| 第6話 犯人を捕まえろ |
| シーンB |
| ○プルシャプラ・宿の一室 |
|
一行とシルフ。 |
| ルーン |
「放火犯の捜索だぁ?」 |
| フィオ |
「そうだよ、それが今回のクエストなんだ」 |
| ルーン |
「冗談だろ、めんどくせえ」 |
| フィオ |
「その放火犯が、サラマンダーなんだよ」 |
| グレイ |
「サラマンダーって、精霊が?」 |
| シルフ |
「はい、彼はここより東の山奥に住んでいた精霊でした。それがある日、正気をなくしてこの街を襲うようになったのです。私達精霊は人との争いを好みません。彼の力は日に日に強くなっています、早く何とかしなければ…」 |
| グレイ |
「攻撃を仕掛けてもいいの?」 |
| リリファン |
「弱らせた所で、説得するつうことやな」 |
| シルフ |
「はい、急激に増大した力が彼の意識を支配しています。私が彼を説得します」 |
| ピノ |
「でも、どうしてシルフさんはグレイを探していたわけ?」 |
| シルフ |
「この方に気配を感じたからです」 |
| グレイ |
「僕に気配?」 |
| リリファン |
「……」 |
|
何かを悟ったように、グレイとシルフを見つめるリリファン。 |
| シルフ |
「私と同じ…人ならざる者の気配を…」 |
| グレイ |
「人ならざる者…ッ」 |
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頭痛に顔をしかめる。 |
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フラッシュバック・グレイの夢
グレイの眼前に現れる人魚の女性。 |
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| グレイ(M) |
「あの人だ…。いや、人じゃない…」 |
|
人魚の女性を思い出すグレイ。
魚の下半身。
そんなグレイに気付かない、ルーンは話を切り出す。 |
| ルーン |
「相手は炎の精霊だろ。火に風じゃ煽るだけじゃねえか」 |
| フィオ |
「弱点はやっぱり水だよな…、ルクレチアが居たらなあ…」 |
| ピノ |
「雨乞いでもする?」 |
| ルーン |
「アホか」 |
| リリファン |
「接近戦は不利です。遠距離攻撃しかありまへん」 |
|
そう言ってから、リリファンは自分の旅荷物からクロスボウを取り出す。 |
| ルーン |
「そんな貧弱な武器でどうなるってんだ?」 |
| フィオ |
「普通の武器で大丈夫なのか?」 |
| リリファン |
「もちろんこれだけじゃあらしまへん。ここの魔術師ギルドに頼んで付与を施してもらいます」 |
| フィオ |
「付与?」 |
| グレイ |
「ああ、武器に属性を持たせるんだよ。魔法で矢に水の力を施すんだ」 |
| リリファン |
「とはいいますけど、このファンジームでどのくらいの魔力が期待できるか分かりまへん。魔術師ギルドの総本部のあるアルティマやったら、まだしもですが…。でも、ウチはグレイはんを信じてます」 |
|
キラキラと目を輝かせるリリファン。
グレイはキョトンとする。 |
| グレイ |
「僕を?」 |
| リリファン |
「はい、ラッキーカラーのブルーです」 |
| グレイ |
「僕は青い服なんて着てないけど…」 |
|
怪訝そうに首をかしげるグレイに、リリファンはただ微笑む。 |
| フィオ |
「早速、魔術師ギルドへ向かおう」 |
| ピノ |
「そうね、商売敵もきっとおんなじコトを考えるに違いないわ。先手必勝よ!」 |
| ルーン |
「精霊なんてクソ面倒な相手、誰も倒そうなんざ思わねえよ…ったく…」 |
|
ブツブツ言いながら歩き出すルーン。 |
|
|
| ○同・裏通り |
|
誰も居ない路地の奥。
壁に寄りかかる、リスの獣人の女性。
オレンジストーンのレイン・ミッフィー。
嘆息する。 |
| ミッフィー |
「あかん、逃げ足の速いトカゲやなぁ。なしてトカゲがこうも暴れおるんよ」 |
|
壁に映る巨大な海蛇の影。 |
| 男の声 |
「ですから、水の上位精霊である私を呼んで下さればいい。早急に件を片付けましょう」 |

|
| ミッフィー |
「あんなあ、フェンリル。目立つやん。ウチは目立ちとうないねん。行方不明でミステリアスなレインっていうのが、ええやろ〜?」 |
|
自己陶酔するミッフィー。 |
| フェンリル |
「行方を眩ましている理由は他にあるでしょうに…グリン様と…」 |
|
影を睨むミッフィー。 |
| ミッフィー |
「それ以上ゆうたら、ウチのエフリートにしばかせるで」 |
| フェンリル |
「申し訳ありません…」 |
|
脅えたように首を垂れる影。 |
| ミッフィー |
「前にベヒモスが混乱しよった時は魔将にとり憑かれとったけど…」 |
| フェンリル |
「魔将の気は?」 |
| ミッフィー |
「感じんのや、ただな…」 |
| フェンリル |
「ただ?」 |
| ミッフィー |
「精霊のにおいがプンプンしよる。それはフェンリルも気付いとるやろ?」 |
| フェンリル |
「はい、サラマンダーの他に二種の気配が…」 |
| ミッフィー |
「精霊の暴走か…これもあぶれた悪夢のせいやもしいへんな…」 |
|
呟き、俯くミッフィー。
とその時、街のどこからか響く爆発音。 |
| ミッフィー |
「なんや!」 |
|
|
| ○同・表通り |
|
魔術師ギルドへと向かう一行。
混乱し、逃げ惑う街の人々。
その爆発音に振り返ると。
遠方に立つ煙と、赤く照りだされる空。 |
| フィオ |
「またか!」 |
| ルーン |
「おい、こんなしょっちゅう火をつけまわるのか、アイツは!」 |
| ピノ |
「聞いた話と違うわよ、2、3日に1回。それが続いてたってくらいだって!」 |
| ルーン |
「これで今日二度目だぞ!」 |
| グレイ |
「時間がないよ、もう…」 |
|
姿を消しているシルフ。
空を見上げるリリファン。 |
| リリファン |
「ウチとグレイはん、シルフはギルドに向かいます。皆はんは先にサラマンダーの所へ向かってはくれまへんか?」 |
| グレイ |
「向かうって言ったって…」 |
|
ルーンを見るフィオ。 |
| ルーン |
「言っとくが、アイツに手を出しても俺達じゃどうにもならねえぞ!」 |
| フィオ |
「リリファンの言うとおりにしよう。火を消したり、避難の誘導くらいは手助けできるかもしれない!」 |
| ルーン |
「チッ、めんどくせえ!」 |
| ピノ |
「一々文句言ってる場合じゃないでしょ、行きましょ!」 |
|
火事の起きた方向へと駆けて行く、フィオとルーン、ピノ。
その時、空の向こうから近付いてくる巨大な炎玉。 |
| グレイ |
「うあ!」 |
|
一行のすぐ横を通り過ぎると、民家へと突進する。
燃え上がり、崩れ落ちる民家。 |
| リリファン |
「あれは!」 |
|
その炎玉が巨人の人影をかたどるのに気付く。
姿を現す鳥・シルフ。 |

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| シルフ |
「あれは…もう、サラマンダーではありません…ッ!」 |
|
|
| ○同・塔の上 |
|
屋根の上に立つミッフィーは、その光景を見つめる。
驚愕。 |
| ミッフィー |
「エフリートや…エフリートに成長しよった!」 |
|
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| ○同・魔術師ギルド前 |
|
ギルドの前に辿り着いた、グレイとリリファン、シルフは炎に包まれたギルドに声を失う。 |
| グレイ |
「そんな…」 |
|
必死の救命活動に当たるギルドの魔術師達。 |
| リリファン |
「これじゃあ、付与魔法どころの話じゃあらしまへん」 |
| グレイ |
「もう、無理だ…」 |
|
ガックリと膝を落とすグレイ。 |
| リリファン |
「何をいうとりますか、グレイはん!」 |
| シルフ |
「グレイ様、あなたのお仲間はどうするおつもりです!」 |
| グレイ |
「ッ!」 |
|
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|
フラッシュバック
消火作業に当たるフィオ。
怪我人を背負うルーン。 |
|
|
| グレイ |
「でも、僕はフィオ達と違う。歌うだけしか力がない。今、呪歌を歌ったってあのエフリートの耳に届くはずがないじゃんか!」 |
|
目に涙をためてうずくまるグレイ。 |
| リリファン |
「グレイはん、しっかりしてください。グレイはんには精霊のご加護がついとるやありませんか?」 |
| グレイ |
「え?」 |
|
リリファンの顔を見上げるグレイ。 |
| リリファン |
「ウチはメィアットの巫女です。見えるんです。グレイはんに憑いとる…グレイはんを守うとるラッキーカラー・ブルーです」 |
| グレイ |
「訳が分からないよ、リリファン」 |
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グレイは首を横に振る。 |
| リリファン |
「水の精霊・ウンディーネや…」 |
| グレイ |
「ッ…」 |
|
頭痛がグレイを襲う。 |
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フラッシュバック・グレイの夢
人魚の女性。 |
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| シルフ |
「グレイ様、どうかお力を。私の言霊に続けてください…」 |
| グレイ |
「…言霊?」 |
| シルフ |
「『聖獣アール・グレイの名に於いて命ずる…』」 |
| グレイ |
「せ、聖獣アール・グレイの名に於いて…命ずる…」 |
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ぼんやりとしたグレイの表情。
立ち上がる。 |
| グレイ |
「出でよ…ウンディーネ…」 |
| リリファン |
「……」 |
|
しばし静寂。
そして激しい頭痛がグレイを襲う。 |
| グレイ |
「うあぁぁぁぁぁ〜〜〜〜ッッッッ!」 |
| リリファン |
「グレイはんッ!」 |
|
グレイの額を巻く帯が落ちる。
額に開く第三の瞳。
瞳から放たれる青い光。 |
| リリファン |
「ひゃあ!」 |
| シルフ |
「ああ…やはり!」 |
|
青い光は人魚の女性をかたどる。 |
| ウンディーネ |
「お久しぶりです、グレイ様」 |
| シルフ |
「ウンディーネ!」 |
| グレイ |
「ウンディーネ、僕は…」 |
| ウンディーネ |
「行きましょう、グレイ様、シルフ!」 |
|
何も言うなというようグレイの言葉をさえぎるウンディーネ。
優しい微笑み。 |
| グレイ |
「うん!」 |
|
グレイはシルフの背に乗る。
空へと羽ばたくシルフ。
そしてその後を飛ぶウンディーネ。
呆然とその光景を見送るリリファン。 |
| リリファン |
「空飛ぶ動物・シルフ。ラッキーカラー・ブルー、ウンディーネ。やっぱり、グレイはんは聖獣やったんわ…」 |
|
|
| ○同・上空 |
|
シルフの背に乗るグレイは申し訳なさそうに呟く。 |
| グレイ |
「ごめん、ウンディーネ。僕は思い出したよ。君があの時、魔王の人間狩りから僕を守ってくれたんだよね。僕の力と…ウンディーネ、君自身を封じて」 |
| ウンディーネ |
「ええ、あなたが獣人でも魔力を持つ種族・聖獣と魔王に知れれば…」 |
| グレイ |
「実験動物にされちゃてたかな」 |
| ウンディーネ |
「そうですね」 |
|
シルフは空で止まり、前方を見据える。
遠方、眼下でシルフを見上げているエフリート。
ウンディーネはシルフに尋ねる。 |
| ウンディーネ |
「なぜ、エフリートが暴走を? 魔将化されてしまったの?」 |
| シルフ |
「いえ、精霊の力…六元の乱れです」 |
| グレイ |
「六元の乱れ?」 |
|
耳慣れない言葉にグレイは呟く。 |
| シルフ |
「ええ、紅・橙・黄・翠・碧・紫…それぞれが司る神の恵み…炎・地・光・緑・水・風…この地域で急激に炎の力が増大しました」 |
| グレイ |
「どうしてそんな事が?」 |
| シルフ |
「世界に魔将が現れる理由を、どうお考えですか?」 |
| グレイ |
「え?」 |
| シルフ |
「此度に起きた聖戦は1000年前のレジェンドとは違う。太古の昔、我々精霊は聖獣と共に生き、人と共に暮らしておりました。しかし、1000年前を境に我々精霊に変化が生じた。
魔将に憑かれ人を襲う精霊、あのように力の暴走を起こす精霊、そして上位精霊も今や僅かしか居ない。下位の私達は、姿を象る事すら危うくなっています」 |
| ウンディーネ |
「1000年前には一度、世界から全ての魔将が姿を消した。しかし聖戦を終えた今、魔将が消える事は無い」 |
| グレイ |
「ヴァティスは倒されたんだ。それは間違いないよ、レジェンドと変わらない」 |
| ウンディーネ |
「起源は悪夢によるものですよ、グレイ様…」 |
| グレイ |
「悪夢?」 |
|
と、その時。
エフリートから放たれる炎のブレス。 |
| グレイ |
「うあぁ!」 |
|
バランスを崩し、落ちるグレイ。 |
| シルフ |
「グレイ様!」 |
|
|
| ○同・広場 |
|
怪我人を背負うルーンと、逃げ出す街の人の荷物を背負うフィオ。 |
| フィオ |
「早く、こっちの方へ。こっちが風上だ!」 |
| ルーン |
「クソ、これでこの辺りの人間はみんな避難できたか?」 |
| ピノ |
「んもう、あたし達も早く行かないと逃げ遅れるわよ!」 |
| フィオ |
「でも、グレイとリリファンが…ッ!」 |
|
上空から聞こえてくる羽音。
フィオ達眼前に落ちてくるのは、グレイとシルフである。
落下直前、グレイを背中で受け止めたシルフ。 |
| フィオ |
「グ、グレイ!」 |
| グレイ |
「助かったよ、シルフ…」 |
|
追うように、降りてくるウンディーネ。
その姿に、ルーンは驚く。 |
| ルーン |
「お、おい。グレイ、何なんだそいつは…!」 |
| グレイ |
「フィオ、街の人たちは?」 |
| フィオ |
「あ、ああ。大体住人の避難は終わったよ。後はオレ達が逃げるだけだ」 |
| ピノ |
「空気が乾いてるから、何でもかんでもよ〜く燃えるのよ! 鎮火なんてできっこないもの!!」 |
| グレイ |
「分かった、僕が何とかするから。フィオ達はここから逃げて。これ以上近付いちゃダメだよ!」 |
| ルーン |
「何とかするって…おい!」 |
|
ルーンの制止を聞かず、再び飛び立つグレイとシルフ、ウンディーネ。 |
| ルーン |
「おい、何がどうなってるんだ」 |
| フィオ |
「なあ、ピノ。今…グレイのおでこに…なにかついてなかった?」 |
| ピノ |
「う、うん。目玉…なワケないか…」 |
|
そこへ走ってくるリリファン。 |
| リリファン |
「フィオは〜〜〜〜ん!」 |
|
振り返るフィオ。
息を切らしようやく追いついたリリファン。 |
| リリファン |
「ハアハア…グレイはんは?」 |
| フィオ |
「リリファン!」 |
| ピノ |
「グレイならシルフと一緒に飛んでっちゃたわよ。なんか人魚みたいのまで連れてたわ」 |
| リリファン |
「水の精霊・ウンディーネです」 |
| フィオ |
「なんだって!」 |
|
息を落ち着けるリリファン。 |
| リリファン |
「グレイはんがどうにかしてくれます。皆はんは逃げてください。ウチは…グレイはんを追いかけますから」 |
| フィオ |
「そんな、リリファン。危険だ!」 |
| リリファン |
「このままじゃ、危険なのはグレイはんです。グレイはんは精霊を召喚するいうことが、どんなに術者の命を削るか分かっとりません。みなはんは邪魔ですから、はよ逃げて下さい!」 |
| ルーン |
「じゃ、邪魔って…おい!」 |
|
ルーンの制止を聞かず、グレイの飛んで行った方角へ走っていくリリファン。 |
|
|
| ○同・塔の上 |
|
離れた先に暴れるエフリートと、それに向かうシルフとウンディーネに目を見張るミッフィー。 |
| フェンリル |
「上位精霊・エフリート相手にいくら水とはいえウンディーネでは厳しいでしょう。加勢しますか?」 |
| ミッフィー |
「あの精霊のにおい、シルフとウンディーネやったんか。なしてこないな所に」 |
| フェンリル |
「たとえ相手が精霊であろうと、人を守るために戦うとは考えられぬ話です」 |
| ミッフィー |
「誰かが使役しとるんか?」 |
| フェンリル |
「答えは一つでしょう、あなたの捜し求めていた…」 |
| ミッフィー |
「!」 |
|
ミッフィーは塔の上から飛び降りる。 |
|
|
| ○同・教会前 |
|
シルフの背から降りるグレイ。
空を見上げる。
縦横無尽に空を飛ぶエフリート。 |
| グレイ |
「シルフはあいつの気を引けないかな。ウンディーネはこの一体の家屋の火を消して」 |
| ウンディーネ |
「はい」 |
| シルフ |
「やってみます」 |
| グレイ |
「まずは火事の炎を消していくんだ。それから乾いた街に水を降らせよう。サラマンダーの力の源は炎。火の力が弱くなれば、彼の力も弱くなる。そこを狙うんだ!」 |
| リリファン |
「あきまへん、グレイはん!」 |
|
その声に振り返るグレイ。
やや離れた所から叫ぶリリファン。 |
| グレイ |
「リリファン、どうしてここに!」 |
| リリファン |
「精霊の召喚時間は、聖獣の魔力に比例しよる。あのミッフィー様かて2匹で限界やったんですよ!
グレイはんの精神が壊れてまいます」 |
| グレイ |
「どこまで持つか分からないけど、やるしかないよ」 |
| リリファン |
「逃げましょ…、グレイはん」 |
| グレイ |
「ダメだよ、リリファン。僕は…」 |
|
|
|
フラッシュバック・グレイの夢
脅えるグレイ。 |
| グレイ |
「イヤだ…死にたくない…助けて…助けて!」 |
|
|
| グレイ |
「僕は戦おうとはしなかった、逃げ出したんだ。聖戦のあの時…カデシュ村の人が魔将に襲われてる中で、僕はこんな力を持ってたのに、村の人を助けようともしなかった。僕だけが逃げる事を考えてたんだよ」 |
|
俯くグレイ。
目が潤む。 |
| グレイ |
「こんな弱虫な僕に、レインに会う資格なんてない」 |
| リリファン |
「それはちゃいます、グレイはん。グレイはんが悪ろうわけありまへん!」 |
| グレイ |
「だから、僕は強くなる!」 |
|
拳を握り締めるグレイ。
決意の表情。 |
| グレイ |
「僕だって強くなる、フィオやルーンみたいに!」 |
|
周囲の炎が消えていく中、頭上のエフリートはグレイに気付いた様子。
一点に止まり、グレイを見下ろす。 |
| グレイ |
「行くよ! シルフ、ウンディーネ〜〜〜ッ!!」 |
|
グレイはシルフの背に乗る。
空へと羽ばたくシルフ。
そしてその後を飛ぶウンディーネ。
呆然とその光景を見送るリリファン。 |
| リリファン |
「グレイはん…」 |
|
|
| ○同・上空 |
|
エフリートへ向かうグレイ・シルフとウンディーネ。 |
| エフリート |
「ッ!」 |
|
エフリートは大きく両腕を広げ、息を吸う。
ブレスを吐こうとするが、エフリートの背後に現れる影。
巨大な影は、エフリート、グレイとシルフ、ウンディーネに落ちる。 |
| グレイ |
「え!」 |
| エフリート |
「!」 |
|
見上げるグレイと振り返るエフリート。
巨大な海蛇が、その頭を垂れる。 |
| フェンリル |
「そこまでだ、若いエフリートよ…」 |
|
フェンリルの口から放たれる氷のブレス。 |
|
|
| ○同・高台 |
|
街から少し外れた丘から一連の様子を眺める、フィオ達。
空中に浮く、フェンリル、エフリート、シルフ、ウンディーネの影。 |
| ピノ |
「なんだかもう1匹増えたみたいだけど…」 |
| フィオ |
「エフリートが消えた…」 |
| ルーン |
「じゃあ、あの蛇の化けもんは仲間ってわけだな。もう、片が付いたんじゃねえのか?」 |
|
顔を見合わせる3人。
その場から、街に向かい戻り走り出す。 |
|
|
| ○同・教会前 |
|
シルフから降りるグレイ。
頭上のフェンリルを見上げた後に、ウンディーネの横に立つサラマンダーを見つめる。 |
| サラマンダー |
「私は一体…?」 |
| シルフ |
「正気に戻ったのですね、サラマンダー」 |
| ウンディーネ |
「けれど、力も失われてしまったようですね」 |
| サラマンダー |
「このお方が、私を救ってくれたのか?」 |
|
火トカゲの姿に戻ったサラマンダーは、グレイを見下ろす。 |
| ウンディーネ |
「はい、私の主。アール・グレイ様です」 |
| サラマンダー |
「聖獣…おお、新たにお生まれになったのか!」 |
|
グレイ、目を見開く。 |
|
| グレイ |
「我が名は聖獣『アール・グレイ』…汝の名は…?」 |
| ウンディーネ |
「『ウンディーネ』」 |
| シルフ |
「『シルフ』」 |
| サラマンダー |
「『サラマンダー』」 |
|
グレイに吸い込まれていく精霊達。
気を失うグレイ。 |
| リリファン |
「グ、グレイはん!」 |
|
駆け寄るリリファン。
壁影で一部始終を見ていたミッフィー。 |
| ミッフィー |
「や〜と見つけた、聖獣や…」 |
|
その声に振り返るリリファン。 |
| ミッフィー |
「まさかタケルのじょーちゃん所のパーティに、聖獣がおったんなんてな」 |
| リリファン |
「ミッフィー様!」 |
|
飄々と現れるミッフィーは口元に人差し指を立てる。 |
| ミッフィー |
「しぃ〜、タケルとの約束やねん。ウチの事は秘密やで」 |
| リリファン |
「どうしてグレイはんに逢って下さらんのです。ずっと…グレイはんはずっとレイン様に憧れておって…」 |
| ミッフィー |
「フェンリル、もう目立つさかい。戻りいな!」 |
|
コクリと頷き、フェンリルは姿を消す。
話を聞かないミッフィーにリリファンハ苛立つ。 |
| リリファン |
「ミッフィー様!」 |
| ミッフィー |
「メィアット族の巫女はん。確か精霊の声が聞けるんやってな」 |
| リリファン |
「!」 |
| ミッフィー |
「ウチを探しとったんやろ? けど、ウチは行けへん。フィオを助けたらルール違反やから」 |
| リリファン |
「ルール?」 |
| ミッフィー |
「せや。だからお宅の部族問題は、グレイに解決してもらうとええで。坊やも立派な聖獣やし」 |
|
ミッフィーは腰を屈め、グレイの頭を撫でる。 |
| ミッフィー |
「まだ成長途中やけどな。リリファン、グレイを助けてやるとええ。他に精霊を見つけて、契約すればグレイはどんどん強うなる」 |
| リリファン |
「グレイはんと話してやってくれんのですね」 |
|
残念そうに呟くリリファン。 |
| ミッフィー |
「必ずまた、グレイに逢いに来る。この世でたった一人の…ようやっと見つけた同族や…」 |
| グレイ |
「うぅ…」 |
| ミッフィー |
「……」 |
|
遠方から聞こえるフィオの声。 |
| フィオ |
「グレ〜イ、リリファ〜ン!」 |
|
近付いてくるフィオ達の小さな影。
ミッフィーは慌てて立ち上がる。 |
| ミッフィー |
「あかんあかん、ほなさいなら。リリファン、グレイ!」 |
|
ミッフィーは瞳を閉じ小さく呟く。 |
| ミッフィー |
「出でよ、グノーシス」 |
|
地面から現れる、土色の大男。
ミッフィーを抱え込み、大地に沈む。 |
| リリファン |
「ミッフィー様!」 |
| グレイ |
「うぅ…」 |
|
目を覚ますグレイ。 |
| リリファン |
「グ、グレイはん?」 |
|
頭を振るグレイ。
瞳の第三の瞳は閉じ、傷跡だけが残っている。
ちょうどその時、グレイとリリファンを見つけ駆け寄ってくるフィオ達。 |
| フィオ |
「グレイ、リリファン。無事か!」 |
| ピノ |
「ちょっと、あの蛇の化け物とか人魚とかシルフとかどうしちゃったのよ!」 |
| グレイ |
「え…、何?」 |
|
キョトンとして、自分を取り囲む他の一行を見回す。 |
| グレイ |
「どうしたんだよ、みんな。そんな怖い顔してさ。何かあったの?」 |
| リリファン |
「覚えてらんのですか?」 |
| ルーン |
「はあ、聞きたいのはこっちだ。一体どうなってやがる!」 |
|
フィオはグレイの額を撫でる。 |
| フィオ |
「やっぱり…気のせいだよな?」 |
|
傷口を見たフィオ。
ピノと顔を合わせる。 |
| ピノ |
「だとしたら、あの精霊達ってリリファンの占いどおり、ミッフィー様が解決してくれたんじゃないかしら!」 |
| ルーン |
「で、ま〜た俺達の前からまんまと消えうせたわけだな」 |
| フィオ |
「そうと決まったわけじゃないだろ!」 |
| グレイ |
「ミッフィー様…」 |
|
|
|
フラッシュバック
グレイの頭を撫でるミッフィー。 |
|
|
| グレイ(M) |
「あれ…夢だったのかな」 |
| リリファン |
「これで、うちのお告げが当たることが証明されたわけですな!」 |
|
自信満々のリリファン。
ポンと胸を叩く。 |
| ピノ |
「お告げっていうよりは…占いのノリよね…」 |
| フィオ |
「う、うん」 |
| リリファン |
「見えます、ウチには見えます…」 |
|
また、どこからか藍色の水晶球を取り出すリリファン。
左手に球を持ち、右手をかざしその中を覗き込む。 |
| リリファン |
「ラッキーな方角は東ですねん。うちが案内しますわ。
そこでみなはんは聖獣に逢えます!」 |
| グレイ |
「聖獣ッ!」 |
| ピノ |
「じゃあ、東に向かえばミッフィー様に会えるって事で確定ね」 |
| フィオ |
「よし、早速。一旦宿に戻って出発の準備をしなきゃ!」 |
| ピノ |
「報酬も忘れないでね!」 |
| リリファン |
「よろしゅう、グレイはん。みなはん!」 |
|
リリファンはグレイの肩に抱きつく。
赤くなるグレイ。 |
| グレイ |
「う、うん」 |
| ルーン |
「ちょっと待て、おい。そんな適当に…いい加減に旅先決めていいのか、お前ら〜!」 |
|
無視。
もう歩き出している他4人。
フィオはやれやれといった感じにルーンへと振り返る。 |
| フィオ |
「置いてくぞ、ルーン」 |
| ルーン |
「お、お前ら…」 |
|
ブツブツと文句を言いながらも、歩き出すルーン。
一方リリファンは、小さく舌を出す。 |
| リリファン(M) |
「あかん、嘘をついてもうた…いや」 |
|
リリファンは笑うグレイを見る。 |
| リリファン(M) |
「嘘ではありまへんな。あんさんこそウチが探していたお告げの人だんねん」 |
|
|
| To be continued… |
| LEGEND =Questers= |
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