最終話 レオハルト
シーンA
○レオハルト・ヘルツルーム
レオハルト艦内に響くアラーム(SE)。
ジュウジュ 「な…何だ!」
シーザー 「!」
動揺が伝わるクルー。
レオハルトに響く、サンドラの艦内放送。
サンドラの声 「シーザー、メインソナーに異常確認。シグナル・オールレッド…敵よ!」
ジュウジュ 「な!」
ティキ 「敵じゃと!」
動揺が伝わるクルー。
そこへ、一際大きいシーザーの檄。
シーザー 「再び問う。お前達はレオハルトと想いを一つにする事が出来るか!
その覚悟がなければ、船を降りろ! 今すぐであらば間に合う!!
母なるグリークと想いを一つにし、レインとの共闘を望むならば、直ちに配置につけ!
これが最後のフライトテストだ!!」
艦内に響く声と一瞬の静寂。
その台詞に、ジュウジュはハッとなる。
ジュウジュ 「俺達とレオハルトの想いを一つに…?」
ティキ 「行くぞ、フォウリー。付いて来てくれるか?」
フォウリー 「言ったよ、あたしも手伝うって!」
ベドゥイン 「メインシステムのフルスタンバイまでは10分といったところだな!」
リップは両脇のクルエとサルサに声を掛ける。
リップ 「行かなきゃ、私たちが居なきゃ始まらないでしょ!」
サルサ 「終わったら、美味しいティータイムにしましょう」
クルエ 「やったぁ〜」
走り出す6人。
同様に他のクルーも走り出す。
ジェナード 「さて、今度のターゲットは手加減はいらんぞ」
ダイス 「分かってるって、練習じゃあ負けたけど。俺、マジ勝つよ。スティック!」
スティック 「こちとらデストニアで揉まれて育ったんだ。舐められてたまるかってんでい」
セイクレッド 「おしゃべりする時間ない」
走り出すガンナーチーム。
同様に他のクルーも走り出す。
フレディン 「フライトテストっておっしゃってますが実戦ですよね…」
カタリム 「私達も行きましょう。一緒行かないとフレディンさん、迷子になってしまいますし」
走り出す2人。
同様に他のクルーも走り出す。
後に取り残されたのは、シーザーとイーグルチーム3人、そしてヘパイストスと偽レイントリオ。
未だジュウジュの両手は、シーザーの襟を握る。
シーザー 「……」
無言でジュウジュの手を振り払うシーザー。
シーザーもまた、ブリッジに向かい走り出す。
ジュウジュは呆然となる。
ジュウジュ 「……」
シルクレスト 「ジュウジュ、どうする?」
ペンソ 「ジュウジュ…」
沈黙する3人。
ダジリン 「俺達は先に行くぞ!」
3人に対して、強い言葉のダジリン。
セイロン 「このまま逃げ出しちゃあ、あたし達の名が廃るってもんでしょうが」
アッサム 「せやせや、美味しいトコは持ってかれるけどな〜」
ダジリン 「お前らのバックアップが俺達の役目だ。発進準備はしておくぞ!」
ヘパイストス 「お前達、最後にはまともな事を言いおって…、ワシは嬉しい」
偽レイン 「勝手に最後にするな!」
ジュウジュ 「……」
駆け出していく、ヘパイストスと偽レイン。
ジュウジュ、その表情。

○魔界城・ヴァティスの間
ヴァティス玉座前。
ベナレスとデデム。
ベナレス 「ウルグからの報告にあった、義勇軍とやらの動きに関してだが…」
デデム 「それについては、ヴァティス様。我が僕を差し向けてございますよ」
ベナレス 「僕?」
デデム 「不穏因子は確実に殲滅せよとの御命令。魔王を行かせました」
ヴァティス 「魔王…」
ベナレス 「イリス捕獲後、魔王は人界への総攻撃準備にバルバロスへ集えとの天主の命であったが」
デデム 「『元』と言うべきですかな?」
ベナレス 「『元』…。もしやデビルダスを?」
デデム 「ヒッヒッヒ…」
笑うデデム。
静かにデデムを見つめるベナレスは無表情。

○レオハルト・戦闘ブリッジ
其々の席につくクルー達。
シーザーは隣のサンドラに問う。
シーザー 「確かに『デビルダス』と言ったのか?」
フォウリー 「おかしいじゃん。デビルダスは6年前にレインが倒したんじゃないの?」
サンドラ 「間違いないわ。音声の認識しか出来ないけれど、『デビルダス』と言った」
シーザー 「サルサ、そろそろモニター出せるか?」
サルサ 「はい、モニター入ります」
レオハルトのモニターが開く。

○グリーンウッド本拠地・盆地の森



闇夜の中、三日月の明かりに照らし出される情景。
醜い百目、六つ手、阿修羅のような化け物。
小山ほどの醜い巨人アシュラ・デビルダス。
しかし、肉が腐り所々に白骨も見える。

○レオハルト・戦闘ブリッジ
ベドゥイン、驚きの表情。
ベドゥイン 「間違いない…デビルダスだ。しかし…」
ティキ 「『システムD』を用いたか、デデムめ…」
シーザー 「『システムD』?」
ティキ 「アンデッド化じゃよ…。云わば『デビルダスゾンビ』じゃな」
シーザー 「ならば、朝になれば…」
ティキ 「ヤツは灰になろう。しかし、それまでにケリをつけるつもりであれをよこした。
デデムはそういう男じゃ」
シーザー 「チッ…。クルエ! 雑魚の数は?」
クルエ 「ポイントナイトメア・システムI…およそ30」
シーザー 「30か…」
リップ 「イーグルチーム、スタンバイOK。いつでも発進出来ます!」
シーザーの方へと振り返るリップ。
その表情。
シーザー 「いいんだな、リップ?」
リップ 「わたしはお兄ちゃん達を信じてます」
クルエ 「リップ…」
シーザー 「ベドゥイン、メインエンジンが立ち上がるまでに後どの位だ?」
ベドゥイン 「およそ300秒」
シーザー 「イーグルチームと回線繋げ」

○イーグル1コクピット
迷いを見せるジュウジュの表情。
唇を噛締めている。
開く、イーグル2の通信ウィンドウ。
ペンソの通信 「ジュウジュ…」
ジュウジュ 「ペンソ、グリークがもし生きていたら…この状況でどうする?」
ペンソ 「それは…」




フラッシュバック
メインエンジン炉へ投げ込まれる遺灰。

ジュウジュ 「グリークが望んでいたのかよ、レオハルトと1つになる事を…」
ペンソ 「それは…今になっては分からない事だよ。でも、これだけは言えるんじゃないかな?」
?(シーザー) 「グリークの望みはレインと共に戦う事、己の世界を守るために…」
開く、レオハルブリッジの通信ウィンドウ。
シーザーの表情。
シーザーの声 「レオハルトの起動準備完了まで5分かかる。幸い奴らはレオハルトの存在を知らん。
お前達は先に出て、デビルダスを本拠地隔壁外へ誘導しろ」
ジュウジュ 「誰がテメエの命令なんか…」
シーザー 「言ったはずだ、ならば船を下りろ。俺はお前を捨てる。
そしてそのイーグルで、出来る限り多くのクルーの命を救う術を考える」
ジュウジュ 「!」
シルクレスト 「俺達を捨てる?」
ペンソ 「シーザー…」
シーザー 「俺達の願いはレインの元に辿り着き、そして共に戦う事。
こんな所で1人でも死なすわけにはいかん。
お前は以前『人の上に立つ』意味を尋ねていたが、それは命の上に立つと言う事だ。
同時に命を担う事でもある」
ジュウジュ 「命を担う…」
走る衝撃。
大地が大きく揺れる。
ペンソ 「うわ…」
アラーム音。

○レオハルト・戦闘ブリッジ
揺れるブリッジ。
フォウリー 「きゃあ!」
ベドゥイン 「デビルダスめ、気付いたか」
ティキ 「いかん、これではここも持たんぞ!」
リップ 「お兄ちゃん!」

○イーグル1コクピット
シーザー 「軽率な命令は、クルーの命を奪う。このレオハルトの完成までに、どれだけの犠牲が払われたか。
命令とは命に令を下すと意味する。それを踏まえた上で、それに乗るなら。
俺は俺の命令でお前達を生かそう」
地鳴りが聞こえる。
顔を上げるジュウジュ。
ジュウジュ 「行くぞ、ペンソ、シルクレスト」
シルクレスト 「おう。アイツばっかにいいカッコさせてたまるかよ!」
ペンソ 「うん」

○レオハルト・戦闘ブリッジ
ニヤリと笑うシーザー。
サンドラ 「あくまで敵の陽動、深追いは禁物よ」
ジュウジュの声 「分かってるって!」
イーグルの起動音がモニターを通して聞こえる。
シーザー 「よし、お前達。暴れて来い!」
サンドラ 「イーグルチーム、発進!」