第14話 オレとアイツ
シーンB
○クテシフォンの村・食卓
食卓に掛ける、ヌーンライナー、フィオ、ピノ。
楽しそうに話す3人。
そこへ現れるルーンとグレイ。
フィオ 「あ、ルーン!」
ルーン 「ッ!」
ルーンはフィオの姿を見て驚愕する。
髪を下ろし、クテシフォンの村民の服に着替えたフィオ。
フィオ 「なあなあ、ヌーンライナーさんがさ、せっかくだからって着せてくれたんだけど。どうかなぁ?」
ルーン 「リナッ!」
ヌーンライナー 「こうして着替えてみると、ますますプラチナに似てるわよね」
悪戯っぽく笑うヌーンライナー。
フィオ 「え?」
ルーン 「クソッ!」
踵を返し食卓を出ていくルーン。
フィオ 「ちょっと、ルーン!」
ヌーンライナー 「あ〜あ。本気で怒らしちゃったか…」
ため息をつくヌーンライナーにピノは驚く。
ピノ 「ちょっと、どういう意味よ。フィオとプラチナに何の関係があるのよ!」
ヌーンライナー 「さっき話をした神具の民の1人よ。彼女が、森で大けがをして泣いているルーンを拾ったの。この村で一番最初の孤児がルーン。そのルーンが母親代わりだったプラチナに恋をした」
フィオ 「ルーンが…」
ヌーンライナー 「もちろん、報われるわけじゃないでしょ。プラチナは神具なんだもの。だからね、あなたにちょっと期待しちゃったのよね」
フィオ 「ッ!」
席を立つフィオはルーンを追いかけるように駆けだす。
ピノ 「ちょっと、フィオ!」
フィオを追いかけるピノ。
グレイ 「あ、二人とも!」
ヌーンライナー 「いじわる、しちゃった」
苦笑するヌーンライナー。
グレイ 「ヌーンライナーさん」
ヌーンライナー 「吹っ切って欲しかったのよ。私も昔、ルーンが好きだったんだから」

○同・倉庫
ランタンを持ち倉庫の扉を開けるジニアス。
ジニアス 「ここが…」
倉庫の中へと進むジニアスは、奥にある大きな木箱の蓋を開ける。
ジニアス 「この中に、ルーンが拾われた時の手がかりがある…ッ!」
木箱の中から何かを取り出したジニアスは目を見開く。
そこへ入ってくるルーン。
ルーン 「何してんだ、お前?」
ジニアス 「ッ!」
驚くジニアスは振り返る。
ルーン 「お前…」
木箱を開けているジニアスの姿を凝視するルーン。
その手に握られている、古びた布。
変色した血がこびり付いたその布を見たルーンもまた、驚いて声を失う。
ジャキィスの服の切れ端。

○同・村の外
倉庫へ向かい走るフィオ。
彼女を追いかけるピノ。
ピノ 「ちょっとフィオ。今のルーンに会ってどうするつもり?」
フィオ 「ハアハア、どうするも何も、分かんないよ」
ピノ 「あのねぇ〜」
フィオ 「でも、オレはプラチナとは違う。オレだったら、ずっとアイツの傍に居れるんじゃないかって!」
息を切らしながら走るフィオ。
フィオ(M) 「この時、やっとわかったんだ。オレがルーンを好きなのは、アレス王を好きな気持ちと違うんだって。
アイツがプラチナを失くして苦しんでるんだったら、オレはアイツの傍に居れる。少しでも楽にしてやりたい。オレは嬉しい時も悲しい時も、楽しい時も辛い時も…ずっとアイツと一緒に居たいんだ」
ピノ 「フィオ、早いわよ。ちょっと待って!」
倉庫の開いた扉の前に立つフィオ。

○同・倉庫
ルーン 「ッ!」
ジニアス 「!」
怒ったルーンはジニアスを壁に押し飛ばす。
その手にある、ジニアスから奪い取ったジャキィスの服の切れ端。
その異常な事態に、フィオとピノは言葉を失い立ち尽くす。
フィオとピノに気づかないルーンとジニアス。



ルーン 「お前、いつから気付いてやがった!」
ジニアス 「ジャキィスは…ジャキィスはトレジャーハンター。神具を求めて旅をしていました。その彼に、フィア様は3歳になったばかりの御子息を預けられたんです」
ルーン 「!」
フィオ&ピノ 「!」
ジニアスは苦しそうに、ルーンの手にある布切れへと目を見やる。
ジニアス 「そうして、サンタマリアの森の中で、ジャキィスは魔将に襲われた。ジャキィスとご子息は離れ離れになり、大ケガをおったご子息はこの村で神具の民に拾われた」
ルーン 「答えろ、ジニアス。その息子、アクス=ルナルは…ジャキィスとフィラデルフィアの子供か?」
ジニアス 「ルナル家とルルカ家が結ばれることは500年前からの家訓。決してそれが破られることは…」
ルーン 「答えろ、ジニアスッッッ!」
壁を叩くルーン。
ビクリと震えるジニアス。
ジニアス 「…はい。アクス=ルナルは家訓を犯した人と魔族の間の子…」
ルーン 「……」
フィオ 「……」
ジニアス 「あなたです」



フィオ 「ッッッ!」
声を失うフィオ。
その場を駆けだす。
ルーン&ジニアス 「!」
その物音に気づくルーンとジニアス。
そこには取り残されたピノが宙に飛ぶ。
ピノ 「何よ、何バカな話してるの。あんた達…」
声の震えるピノ。
ピノ 「フィオの…フィオの気持ち。考えてみなさいよ、バカッッッ〜〜〜〜!」
飛ぶピノはフィオを追いかけていく。
ジニアス 「姫…様…」
ルーン 「俺と…アイツは兄妹か…」
ルーンは虚しく布切れを握りしめる。

○クテシフォンの村・麦畑
夜。
麦畑のなかで立ち尽くすフィオの後ろ姿。
フィオ 「……」
追いついたピノ。
ピノ 「フィオ?」
フィオ 「アイツ、兄貴だったんだ。じゃあ、オレ達他人じゃないだしさ。家族なんだしさ。傍に居ても良かったんだな…ッ」
最後は涙声。
ピノ 「フィオ?」
ピノはゆっくりとフィオに近づいていく。
肩を震わして泣くフィオ。
フィオ 「おっかしいなぁ。なんで涙が出てくるんだろ。嬉しいはずなのに」
ピノ 「バカね…」
顔を覗き込むピノは、小さな袖口でフィオの涙を拭う。
ピノ 「嬉しいはずないじゃない。フィオがルーンを好きだって気持ちは、恋だったんだから」
フィオ 「……」
フィオは両手で顔を覆う。
フィオ(M) 「泣くのは今日で終わりにしようと思う」



フィオ 「ひっく…」
ポロポロと涙を流す。
フィオ(M) 「ジニアスは心配するだろうな。グレイは一緒に泣いちゃうかもしれない」
ピノ 「フィオ…」
フィオ(M) 「アイツは、きっと困った顔をするんだ。だけど、この間みたいにちょっとだけ優しくしてくれる」
ピノ 「今日はね、泣いていいんだよ。いっぱい泣いていいんだからね」
フィオ 「えっ、えっく…」
フィオ(M) 「人を好きになることって、どうしてこんなに苦しいんだろう」

○同・食卓
戻ってきたルーンとジニアス。
状況を聞いたグレイは心配そうに2人を見る。
その手に握られている、夢の鍵。

To be continued…
LEGEND =Questers=