
それはカタリムの父・リーブズと母の姿。



カタリム 「パパ…ママ…」
父と母の幻影はカタリムに微笑む。
そして、朝靄の中を去るように静かに消えてゆく。
カタリム 「ううっ…」
肩を震わせて、泣くカタリム。
ソウタ 「カタリム…俺達はコナミの親戚が居るキャンティの村へ行こうと思ってるんだ。
お前はどうするんだ?」
カタリム 「……」
涙を拭うカタリム。
コナミ 「カタリムちゃん?」
カタリムは館の瓦礫の上を歩き、燃えずに残っていた自分の鞄を見つける。
カタリム 「パパ…大好きだったパパ。優しかったママ…。私に出来る事、何かあるよね?」
昨夜の家出の支度をしていた鞄。
煤を叩き、それを肩に背負う。
カタリム 「行ってきます」
ペンを天に掲げるカタリム。
カタリム 「私にはマギウスのペンがある!」