最終話 見果てぬ夢
シーンA
メンフィスの宿・朝
机の上に地図を広げるエイセル。


「どうやって、まあは達に追いつけば…」
エイセル 「ティーレで待つんだ」
「俺達がこの最初に降り立った島か?」
エイセル 「ああ。ヴァティスがマーハにゲートを開かせた地だ。恐らく、ゲートはティーレでしか開く事は出来ない。
さもなきゃ、達がこの世界に召喚された時のゲートも、わざわざデストニアから離れた小島で開く意味がない」
アリスタ 「なるほど…」
レニー 「最後のオウルを手に入れたレインはヴァティスと戦う。戦いが終わった後に、レインとマーハ様を訪ねればいいんじゃない?」
エイセル 「そんな悠長にいけばいいが」
エイセルは嘆息する。
「多分…まあはは、人間界に帰るんじゃないかな?」
エイセル 「お前もそう思うか?」
「うん」
「何でだよ、まあはは元々こっちの世界の神なんだろ?」
「あのね、レニーさんには悪いけど…神様って必要なものなの?」
レニー 「え?」
「信仰対象としての神様は必要かもしれない。信じることで救われる人間がたくさんいる。でもね…」
エイセル 「神もまた、感情を持った一個体だった。俺達と同じようにな」
レニー 「…そうだけど」
エイセル 「ライムランドが平和になった時、これまでと同じように神は必要だろう。ただ、悪夢を打つ神の力は必要なくなる。
現にヴァティスの再臨までの1000年間、神は存在しなかったじゃねえか」
「戦いが終わった時、つまりまあはが1人の女の子に戻った時の事を考えるの。彼女がこれまで共に過ごした育ての両親や家族を捨てる事が出来るのかって…」
エイセル 「ゲートが閉じて達の世界とライムランドの交わりが絶たれれば…恐らく彼女は二度と開く事はないだろう」
アリスタ 「マーハはこちらの世界に未練がないのか?」
エイセル 「そいつは分からねえ。このライムランドで、マーハがどんな関わりを持ったか想像はつかねえしな」
「未練があるとしたら…それはあってはならない事だよ」
「あってはならない事?」
「うん」
は顔を上げてを見つめる。
(M) 「私がこの世界に未練がないと言えば、嘘になります」
?」
(M) 「元の世界に戻れば、交わりは絶たれる。すなわち、彼との思い出は消えてしまうんだから。
けれど、まあはは違う。彼女だけはここでの思い出を持って帰る事が出来るんだ。
それでも未練が残るとすれば、それはこの世界の人と再び逢えなくなる事…」
「ごめん、話を続けて…」
再び地図の上へと視線を戻す
(M) 「永遠の別れが身を引き裂くほどに辛いのなら…それは彼女がここで誰かに恋した時だ」
「イリスさんとアクスタインさんのように…」
思わず呟く
そのの様子に気付くは、話題を逸らすように呟く。
「大事な事を忘れてないか?」
アリスタ 「大事な事?」
「みんな、まあはとレインの勝利を前提に話を進めてるが、もし負けた場合…」
レニー 「だって、負けた時の事は考えたくない」
「ヴァティスは人間界への扉を開きたがってるんだぞ」
「!」
静かになる一行。
「負けた時にはティーレに大量の魔将が押し寄せる。それこそヴァティスが直にやってくる」
エイセル 「…どうする?」

「行くしかない、それしか方法がないんだから!」
「怖い、でも信じよう!」