第4話 春の夜の夢
シーンA
○テーベの街・宿
朝。
鏡の前で制服のリボンを結ぶ
「この世界に来てから随分経つなぁ…」

フラッシュバック・第1話
友達と楽しそうに会話する、高校生活の日常。

「今頃、みんなどうしてるかなぁ…。心配してるかなぁ、私達の事…。特に君なんかは、おウチの人は大騒ぎだろうなぁ」

フラッシュバック・第3話
を抱きしめる
「アクスタインが幸せになれなかった分だけ、お前が笑ってればいいんだ。幸せになればいいんだ。
俺が幸せにする、約束するから…」

「ううぅ〜!」
顔を真っ赤にする
顔をブンブンと横に振ってから、大きく息をする。
「深呼吸〜!…よし!!」
冷静を取り戻したは、自分の部屋の戸を開ける。
同時に、廊下に出てくる
「あ、おはよ〜。君」
「早いな、
「うん。ちょっと海の様子見てこようと思って」
「あまり一人で出歩くなよ。この前だって街中に魔将が出てきたんだから…」
「レニーさんと一緒に行くも〜ん」
!」
宿を出て行こうとするは呼び止める。
「ん、なに?」
「答えだけど…」
「答え?」
首を傾げる
「いつでもいいからな」
少し顔を赤くしてそっぽを向く
「…私、何か問題出されたっけ?」
ガックリとする
「は〜?」
「うん。後で解くから〜、委員長に任せなさい〜!」
去っていく
「あの…天然…。まぁ、それも…仕方ないか」
溜息をつく、すると戻ってきたのか壁から顔を出す
「そうそう、君!」
「うわ!」
小言を聞かれたのではないかと、慌てる
「大学、お互い受かってるといいね!」
「大学?」
「んもう、元の世界に帰った時の事だよ。T大!」
言い残し笑って宿を去っていく
「……」
その姿を見送る
面持ちは暗い。

宿の中庭に出る
顔を赤くする。
(M) 「本当は何の問題を出されたか、そしてその解答はどう導き出せるか…答え知ってます。
伊達に優等生はやっていませんし。これでも高校生です…でも」
「そんなの言える訳ない〜!」
更に顔を赤くする

○【サブタイトル】



○同宿・食堂
目を擦りながら入って来るレニー。
食堂では既に、エイセルとアリスタが席についている。
エイセル 「眠れなかったのか?」
レニー 「うん。色々考えちゃって」
アリスタ 「レニーは『神聖魔法』を学んできた神官見習いだからな。これで神への信仰心は捨てたか?」
レニー 「そういう事はないと思う。それにこれからハッキリするじゃない。マーハ様に会うんだもの」
エイセル 「オマエ、まさか俺について来るんじゃねえだろうな?」
レニー 「それじゃ、私。と海に行ってくる」
去って行くレニー。
エイセルはアリスタの方を振り返る。
エイセル 「ってえ事は、オマエもか?」
アリスタ 「今更何を言う。お前が一人でマホメト老を探しに旅立つ時も、無理を言ってレニーと私はついて来た。
また、繰り返すだけだ」
エイセル 「やれやれ…」
嘆息するエイセル。
エイセル 「ラシューヌ神とレイン…『レジェンド』の真実か」
アリスタ 「歴史の本質は大概隠される物だ」
エイセル 「そうだな。だがヴァティスという敵以外においても、歴史上で民はレインに守られてきた。コンピニアの大戦だってそうだ」
アリスタ 「それこそレインの贖罪だろう」
エイセル 「お前はそれが『レジェンド』の真実、全てだと思ってるのか?」
アリスタ 「え?」
エイセル 「本当にそうだってんなら…俺はレインに会ったら、挨拶代わりに魔法を食らわすが…まだ謎は残ってる。
歴史上二度も現れた人類の敵・ヴァティスとは何者なんだ?」
アリスタ 「魔界の神だろう?」
エイセル 「俺も最初はそう思ってた。ただ単に、ライムランドの征服を目論む悪夢の象徴…ってな。
だが、そこへが現れた」
その時、食堂に入ろうとするは、自分の事が話題に上っている事に気付く。
入り口の影で話を聞く
エイセルとアリスタはに気付いていない。
(M) 「何を話してるんだ?」

アリスタ 「異世界の人間か?」
エイセル 「ああ…。俺達の知る『ライムランド』『天界』『魔界』の他にもう一つ『異世界』があった。そしてそのゲートをヴァティスは開こうとしている」
アリスタ 「ヴァティスは異世界も侵略したかっただけじゃないのか?」
エイセル 「ライムランドの征服すら成しえていないのに?」
アリスタ 「分からんな。何を考えてる、エイセル?」
エイセル 「『ゲートを開く』という事は侵略以外の利を生む。例えば『力の増幅』とは考えられないか?」
アリスタ 「異世界の悪夢という事か…。なるほど、真に悪夢を喰らい糧にする神だというわけだな」
エイセル 「ゲートを開く事によって異世界とライムランドの世界が作用しあう。それはラシューヌ神とレインにとって脅威…いや、そうなった場合勝機すら失われるのかもしれねえ。
だから、マーハは直ちにそのゲートを閉じた」
アリスタ 「確かにな、だが歴史上ゲートが開かれたという話は聞いたことがない」
エイセル 「開いた事はあるさ。現にレジェンドの直後、こちらで生まれたはずのマーハは異世界に居た。
つまり『歴史は隠される』、あるいは…」
アリスタ 「あるいは?」
エイセル 「戦いが終わる時、ゲートは完全に閉じられる。2つの世界の関わりが断たれる。それはすなわち記憶の喪失を意味するんじゃねえか?」
アリスタ 「では、過去にも開かれたがその歴史は抹消された?」
エイセル 「多分な…」

(M) 「記憶の喪失…」

エイセル 「互いの世界に関する全てが抹消される。俺達は達の記憶を失う。ゲートは閉じて、マーハに関する記憶だけが残る。彼女は元来こちら側に属しているからな。
同じ様に達もこちらに関する記憶を一切失う。相反する2つの世界に関わった全てがなかったかのように元に戻る」

「…ここに居た事が…消える…」
、その表情。
俯き拳を握り締める。
…」

○海
砂浜に座るとレニー。
レニー 「なるほど、告白されたってわけだね」
「ううぅ〜、実は私。そういう事にはさっぱり縁がなかったのです」
レニー の事どんな人だと思う?」
君の事?」
レニー 「うん。私に紹介するような気持ちでいいから」
「え〜と。生徒会長、うちの高校のアイドル、頭脳明晰、容姿端麗、スポーツ万能。おまけにコンツェルンの御曹司。
でも実は猫被ってて、わりと我侭。ゲーマーで自分が勇者だって宣言したり…。
でも、でも…私の事良く知ってる。恥ずかしい位知ってる」
レニー 「何を?」
「私が父さんを亡くした時の事。それと…」

フラッシュバック・第2話
「だって、私。やりたい事があるもん」
「金を稼ぎながら生活する事か?」
「!」

「私、夢があってね…。小説家になりたかった。でも現実にはそれは無理で…。諦めてた事、君に言われた」
レニー 「ふ〜ん」
「自分が気付いてなかった事に、気付いてくれたの。
ううん、本当は知ってて、でも知らん振りしてて。誰かに気付いて欲しかったのかもしれない。気付いてくれる人を探してたのかもしれない。
私の夢とか希望とか、弱い所とか。君には全部分かっちゃうんだろうなぁ〜」
レニー の全てを受け入れてくれる人だよね」
「恥ずかしいけど、でもそういう人が傍に居てくれると…いいよね」
レニー 「それって好きって事なんだよ」
「へ?」
レニー 「だって一緒に居ると嬉しいんでしょ?」
「…うん」
は微笑む。

○海上
船を漕ぐエイセルと、アリスタと
「ううぅ〜、こんな釣り船一回り大きくした位ので本当に大丈夫なのかなあぁ〜」
「今更戻るわけに行かないだろ」
「そりゃ、そうだけど」
エイセル 「このまま何もないといいが…」
「何もないとって?」
レニー 「見て、あれ!」
レニーが指差す前方には、霧に包まれそびえ立つ岸壁の小島。


「あそこなの?」
「マホメトが言ってた地図にない島。7年前には人が住んでたらしいけど…」
「今は居ないの?」
「ブルーストーンのレインの故郷らしいんだ。まあはが最初に降り立った地でもあるらしい」
エイセル 「成る程…だから真っ先に魔将に滅ぼされたか」
レニー 「そんな…」
アリスタ 「みんな待ってくれ…」
レニー 「何?」
漕ぐのを止める4人。
アリスタ 「…静か過ぎる…」
波は穏やかだか、異様な静寂が漂う。
エイセル 「来るな」
「え、まさか海にも魔将が出るの?」
レニー は伏せてて!」
言われ、を庇うように抱いて伏せる
同時に海面から姿を現す魔将・ドレッドゼリー。
「クラゲの化け物!」
アリスタ 「ドレッドゼリーか!」
杖を構えるアリスタと、剣を抜くエイセル。
エイセル 「レニー、オマエは魔法を撃つな。ヤツは雷を吸収する!」
レニー 「分かった!」
アリスタ 「風で援護する、(エイセルに)お前は得意のそれでなんとかしてくれ」
抜いたエイセルの大剣を見やるアリスタ。
エイセル 「結局前衛だな」
苦笑するエイセル。
「エイセルさん」
不安そうに、エイセルを見上げる
エイセルは笑う。
エイセル 「安心しろ、オマエ達は必ずレインの元へ送り届けてやるさ」
「帰りたくない…」
小さく呟く
君?」
を支え、立ち上がる。
俯いたその表情は分からない。
不意にを抱いたまま、海に身を投げる。
「!」
「え…」
エイセル 「バカな!」
海の中へ消える2人。
アリスタ 「一体何が…」
エイセル と一緒に海に飛び込んだ!」
アリスタ 「なんだって!?」
レニー 「お兄ちゃん、来る!」
ドレッドセリーの触手が伸びる。
直ちにそれを斬りおとすエイセル。

船上で戦う3人。

○小島の洞窟
気を失ったを抱え浮上する
「……」
に息がある事を確認すると、洞窟の入り口へ向かい空を見上げる。
小島から去って行く飛空艇。
「……」

○【アイキャッチ】